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ガーディアンゲーマーズRPG  作者: 野々原 三月
9/10

チュートリアル9 あらすじ


「1番の不審は、何故この元動画を運営は削除したのに加工編集までして再アップしたこの動画が今だに観覧可能かって事っスよ」


そこには1人のドワーフ亜種ドワードの姿があった


ドワーフ亜種ドワードとは?

聞きなれない種族ではあると思うが

このドワードはバラッド戦記のオリジナル種族である


ドワーフの様な出で立ちではあるが

容姿はプレイヤーが好みそうなヒューマンに近い、言わば北欧民族の様な外見を持つ


能力はドワーフと同じ仕様らしく

体力と力が強く至って鈍足

しかし、手先が器用でクラフタークラスとしては鉄細工、武器合成が得意と言ったところだ


ただドワーフとまったく違う点が1つだけある


身長である。


実は、このドワード誕生秘話には試行錯誤がありVR技術が進んだ昨今、避けては通れない理由でドワーフの亜種として誕生した


視点…


ドワーフは基本的に身長が低い

故に、ある苦情が発生した


女性キャラの下着が見えやすい。


昨今、不謹慎と言う言葉を良く耳にする

御多忙に漏れずこの問題はSNSで拡散され

あれよあれよと言う間に世界規模で話題に上ることになる


老若男女、ゲーマー、ノーゲーマー、興味が有ろう無かろう関係なくSNSを利用している者がバッシングを始めそれを煽るかの如くマスコミが報道を加熱させる


そしてドワーフはVR界隈から根絶された


今、我々の目の前で鼻高々に腕を組み講釈を垂れたそうにしているドワードも根絶されたドワーフの1人である


世界中のドワーフが怒りそして泣く中

彼は戦った、誰よりも気高く戦った

彼は世界を変えようとした

彼は彼等の誇りを守る為戦ったのだ


世界中のプレイヤーに呼びかけ

署名サイトを駆使し何万人と言うプレイヤーを集め抗議した


時にはSNSで叩かれ

何度も挫折し、その度に彼は立ち上がった


その行動力には脱帽するしかなかった

そして我々MAOのメンバーも署名として微々たるものではあるが協力した


しかし、彼は知る


たった1人の人間、

それも庶民が世界を変える事など出来ないと


自分は英雄にはなれないと知るのだ


もう2度とスカートの中を覗く事は出来ないと…知るのだ


何万と言う署名で抗議をしたが

その結果は覆る事は無かった…


時代…


時代が…時代と言う大きな流れが優ったのである


そして彼は心に深い傷を残し

バラッド戦記から姿を消した


そんな彼が今、我々の目の前にいる

何故なのか!?


簡単な理由である


今日の依頼主だからだったりする


1週間程、バラッド戦記を継続するか辞めるか悩んだ末に何事も無かったかの様にしれっと帰ってきやがったのだ、それが去年の話し


「おかえりトマト」


「え…あ、はい…?

え?…な、なんっスか……ワンコさんその優しい眼差しは…おかえり?…え?」


「あれから一年か…」


「え?……な…なんの話しっスか…?

てか、自分の名前は冬馬十兵衛っスって…」


トマトはオロオロとしながらアラタに目で

「これはなんなんっスか!?」と

訴えかけている


アラタはそれに対してため息で返事を返す


「で、トマトさんは、この動画の意図がわかるんですか?」


せっかく遅刻して来たトマトをからかって遊んでやろうと思っていた俺の計画をアラタが冷静に元の話題へと戻した

本当に遊び心のないメガネだなコイツは…


オドオドと俺の顔色を伺いながらトマトはアラタのGTVへと目を落とす

噛み付きゃしねーよ…


「えっとっスね…この動画アップしたのは自分なんっスよ…あと冬馬十兵衛っス」


「え?」


俺とアラタは動画の詳細を確認する

すると投稿者の名前が1010チャンネルとなっている


「本当だな、お前んとこのサイトからじゃんか」


「へへへ」


トマトは、バラッド戦記の攻略サイトを運営する事で生活費を稼いでる人間だ


サイト運営とは言えほとんどは書き込み主体のサイトであり、攻略はプレイヤーが勝手に書き込んでいる


いわば運営していると言うより管理者と言う方が良いだろう


コイツがやってるのは新規イベントを告知している程度の事で

時折、素人プレイヤーを偽って質問しては回答を受け、そこからまた質問をしてと言う流れで他プレイヤーの知識を上手く引き出して攻略サイトっぽく魅せているだけなのである


そんなトマトが大好きで尚且つ重視してやっているサイト内の掲示板が



[バラッド戦記(G max社)陰謀論]



