表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

僕らの天体観測

おばあちゃんの家での初めての日の出来ごとの話です。

 

玄関に入ると木のにおいがした。僕の家では嗅いだ事のない、とてもいい匂いだった。

「悠ちゃんこっちよ」

「はい、」

入るとそこには本当にごちそうが並んでいた、唐揚げやハンバーグ、ポテトサラダなど小学生の僕がすきそうなものばかりだった。

「うわぁ!おいしそう!」

「本当?よかった、命もこっちに来て食べましょう」

「すごくお腹すいてたんだ、いっぱいだべれるよ」

おばあちゃんはうれしそうに笑った。

命がやってきて早速夕飯になった。手を合わせてみんなで「いただきます」と言った。

食事の間は電車とバスが退屈で遠かったこと、田舎でびっくりしたことを話した。

「ねぇ田舎ってどんな子として遊ぶの?」

「そうねぇ・・・命に聞いてみて」

「命ちゃん、どこで遊んでるの?」

「ん・・・森とか川とかかな・・・」

困り顔で教えてくれた。

「命はね、人見知りなのよ」

「へぇー僕もだよ少しだけど」

命が驚いた表情で「そうなの?」と聞いてきた。どうやら人見知りには見えなかったらしい。

「そうだよ、こう見えてもけっこう人見知りだからさ、最初おばあちゃんと会うのも緊張してたんだ。」

「変なの、おばあちゃんなのに」

「でしょ?」

「あらあら仲良しね」

命は少し恥ずかしそうにうつむいた。こんなに初対面で打ちとけたことがなかったのだろうか。

「よかったわ仲良しさんになってくれて、おばあちゃん安心した。」

もしかしておばあちゃんは僕と命が仲良くなれるかずっと心配だったのかもしれない。そうだったら安心してくれてよかった。

そういえば命の親を見ていないな、命も夏休みに遊びに来ているのかな?


ごちそうは本当においしかった、僕は満腹になるまで食べ続けた。

命が星を見に行こうと言うので二人で見に行くことにした。

「気をつけて行っておいで」

僕と命は一緒に「はーい」と言って出て行った。

「うわぁ!すごくきれいだ!」

「そうでしょ、都会じゃ見れないんでしょ?」

「うん!こんなきれいな星、写真でしか見たことないよ」

「そうなんだ」

星はすごくきれいだった。本当に写真のようだった。僕はいままで星なんて見ていなかったけれど都会はこんなにきれいではないことはわかる。

田舎もいいかもしれない、僕はこれからの夏休みが少し楽しみになった。

「あ、流れ星」

「え!見えなかった・・・」

「また見れるよ」

「そうかな・・・」

「そうだよ」

僕は生れてはじめて見るかもしれなかった流れ星を見損ねた、でもまた見れるだろう。まだまだ夏休みは始まったばかりなのだから。


家に帰ると、虫にたくさん刺されてとてもかゆかったどうやら田舎は思った以上に虫が多いようだ。

「今度から虫よけスプレーしないと」

「命ちゃんは?してたの?」

「うん、ごめんね・・・」

「貸してあげればよかったのに」

おばあちゃんが薬を僕に塗りながら言った。

「忘れてたの、ごめんね悠ちゃん」

「いいよ今度かしてね」

「うん」

その晩はとても腕や足がかゆくて寝れなかった。なれなかったので部屋の窓から星を見た。

その夜はいつまでも田舎の星に見とれていた。









ちなみにみこと

悠ちゃんは本名は悠太郎の設定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