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異世界からの闖入者  作者: マッチポンプ
第十話 倒すべき相手と守るべき者
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倒すべき相手と守るべき者Ⅵ

「なにが言いたい……」


「足手まといさえなければ、カイト君は命を賭けずに、全てを得られる。違うかな?」


 静まりかえる謁見の間にて、俺は一歩、また一歩とフォルティス王へと近づいていく。


「どんなに頼んでも、僕はこのままだよ。なにせ、カイト君は僕のお気に入りなんだから。くだらない人間の為に死んで欲しくない」


 ニオがくだらない人間。


 俺はそのままフォルティス王の胸倉を掴み、玉座から引きずり落として、地面に叩きつけた。


「ニオがくだらない人間だって? あの子は今を必死に生きているんだ! どんな時だって明るくて、守りたいと思わせてくれる」


「ただの足手まといに何でそこまで熱くなるのかな」


「誰かの為に戦った事のないお前には分からない! 分かるはずがないッ!」


「うーん……カイト君の実力は評価しているけど、こういうところは少し面倒臭いかな」


「俺は評価なんてして欲しくない」


 このままではいつものように、なにも変えられずに終わる。


「……なら俺は、この国を抜ける」


「異世界人の君が、外で暮らしていけるかな」


「火の国に亡命するよ。向こうには師匠も、ミネアもいる。それ俺は、向こうの国での身分が保障されているんだ」


 俺はそれをいっさい疑わず、大声で自信満々にいってやった。


 交渉材料としては弱いが、こちらには手札があるのだと言ってみせるだけでいい。


 買い手市場では一方的に条件を悪くさせられるだけ、だからこそここは売り手市場に持っていき、こちらのペースにする必要があった。


「へぇ、それは面白くないね」


「俺はどっちでもいいと思っている。闇の国は全ての国に敵対するんだから、どこの国からでも攻め入れるからね」


 フォルティス王はここで初めて、俺を睨みつけてくる。


「仕方ないね、カイト君には水の国の最高権力を与えよう。軍事命令件の途中介入くらいなら認めるよ」


 大元帥や元帥レベルが提示額という事か。


 だが、俺は初めから狙っていない物を拾う気はない。


「それに追加でニオの助命、生活の保障、俺の独自行動を許可、それらを通してもらおうかな」


「だいぶ無理を言うね。それが通るとで思うのかい?」


「なら火の国に飛ぼうかな。あっちは戦力がこっちほど確立されていないから、各個自由に戦闘できるんだよ。それに、ただ一人の女の子を養うくらいは容易にやってくれる」


 無理を無理だと分かった上で、俺は交渉のテーブルからは降りなかった。


 日本に戻って漫画を読み、このような交渉方法が乗っていたからこそ出来ているが、もし知識がなければ最初に詰みにされていたに違いない。


「独自行動も認めよう、それで十分な譲歩点だね」


「俺はミネア、火の国の姫から直々にスカウトを受け、一度蹴っている。その上でよおく考えた方がいいと思うけどね」


 後一歩、そう確信した時点で俺は締めに入った。


「傲りはないよ。俺がこの国で最高の戦力だという事をしっかりと考えてから、返答を出して欲しい」


「まいったね、カイト君はもう少し頭のいい奴だと思っていたよ」


「これでも最上級に賢くなったつもりだけど」


 三回程手を打つと、フォルティス王は立ち上がり、俺の耳元で囁く。


「じゃあ、それで呑もう。カイト君を手放したくはないからね」


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