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帰宅
「……ただいま」
灯りはついている。
「おかえりなさい!」
ぱたぱたと足音。
「凪。なんで毎日いるんだよ」
「恒一さんこそ、どこ行ってたんですか?」
「出かけてた」
少しの沈黙。
「……また、お姉ちゃんのお墓ですか」
「悪いか?」
「悪くな――」
言いかけて、凪が目を見開く。
「ちょ、背中……傷あるじゃないですか!」
「問題ない。止血してる」
「してるじゃないです。してる“だけ”です」
ぐい、と服を引っ張られる。
「手当てします」
「いいって」
「よくないです」
凪は無言で消毒を始める。
慣れた手つき。
「……恒一さん」
「なんだ」
「新しい彼女、とか……作らないんですか」
言葉が少し揺れる。
「作らない」
即答。
凪の手が、ほんの一瞬だけ止まる。
「……そうですか」
また淡々と包帯を巻く。
「はい。終わりました」
「ありがとな」
「どういたしまして」
視線が合わない。
部屋の空気だけが、静かに残る。