「なるほど納得したわ」


「へへへ…コレは大スクープっしょ!?」


「トマトがこの動画見つけたのか?」


トマトは少し焦った様な態度をした


「掲示板経由か…」


「そうなんスよ…ただね、これまた不審と言いますか何と言いますか…あとトマト違うっス」


陰謀論好きの特有の言い回しだ

この言い回しの時は、結局は真実は、まだ何処にも存在していないって相場は決まってる

逆に陰謀論に引きずりこむのが主体だろう

ただ、真実は[まだ]何処にもないってだけで陰謀すら完全に無いとは言い切れない


「コメなしで、この動画だけが貼られてたんっスよね」


アラタのメガネが光る


「前後に貼った人物っぽいコメントは無かったんですか?」


「それが何の脈絡もなく突然っスから…」


アラタとトマトは何事か思案に暮れているが…正直に言うと情報が少な過ぎる


それは仮説さえ立てられない程に


「で?」


「は、はい?」


「トマトら陰謀論者の見解とか出てんのか?」


「はい、まだ憶測ですがイベントのテスト的な何か…か、それに伴うバグってとこっスかね…あとトマト違うっスって…」


まあ、妥当な見解だろう

イベント前のNPCの挙動テスト

それがもっとも有りえる…と思う


歯切れが悪いのは俺達は所詮プレイヤーであってプログラマーでは無いからだ

故にこの挙動テストと言う物が有るのかどうかもわからない

言わば素人考えである


「ただ…」


思わせぶりに一呼吸間を空けトマトは続ける


「これと同じ様な事が他にも起きてるみたいなんっスよ」


「え?」


俺とアラタは同じタイミングで顔を見合わせた


「三国でですね…場所、時間は違えど、このセントラル以外の国内で起こってるっス

コレはウチのサイトに来る人…しかも結構な人数が直に見てるっスよ」


そうなると話は変わる

イベントテストの線は薄まる事になる


G maxがそんな下手を打つはずはない


「バグ…不具合…かな」


アラタは下を向いたまま物思いにふけりながら呟く様に言う


「確かに最近、不具合が多いな」


「G maxでの初めての不具合がこの間のアプデ以降っスよね

それ以降、不具合がチラホラ報告されてるっス…それと関係あるかもっスね」


と言ったトマトではあるが妙に軽く

まるで話を流すかの様な口調だ


「でもね」


ほら来た


「これ、もう1つ不可解な事があるっスよ」


「なんなんですか?」


アラタは前のめるかの様にトマトににじり寄った、コイツも昔から陰謀論とか好きだからな…


それに気を良くしたのかトマトはニンマリしながら小声で続ける


「この一連のNPCの動きっスよ」


「動き?この挙動の事か?」


トマトはチッチッチとジェスチャーをしてみせる


「なんでもプレイヤーにバレない様に特定の場所へ行ってこの現象にあってるんっス」


「プレイヤーにバレない様に?

よくわからないですが?どういう?」


バラッド戦記でのNPCはまるで本当に街で暮らしている人かの様に動く

多分、移動場所や経路はランダムだとは思うが街中をウロウロとしているのだ


朝方になるとそれぞれの建物から現れ昼にかけて徐々に街中はNPCでいっぱいになる

更にプレイヤーが合わさったのが先に新規2人と立ち寄ったセントラル中央通りだ

そして夜になれば徐々に減っていく


まて?じゃあこの情報元はアレか?


