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夏祭りの始まり

夏祭りに行くところまでの話です。

次に夏祭り偏です。

 夏休みが始まりもう八月に入ろうとしている、毎年思うのが七月が終わるのが早い。

そういえばここには夏祭りはあるのだろうか?夕飯の時にでもおばあちゃんに聞いてみよう。


「ねえおばあちゃん、ここって夏祭りとか無いの?」

「あるわよ、たしかもうそろそろね」

僕は夏祭りが大好きだ、あの雰囲気が大好きなのだ。去年は家族3人で花火を見に行った、花火は夜空に大輪の花が咲いているようだ。

「命は去年行ったのか?」

「うん、おばあちゃんといったよ毎年行ってるよ」

「今年は僕も行ってもいいかな?」

「もちろんよ!三人で行った方が楽しいもの、ね、命」

「うん」

「何日にあるの?」

「そうねぇ・・・明後日かしら?」

「ポスター見たら明後日だった気がする」

「じゃあ夏祭り行きましょうか?」

僕と命は同時に「うん!」と元気よく返事した。命も夏祭りが楽しみなのか珍しく鼻歌を歌っていた。僕らは夏祭りに行くことになった。おばあちゃんは盆踊りに出ると張り切っていた。

「そうだ命、浴衣出してあげるわ」

「えっ!いいよ・・・」

「そんなこと言わないで待ってて今出してあげるわ」

「御飯のあとでいいよ」

「そう?」

おばあちゃんは浮かしていた腰をおろし、どんな浴衣かを命に話していた。その姿はとてもうれしそうだ。

話によるとそれは僕の母さんが小さい頃着ていたものらしい。

夕飯の片付けを終えると浴衣の入った木箱を持ってきた。

「これよ」

中には水色の生地に赤い金魚模様の浴衣が入っていた、とてもきれいな浴衣だった。命は少しうれしそうな表情を浮かべた。

「綺麗な浴衣だね」

「そうでしょう?悠ちゃんのお母さんが子供のころ着ていたものなのよきっと命にも似合うはずよ」

「そうかな?私に似合うかな悠ちゃんどう思う?」

「命にぴったりの浴衣だね似合うと思うよ」

「本当?」

「うん」

「じゃあ・・・着ようかな」

「よかった、絶対に似合うわ、楽しみね」

「うん」

命はうれしそうにうなずいた女の子は誰だって浴衣を着るのは楽しみなのだろうか?男の僕にはわからないや。でもきっと命は似合うはずだ。母さんとどこか似ている気がするからかな。

僕らは夏祭りについてたくさん話した。去年の夏まつり命が迷子になって泣いていることをおばあちゃんが話してくれたそれを聞いて命は顔を真っ赤にして怒っていた。命はおばあちゃんが盆踊り大会に出場して張り切り過ぎてぎっくり腰になって結局出場できなくなったこと、とにかく楽しそうな夏祭りになるのは間違いないだろう。

「悠ちゃん、都会の夏祭りはやっぱり凄いの?」

「うーん、どうだろう。でも花火は去年すごく大きかった」

「そうなんだ、いいね」

「ここの夏祭りも楽しそうだよ」

「うん!楽しいよ」

僕らはひとしきり話した後、お風呂に入って寝ることにした。布団に入った後も僕は楽しみ過ぎてなかなか眠れなかった。

「早く明後日にならないかな・・・」

僕は命とおばあちゃんと一緒に行く夏祭りを想像して布団の中で顔の表情がつい緩んでしまう。でも眠気は来るもので僕は朝まで起きることなくぐっすり眠れた。


とうとう待ちに待った夏祭りの日がやってきた、僕は朝からそわそわして落ち着かなかった。その日の朝は楽しみ過ぎて朝5時に起きておばあちゃんを驚かしてしまった。

「悠ちゃん今朝はずいぶん早起きなのね」

「いや・・・楽しみ過ぎて」

おばあちゃんはふふふっ、とおかしそうに笑った。

「おはよう・・・」

「あら?命も今日はいつもより早いのね」

「今日が楽しみで・・・」

「悠ちゃんと同じね」

「えっ、悠ちゃん起きるの早いね。いつも遅いのに」

「悪かったな、朝が弱くて」

「さあさあ二人とも朝ごはんが出来たわ、食べましょう」

おばあちゃんはあつあつの卵焼きを運んで、お小遣いを僕らに渡してくれた。

「今日はたくさん楽しみましょうね」

僕と命は顔を見合わせて笑いあった。こんなに楽しみな夏祭りは初めてかもしれなかった。

「いただきまーす」

朝から僕のお腹は空っぽでご飯を二杯もお代わりをした。おばあちゃんは「作りがいがあるわ」と嬉しそうにほほ笑みながらご飯をたくさんよそってくれた。

夏祭りの開始は5時半からの予定で僕と命はその間宿題も手につかず、ずっとそわそわしていた。おばあちゃんはその様子を楽しそうに見守っていた。

四時ごろ命がおばあちゃんにきものを着せてもらう事になった、男の僕は一人ポツンと部屋の真ん中で座って待っていた。退屈だった。

「どうかな?」

命はおずおずとふすまを開いて部屋に入ってきた。命はいつもおろしている肩までの黒髪を後ろに団子にしてまとめていた。その団子には朝顔の髪飾りが付いていた。

「いいんじゃないか?」

僕の返事はそっけなかったのか命は悲しそうな顔をして「やっぱり似合ってないんだ・・・」と言ったので僕は焦って訂正した。

「いや!本当に似合っているよ」

「・・・本当?」

「うん!すごく似合ってる」

「悠ちゃんは照れてたのね」

「違うよ!」

おばあちゃんは少し意地の悪い笑顔を浮かべて僕をからかった。僕は恥ずかしくなって顔を真っ赤にして怒っていたと思う。命がこっちを見て笑っていた。

「笑うなよ命!」

「だって、おばあちゃんのそんな顔見たことなかったんだもん」

「そうかしら?」

「そうだよ」

「もうそろそろ行きましょうか?」

「うん!」

僕らは玄関で靴をはいた。今きずいたけどおばあちゃんもちゃっかり浴衣を着ている。

命は下駄に慣れていないのかフラフラしていた。

「う・・・ふらふらするよ」

「しょうがないなー」

僕は命の手を握って一緒に歩いてやることにした。なんだか少し恥ずかしかった。なれないことはしてはいけないな。

「ありがとう悠ちゃん・・・」

「どういたしまして」

おばあちゃんの少し意地悪な笑みをまた見た気がしたが気のせいだろうか。

祭り囃子がすぐ近くで聞こえてくる、僕は早くなる足を抑えて命のペースに合わせた。

「もうすぐつくね」

「うん、たくさん楽しもうよ」

命は笑いながら僕の隣に来て行った。まだ手はつないだままだった。

「うん!楽しもう」

鳥居をくぐりながら僕らはまつりの中に足を踏み出した。






 

夏祭り楽しいですよね!

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