第31話 戦いの代償
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今日は臨時での投稿となります。
ミンナニハナイショダヨ。
明日1日は休載となります。
整頓された機械が並ぶ白い部屋、タケシは医療カプセルの中で目を醒ました。
薄っすらと目を開けると、目に入ってくるのは数値のモニター。
規則正しい機械音は、どこか安心する音を奏でている。
「ああ。助かったのか。」
呟くように、そんな言葉が出た。
スクリーンを見ると全身を模した図がまだら模様に変わっている。
腹部は真っ赤に染まり、左足の部分は黄色になっていた。
内臓破裂と肋骨は4本が折れてたか。左足は骨にひびが入っただけで折れてはいないようだ。
機械的な音が鳴り響き、医療ポットの蓋が開いた。
大きく深呼吸すると薬液の香りが鼻腔を刺激する。
「あの後、どうなったんだっけ。」
何が起こったのか思い出そうと、記憶の引き出しを開ける。
血反吐を吐きながらも転移陣までたどり着いて神域回廊を出た。
表の転移陣はゲートによって封鎖されていたため、中からガチャガチャと囲いを開けようとしていたら声が聞こえた。
「おい君!。大丈夫か。」
「酷い怪我だ。すぐに救急要請を!。」
「あの状況で神域回廊から出てくるなんて・・・。」
複数人の会話が聞こえてくるが、意識は朦朧としていた。
そうだ。そこで気を失ったんだ。
それにしてもあんな強い妖怪をよく倒せたもんだよな。
そう思って、ポケットにある神鏡を見た。
鏡がひんやりと冷たい。
それを見て気が動転した。
心拍数が上がり機械音が速くなる。
鏡には{のっぺらぼう}と{小豆研ぎ}が映っている。
だが様子が何かおかしい。
声は聞こえないが2人が何やら言い争っている?ような仕草をしている。
{のっぺらぼう}って話せたっけ?。目を凝らして、くすんだ鏡を凝視した。
奴に口がある。目を疑った。確か、前に見た時には鼻しかなかったはずだ。
それは薄っすらと細長い形をしてどこか色っぽい。
俺は震えだす体を止めることが出来なかった。見たことがある口の形、いや、いつも見ているか。
それはハルカと同じだった。
手で目の辺りを隠せば、同一人物と言えるくらい酷似している。
「まさかそんな、、、。」
恐ろしい予感が恐怖を駆り立てた。
ため息をついた時に大きく咽た。
病衣が鮮血で汚れる。血で汚れた口を袖で拭った。まだ無理は出来ないか。
だが、最悪の場合は俺がハルカを、、、。
そう考えていた時にノックと共に病室の扉が開いた。
入り口に立っていたのは宮澤と先のクエスト責任者である児玉の2人だ。
2人はゆっくり近づいて児玉が先に口を開いた。
「まずは礼を言わせてくれ。君の活躍のお陰で我々は生き延びることが出来た。感謝する。」
深々とお辞儀をする。
「討伐隊に生き残りが、、、それにみんなは!?、、、。」
そう言おうとして咽た。大きな声を出そうとすると猛烈に腹が痛む。
宮澤はそれを察して、児玉を手で制しながら言った。
「詳細は私の方から。」
「まずは君のパーティーを含む調査隊と運搬隊に被害は無かったよ。そこは安心して欲しい。」
その言葉に溜飲が下がった。
一拍置いて宮澤は続ける。
「妖怪を討伐に向かった主力は狼煙の地点に到着する前に奴と遭遇した。」
「激しい戦闘により2名が戦死。展開戦闘は不利と判断した彼は負傷者を連れて後退しようとしたんだが、魔物の群れに襲われて散り散りになったんだ。」
「戦闘分析によると、君が妖怪に出くわしたのは、その後ということになるね。」
「彼らは神域回廊で一夜を過ごした後、再集結した時におびただしい数の魔物が転移陣の方向へ向かうのを見て、追跡を開始した。だけど、転移陣に着いた時には魔物の大半は姿を消していたようだ。」
「君があの妖怪を倒してなかったら、彼らの脱出も困難を極めたはずだ。私からも重ねて礼を言わせてもらうよ。君のお陰だ。ありがとう。」
