追手
「詩織! やっぱりここに居た」
「透花……」
「両親の葬儀には来ると思って、外で待ってたの」
「悪いけど——」
「私も裏切った。二人でやろう」
沈黙。
「……ありがとう」
「友達でしょ。当たり前」
「くだらない友情ですね」
「「!?」」
振り返る。
「まさか二人とも裏切るとは。残念です」
「九条玲奈……」
透花が一歩前に出る。
「あなた一人で、フリーデン二人を相手に出来ます?」
「難しいでしょうね。ですが——」
二人は目を合わせる。
「動くな」
一秒。
その硬直を裂くように、透花が踏み込む。
暴風を纏った拳。
直撃。
——だが。
透花の肩が裂ける。
「……っ」
神代との戦闘で負った傷。
それを再現された。
玲奈が淡々と告げる。
「過去は、消えません」
だが透花は笑う。
「そっちも重傷のはず…」
玲奈は自らの胸に触れる。
次の瞬間、血が消える。
「健康だった私を、再現しただけです」
「チートでしょ……」
「最大出力で殺す。それしかありません」
「同感だな」
空が唸る。
「避けて!」
直後、落雷。
詩織が叫ぶ。
「動くな」
契約が世界に噛み合う。
雷堂の動きが一瞬止まる。
雷は地を穿つが、二人は転がるように回避する。
「場所が割れているのに、一人で来るわけがない……黒崎雷堂まで」
「どうする? 勝ち目は無いぞ」
透花の足元の地面が砕ける。
「出力最大!!」
玲奈の声が重なる。
「動くな」
雷堂が再び止まる。
その一瞬、玲奈が背後へ回る。
刃が閃く。
——だが。
「逃げるよ」
透花が詩織を抱き上げる。
最大出力。
地面を蹴り砕く。
暴風が視界を塗り潰す。
次の瞬間、二人の姿は無い。
静寂。
「……逃げられましたか」
「仕方ない。戻って報告だ」




