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第44話:ランチでの騒動

朝の騒動も午前中の授業が終わる頃には収まってきた。ランチタイムになり、いつもの5人で席を並べて、これから食べようとしたところで、一人の女の子がクラスに入ってきた。


「夏樹、一緒にランチ食べようよ!」

「えっ、美桜みおさんどうしたの?」

「たまには一緒にランチを食べるのもいいかと思って。だって違うクラスだとなかなか一緒に食べられないでしょ」


やってきたのは美桜みおだった。これまで一緒にランチを食べようなんて言ってきたことはなかったのにどうしたんだ?


(ねぇお互いに名前で呼び合っているよ)

(宮沢さんじゃなくて、こっちの女の子と付き合っているのかなぁ)


突然、可愛い女の子がクラスにやってきて、名前で呼び合っていることもあってクラスが騒然としている。


『夏樹君、誰なの?』


隣に座っている宮沢さんが小声で聞いてきた。


『幼馴染で井上美桜いのうえみおさんと言うんだけど』


名前を教えたところで宮沢さんの表情が冷たいものに切り替わる。なんだろう?まるで敵を見ているかのような厳しい表情に変わった。えっ?宮沢さん、美桜みおとは初対面だよね?


「ごめんなさい、井上さんでしたっけ?夏樹君は私達とランチを食べているの」


なぜか宮沢さんが答えてくれているが、完全に喧嘩腰になっている。なんでなんだ?


「宮沢さんですよね。ごめんなさい、夏樹は私とランチを食べるの」


美桜みおも宮沢さんに言い返している。なんでそんなに対抗心を燃やしているの?なんて考えているうちに宮沢さんと美桜みおが俺に聞いてきた。


「夏樹は私とランチ食べてくれるよね」

「夏樹君は私達とのランチを優先するわよね」


クラスの雰囲気が一気に冷たいものに変わった。


『おい最上、なんとかしろよ』

『なんとかって、俺にもどうしてこうなっているのか分からないんだよ』


村瀬が小声で俺になんとかしろと言ってきているが、そもそもなんでこんなことになっているのかが分からない。どうやら俺とランチを食べることで争っているみたいだが、別にモブの俺とランチを食べても何もいいことはないと思うのだが。それに初対面のはずなのに、なんでそんなに対抗心を燃やしているのかわからない。


『とにかくどっちかを選べ』


村瀬が選択を迫ってくるが、これはどっちを選んでもダメなやつでは。といっても、このままではどうにもならない。とにかく美桜みおを外に連れ出すしかなさそうだ。


「今日はランチは別で食べるよ。美桜みおさん、別の場所で食べよう」

「うん。それじゃ、皆さん夏樹を借りていきますねー」


火に油を注ぐんじゃない!と言いたかったが、もう遅い。とりあえず体育館の2階に行って食べることにした。あそこなら見学できるように椅子がたくさんある。


「夏樹、その玉子焼き一つちょうだい」

「あぁいいよ」

「その代わり、このピーマン炒めあげる」

「それ、代わりになっているか?」


しばらく一緒に食べていると


「ねