僕らの天体観測
おばあちゃんの家での初めての日の出来ごとの話です。
玄関に入ると木のにおいがした。僕の家では嗅いだ事のない、とてもいい匂いだった。
「悠ちゃんこっちよ」
「はい、」
入るとそこには本当にごちそうが並んでいた、唐揚げやハンバーグ、ポテトサラダなど小学生の僕がすきそうなものばかりだった。
「うわぁ!おいしそう!」
「本当?よかった、命もこっちに来て食べましょう」
「すごくお腹すいてたんだ、いっぱいだべれるよ」
おばあちゃんはうれしそうに笑った。
命がやってきて早速夕飯になった。手を合わせてみんなで「いただきます」と言った。
食事の間は電車とバスが退屈で遠かったこと、田舎でびっくりしたことを話した。
「ねぇ田舎ってどんな子として遊ぶの?」
「そうねぇ・・・命に聞いてみて」
「命ちゃん、どこで遊んでるの?」
「ん・・・森とか川とかかな・・・」
困り顔で教えてくれた。
「命はね、人見知りなのよ」
「へぇー僕もだよ少しだけど」
命が驚いた表情で「そうなの?」と聞いてきた。どうやら人見知りには見えなかったらしい。
「そうだよ、こう見えてもけっこう人見知りだからさ、最初おばあちゃんと会うのも緊張してたんだ。」
「変なの、おばあちゃんなのに」
「でしょ?」
「あらあら仲良しね」
命は少し恥ずかしそうにうつむいた。こんなに初対面で打ちとけたことがなかったのだろうか。
「よかったわ仲良しさんになってくれて、おばあちゃん安心した。」
もしかしておばあちゃんは僕と命が仲良くなれるかずっと心配だったのかもしれない。そうだったら安心してくれてよかった。
そういえば命の親を見ていないな、命も夏休みに遊びに来ているのかな?
ごちそうは本当においしかった、僕は満腹になるまで食べ続けた。
命が星を見に行こうと言うので二人で見に行くことにした。
「気をつけて行っておいで」
僕と命は一緒に「はーい」と言って出て行った。
「うわぁ!すごくきれいだ!」
「そうでしょ、都会じゃ見れないんでしょ?」
「うん!こんなきれいな星、写真でしか見たことないよ」
「そうなんだ」
星はすごくきれいだった。本当に写真のようだった。僕はいままで星なんて見ていなかったけれど都会はこんなにきれいではないことはわかる。
田舎もいいかもしれない、僕はこれからの夏休みが少し楽しみになった。
「あ、流れ星」
「え!見えなかった・・・」
「また見れるよ」
「そうかな・・・」
「そうだよ」
僕は生れてはじめて見るかもしれなかった流れ星を見損ねた、でもまた見れるだろう。まだまだ夏休みは始まったばかりなのだから。
家に帰ると、虫にたくさん刺されてとてもかゆかったどうやら田舎は思った以上に虫が多いようだ。
「今度から虫よけスプレーしないと」
「命ちゃんは?してたの?」
「うん、ごめんね・・・」
「貸してあげればよかったのに」
おばあちゃんが薬を僕に塗りながら言った。
「忘れてたの、ごめんね悠ちゃん」
「いいよ今度かしてね」
「うん」
その晩はとても腕や足がかゆくて寝れなかった。なれなかったので部屋の窓から星を見た。
その夜はいつまでも田舎の星に見とれていた。
ちなみに命
悠ちゃんは本名は悠太郎の設定です。