「彼等はランダム周期で徘徊しているんスけど不意に横道へそれて例の現象にあって帰って来ては次のNPCがまた同じ様に不意に横道へそれてって感じで、交代でなってるみたいっス」


「なんだか気持ち悪いですね」


「情報源はモブキャラストーカーか?」


アラタはモブキャラストーカーと言う言葉を聞いてあからさまに嫌悪感をあらわにした


「え?…あ、はい…よくわかったっスね」


「じゃあ信憑性は高いな…」


なにせ彼等は暇な1日モブキャラの後をついて回ってはその行動を観察している


モブキャラを尾行しては、その軌道をマッピングし、あーだこーだと語り合うクランすら作っているのだが

何が面白いのはわからんがリアルでストーカー行為をするよりはマシだろうとは思うのだが…


「そんな人達の情報なんて当てになりませんね」


まあ潔癖症なアラタらしい偏見だことで


ただやはりコイツらモブキャラストーカーの情報は真実味が高いと俺は思う


なんせ変質し歪んだ愛の形…だから…かな?


「情報源はさておき、

と言う事はだ、

やはりバグの線は消えると思うわ」


「なんでそう思うんッスか?」


「そりゃあ…おまえ」


トマトよろしく俺の天才的考察を披露しようと間を開け

2人が俺に注視したタイミングで奴が現れた


「ごめぇ〜ん待ったかしらぁ〜」


スラリとした長身の美女

胸はほどほどに

引っ込むべき場所は引っ込み

露出の少なめな嫌味のないパンツスタイル


仮想世界においてこれ程までに控えめながらも人々の目を引くキャラメイクが出来るコイツはセンスの塊であろう


もちろんその嫌味のない雰囲気から

男女共に慕われる言わば女子校のお姉様的な存在のこの…


「ナツキさん!チィーーッス!!!」


「ナツキさんお疲れ様です」


そうこのナツキ…さん…だ。


「みんなハロハローー!」


残念な事にこの女は容姿とは裏腹に恐ろしく軽い性格をしている

ただ、人を選んでお姉様とお姉さんを演じ分けている様で…

こちらのナツキさんはお姉さんの方だ


このシーフのナツキさんと聖騎士アラタが我が団、MAOの数少ないメンバーである


ちなみにどうでも良い話しだが

今回の依頼人、このトマトの所属しているイジリ工房はトゥーザトゥルー6大ギルドの1つ最大手クラフトギルドだ


「団長もハロハローー!」


ニコニコと足取り軽くアオイが寄って来るのを普段の条件反射でサッとかわしてしまう


「ちょ!?団長ぉーー!」


「お…おう」


「なんで逃げちゃうのよ!!」


なんで?

なんでなんだろうか?


「こ〜んな綺麗なお姉さんが飛びついて来て上げてるのに〜」


何故かは、わからんが俺の身体が彼女を外敵と認識しているとしか言えない…

言うなれば天敵…なのか…

コイツは特に俺をからかって来るからそのせいなのか?

とりあえず何故か俺はナツキが大の苦手だ


「はいはい…」


「やぁーねー、団長まーた塩対応?」


ニヤニヤと戯けて見せるナツキは

あいも変わらずイジリキャラの様な笑みを浮かべている


「う、うるさい…んな事より時間が押してんだからサッサと行くゾ!!」


「ワンコさんはナツキさん苦手っスね〜」


トマトがナツキの様な意地悪な笑みを浮かべニタニタと先頭に立つ


「女性にその態度はダメだろワンコ」


アラタもトマトに続く


それを見てニヤニヤしながらナツキは俺の背をドンと叩く


「本当に団長ひどーい」


「うっせーよ」


「や〜だ〜アラタ〜ん

アホ団長が〜こ〜わ〜い〜〜」


「なにやってんだアホ犬!!

だ、大丈夫です!僕が守りますから!!」


テケテケとアラタの影に隠れニヤニヤこちらを見るナツキを尻目にやれやれと歩く俺の側にトマトがやって来る


「で、」


「ん?」


俺は、考えがまとまらない脳で先ほどの問いに答える


「内部の誰かが何かを伝えたがってんだろうな…」


このまだ何も導き出されてすらいない会話がこれから先に俺とトマト、2人に重要な意味を持たせるとは誰も…

いや、女神である彼女だけは…もしかしたら

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