外出先のトラブル
「凪、出かけるの久々だな」
「確かにですね、そうですね!」
「平和って訳でも無さそうだな」
「喧嘩……いえ、一方的ですね。恒一さん、助けられますか?」
男が複数人に囲まれ、殴打されている。
迷う時間はない。即座に介入を決断。
神代恒一は液体の入ったカートリッジを抜き、魔法を起動する。
瞬間、内部の疑似血液が圧縮解放。
紅い結晶刃が空気を裂き、一直線に奔る。
斬撃は地面を抉り、男たちの足元を正確に断つ。
あと数センチ深ければ、肉も骨も貫いていた。
「え……なんですか、あれ?」
「今の攻撃……専用魔道具じゃなかったら、そのまま全員死んでたぞ……」
神代恒一の専用魔道具、《紅晶血》。
疑似血液を内包したカートリッジ式。自身の血を使わずとも斬撃を生成可能。
本物の血より高硬度。切断力は桁違い。
暴行を受けていた男が、ゆっくりとこちらを見る。
あれは既存の汎用魔法ではない。雷に似ているが、違う。
電撃では説明できない直線的な破壊。
殺意を研ぎ澄ませたような一撃。
フリーデンクラスの固有魔法……?
「不味いな……戦闘になる。凪、下がって……凪?」
背後で凪が詠唱を終えていた。
「メンタル・スタビリティ」
淡い光が男を包む。
汎用魔法だが、凪の精度は異常だ。
暴走寸前の精神が強制的に鎮静され、男はその場に崩れ落ちる。
「凪……本来はダメだが、今回は目をつぶろう。とりあえず警察だ。取り調べになる」




