第12話 真なるレベル65536
中ボス部屋を抜けて選ばなかったルートを辿ると扉が開いていた、見たところ結局は中ボスを倒さなければ通れなかったのだろうと判断した3人。
ドア前に立ち話す。
「……完全に大ボス部屋だな」
刀を鞘から抜刀する準備をする零。
次こそ俺が2人を守る。
「そうね」
拳を握る。
もう仲間が悲惨な目に遭うのはごめんよ。
「嫌な予感する〜」
次こそ足引っ張らない様に……
3人はそれぞれ思い足を踏み入れた、地獄の門。
その瞬間にバタンっとドアが閉まり真っ黒に変色した。
「あれが……あの玉座のデカいやつか……」
やばいオーラ増し増しだぜ……
直ぐにはケリはつかないな。
零の目線には巨大な甲冑を着た骸が静かに鎮座していた。
目に青い炎が灯った。ゆっくりと立ち上がり大剣を地面に突き刺しながら立ち上がる。
——
【WARNING】
種族:ブルースカルナイト
推奨レベル:100
推奨人数30〜人
危険度:高
——
「は!? ここ推奨レベル50だろ?」
零に初音が反応した、彼女は嫌な予想を立てた。
「ここって……裏ボス部屋じゃ……さっきの蜘蛛が本来のボスでこっちはわざわざ倒さなくてもいい奴じゃない……?」
ゾワッと全員が冷や汗をかき背筋が凍る、ナイトと全員が目を合ったからだ。
「私よりも上ね……」
「解析眼! ……っ!? こいつスキルでかなり強化されてるっ! 単純な力は250レベルくらいあるよ!」
それに零が振り返る。
「何っ!? 弱点は!!?」
「……ない、ないよ……嘘だ……」
初音の見ている光景は絶望そのもののステータスだった。
3人が固まっているとナイトは一1歩踏み込んだ。
3人が見ていたのに消えた。
「速——」
ズドォォォン!!!
凛は拳で大剣を受け止めて後方に飛ばされた。
「お、重っ!!」
レベル差以前の問題だった。
純粋な技量に純粋なパワー、完全に裏ボスだった、
そこから10分ほど奮戦したがジリ貧。全員は肩で息をして、なんとか死なないようにするのが限界だった。
凛は肩を裂かれ、零は何十の刀が折れ、初音は魔力が底をつき始めた。
「まだ倒れないのっ! 鎧は粉砕したのにっ!!」
初音と己の肩を庇いながら怒りを露わにする凛。
またオーバーロードをする……? 無理ね、四肢が負荷に耐えれず弾けて死ぬだけ。
その瞬間に2人が立っている場に向けて青い炎を纏った大剣を投げるかのように構えた。
初音の解析が入る。
「ダメっ! 私は良いから凛、避けてっ!」
地面に座り動けない初音。凛は見捨てる事が出来ず肩を貸す、その瞬間に大剣が投げ飛ばされた。
——避けられない。
だが零に迷いはない。
「2人共……助かれっ」
彼は2人の首根っこを掴み思い切り投げ飛ばした。
直後
ズバァァァア!!!
投げられた大剣は零の上半身と下半身を引き裂き左腕の前腕も千切れて地面に倒れ伏せた。
「がぁっ……」
初音の顔に生暖かい血が大量に被り、凛は千切れた腕が自分の膝上に落ちてきた。
初音は耐えきれず赤子の様に泣き叫ぶ。
「零ィ!!!! 嫌だぁあ!!!」
「手……零の手が……」
凛はガクガクと震える手で、彼の千切れた腕を掴み発狂寸前になる。
彼は血溜まりでモゾモゾ動く、自分の下半身を拾う為に。
さ、寒い……ってのに傷口は熱い。
目が開かない、眠い……血の味がする。
あぁ……俺、守りきれなかったなぁ。
ここで終わりなのか……? 違うッ!
その瞬間に世界は止まる。
——
瀕死状態を確認
条件達成。
保有ポイント解放。
自動獲得を開始。
——
【高速回復Lv1】
取得。
【痛覚遮断Lv1】
取得。
【身体再生Lv1】
取得。
【超回復力Lv1】
取得。
切断された左腕が浮遊して零の切断口にくっ付き神経まで接続され完全に回復、その次は血塗れの下半身が同じ方法でくっついた。
零は目を見開く。
「戻った……!??」
覚悟が身体に呼応したのか……?
ならやり返してやる、終わりにしよう。
——
戦意を確認。
反撃の意思を確認
適性を確認。
攻撃スキルを解放。
——
【身体強化Lv2】
取得。
【刀剣精製Lv2】
取得。
【斬撃強化Lv1】
取得。
【剣術Lv1】
取得。
【見切りLv1】
取得。
【瞬発力強化Lv1】
取得。
——
零は静かに立ち上がり2人の方を向く。
「心配かけたな、俺はまだまだやれるらしい」
凛と初音は心の底から安堵し涙を流す。
「零……!!」
ナイトは剣を引き寄せて手元に戻す、流れで剣を零に当てようとするも大剣は瞬時に一刀両断。
「姑息な真似を」
俺は変わった、全てを守るッ。
ナイトは剣が無くなり身体覆い被さる様に零に突進した、だが遅かった。
「悪いがやらせてもらう、一太刀だ」
踏み込み一閃、
足音が一つ。
ブルースカルナイトは動かなかった。
次の瞬間には、ズルっと縦に真っ二つになり崩れ去ると同時に爆散した。
スマホが鳴る。
——
【ダンジョン攻略完了】
【初回攻略報酬スキルポイントを配布します】
——
しかし、零の携帯は続けて表示される。
——
安全を確認。
スキルの大半をロックします。
——
「え……? 嘘ぉ!? なんで消えるんだよ!」
初音が解析した。
「違う! 使えなくなっただけで所持は……あれ?」
レベル0だったはずの表示が揺らぐ。
ERROR
ERROR
ERROR
【レベル0】
ERROR
【レベル65536】
「……え?」
ERROR
【レベル0】
次の瞬間には再び、【レベル0】に戻っていた。
「今の……何? 本当ならこの世界にこんな数値があるの……?」
まって、今の数値に似たの見覚えがある様な……
初音は腕を組んで考えていると零が頭を傾げながら肩を掴む。
「どうした? 帰るぞ!」
あーあ……守れたけど楽に強くなれないかぁ……
レベル0ってもしかしてやっぱりバグっておかしくなってんのかなぁ。
「帰りましょ」
「う、うん!」
見間違いだよね……だって桁がおかしいし、そうだよ。
初音は首を横に振った。
……見間違い……だよね
そう自分に改めて言い聞かせる。
だが、胸の鼓動だけは、いつまでも収まらなかった。
凛は初音の手を握り、そのまま3人は外に出た。
この零が見せた強者の片鱗は序章に過ぎない。




