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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第十話 倒すべき相手と守るべき者
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倒すべき相手と守るべき者Ⅶ

「って、そんな感じになったわけだから、ニオは何の心配しなくていいよ」


 ニオは驚いた顔のまま、俺の方を見ていた。


「本当ですか?」


「ああ、ニオの身分は俺がなんとしてでも守るからさ。安心してくれていいよ」


「カイトさんっ!」



 何の脈等もなく俺に抱きついてきたニオは、感涙しながら胸に顔を埋めてくる。


「ニオ」


「カイトさん、どうしてそんなに優しいんですか?」


「そうでもないよ。女の子の為なら、男はこうして頑張るって相場が決まっているからね」


 涙を流したままのニオは顔を上げ、真っ赤になった鼻を震わせながら、潤んだ瞳で俺を見つめてきた。


「カイトさんは、赤の他人である私を女の子として扱ってくれるんですか?」


「当然だよ」


「私、カイトさんの事が好きです」



「俺もだよ。いつもニオには助けてもらっているからさ」


 黙り込んだニオを見て、俺は間違った事を言ってしまったのではないか、と思ってしまう。


「カイトさんの好きは、私の好きなんですか?」


「えっ?」


「私は、カイトさんの事を異性として好きなんですよ。助けてもらったあの日からずっと」


 思わぬニオの告白に、俺は息を呑む。



「最初は敬意と尊敬と、感謝だけでしたが、あなたの傍にいて私は本当の気持ちに気付いたんですよ」


「本当の気持ち……」


「どんな時でも助けてくれて、強いのに助けてくれて、貴族様にも劣らぬ地位を持っていてでも、ただの平民でしかない私を救ってくれたんですから」


「……それは少し違うかな。僕はシアンのおかでげ強気に出られているけど、所詮はただの平民だよ」


「それでもですよ。だって、あんな田舎の村の私を拾ってくれたんですから」


 俺としても、ニオに対しては好意を抱いていた。


 守りたいと思えるし、料理も出来るし、気立てもいいし、何より胸がでかい、大きい。


 年齢はほとんど同じで、俺自体ももう二十歳手前だ。


 日本の感覚のせいで時間の流れがおかしいが、結婚していてもおかしくないはない年齢になっている。


 少なくとも、恋人や彼女はいて然るべきだろう。


「それでですね……」


「俺、甲斐性なしだし無職だよ?」


「えっ……でもカイトさんは」


「今はシアンに気に入ってもらっているから――まぁ、フォルティス王にもだけど、そうじゃなかったら俺は無職だからね」


 無職、それだけで日本ならば最上級の大失点(ディスアドバンテージ)だ。



「仕事なんていくらでもありますよ。カイトさんくらい動ければ、農業もできますよ、きっと」


「農業か、まぁ定年後にでも考えてみようかな」


 そんな年まで俺がこの世界で生きている保証はないが、戦争が終わって平和になったならば、その時は農民になってもいいかもしれない。


「じゃ、付き合おっか」


「えっ、えっ? あっ、すみません……何度も驚いちゃって」


「どうする? 駄目かな?」


「い、いえ! 付き合わせてください!」


「うんうん、じゃ明日から頼むね」


 そんな風に、あっさりと俺はニオと恋人同士になった。


 当時は俺側が告白していた節があったので、相手の気持ちはいまいち分かっていなかったが、相手から告白されて決して嫌な気はしない。


 これはニオに言っていないが、俺からすればこの告白は途轍もなく嬉しいのだ。


 ニオが平民である自分を助けてくれた人、と言ったのと同じように、俺としてもニオは特別な人である。


 俺は所詮、異世界人でしかないのだ。この世界ではない、別の世界から来た別の人間。


 そんな、国籍なしの身分不詳男を愛してくれるなど、これほどまでに嬉しい事はない。


 誰かを倒し、誰かを守れ、とダーインに言われているが、俺としては自分を求め、欲してくれる誰かが必要だったのだろう。


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