相変わらずの弾丸のような速さの早口だが、状況が理解出来た。
結果論なのだが、全滅じゃなかっただけ運がよかったのだろう。
「そうでしたか。自分は、、、運が良かっただけです。礼には及びません。」
「そんなに謙遜しなくていい。このクエストの第一功は間違いなく君なんだ。」
「それに妖怪を討伐出来たことで神域回廊の攻略及び、戦死、行方不明者の捜索も済ませることが出来た。君の功績ありきのクエストだったんだよ。」
そこまで言われると流石に鼻が高くなる。が。
「攻略が済んだ。って、あれからどれくらいの時間が。。。」
身を起そうとしたが、痛みで顔が歪んだ。
児玉は気を遣うように俺を寝かせた後に身を屈めながら言った。
「佐藤君が保護されてから今日で丁度、1週間だ。」
1週間。。。そんなに経っていたのか。
「気を悪くしないで欲しいんだが、このクエストの情報が何故か外部に漏れてしまってね。今はその対応に追われてるんだ。」
「今の君に出来るのは、その体を治すことだよ。戦闘記録は装備から回収したから、聴取これではお終い。
後はゆっくり休んでくれ。」
「あと、言い忘れたんだが君の功績は正式にギルドに承認された。後日新しいギルドカードを渡すから確認してくれ。」
2人は一礼した後、部屋を出て行った。
「はあ。」
宮澤の話で一安心はしたものの、さっきの光景が頭から離れない。
だんだんとハルカに近づいて行く{のっぺらぼう}。
それが意味する事とはなんだ?。
{小豆研ぎ}の事もそうだ。神鏡が妖怪を吸い込む装置となっているのだろうか。
今はまだはっきりと分からない。
すると通路から足音が近づいて来ることに気が付いた。
勢いよく病室の扉が開き、見慣れた3人が部屋に飛び込んできた。
ハルカがいの一番に走って来ては、俺の頭を抱きしめる。
その体制はヤバい。腹に激痛が走るのと、目の前が豊満な谷間で目のやり場が無い。
「ハルカ。ちょっと待ってくれ。」
咳き込みながら言うと離れてくれた。
「ごめん。痛かった?。」
苦笑いで誤魔化す。
「大丈夫だったのかよ。てっきり今のでくたばったかと思ったぜ。」
冗談交じりにハジメが言う。
「ああ。三途の川が見えたよ。」
ハジメが声高に笑った。
「それにしてもあの時、妖怪がみんなの方に行ったんじゃないかと、ひやひやしたんだよ。」
「無事でよかった。」
ハルカが睨んでいたがなんとか誤魔化せた。
「でもタケシがこんな酷い怪我を。。。」
しゅんとしたハルカはどこか愛らしい。
「俺がヘマしただけだ。運がよかったんだ。」
「でもなんか、タケシが遠くなっちまったみたいで悔しいな。」
「なんで?。」
「そりゃそうだろ。猪はぶった切るわ、プロでも勝てない妖怪を倒すわ。」
「俺の知らない間に、タケシは強くなってる。」
「同感ね。」
ミサキが割って入る。
むず痒い感覚から逃げるように話題を切り替えた。
「さっき宮澤さんから聞いたんだけど、この件の情報が洩れてるって聞いた。」
「ハジメは何か知ってるんじゃないか?。」
ニタリと笑うハジメは首を振った。
「いんや、それが分からねえんだ。」
犯人はやっぱりお前か。宮澤さんこいつです。
「あたしもそのことで注意をしておきたいのよ。」
「退院したら、メディアとかから質問されたりすると思うんだけど、こういうのはギルドに任せた方がいいわ。余計な災難が降りかかるわよ。」
ハルカが注意を促す。
「そうだろうな。見てきただけでも被害は大きかった。話題にならない方がおかしい。」
俺達はしばらく談笑したのち、3人は帰って行った。
いまのところハルカに変化はない。
「もう少し様子を見るか。」
心拍を知らせる機械音だけが部屋の中で響いていた。
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近日中に新作も公開しますので、よろしければそちらもご覧ください。




