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九条玲奈
「澪、いつか生き返らせるからな」
墓石に触れる。
冷たい。
俺と澪は恋人だった。
あの日、背後から刃が突き立った。
通り魔。
くだらない理由で、あっけなく。
俺は死に際に“核心”へ辿り着いた。
血を刃に変え、刺した相手を斬り殺した。
生き残った。
――澪は死んだ。
澪がいないと、駄目なんだよ。俺は。
「白瀬澪さんのお墓参りですか?」
振り返る。
「……なんの用だ、九条玲奈」
「亡くなった人を、いつまで気にしてるんですか?」
「殺すぞ」
「フリーデン同士で? 面白いですね」
肩に手が置かれた瞬間。
背中から血が噴き出す。
「っ……!」
焼けるような痛み。
再現象。
刺された“過去”を、今に引き戻す魔法。
俺は流れ出た血を掴む。
刃へと変える。撃つ。
だが。
玲奈が空中にナイフを振る。
――壁。
見えない軌道が、俺の斬撃を弾いた。
「貴方の固有魔法、血の斬撃。止血もできる。便利ですよね」
「……殺す」
再現できる現象は一度きり。
同じ傷は二度は起こせない。
なら押し切る。
血を戻す。
また斬る。
近接なら――
「やめましょうか」
玲奈が一歩引く。
「単純に、どちらが勝ってもおかしくない」
視線が冷たい。
「今日は確認です。まさか――蘇生魔法に手を出すつもりではありませんよね?」
鼓動が跳ねる。
「禁忌だ。するわけない」
「どうでしょう」
微笑む。
「裏切らないでくださいね、恒一さん」




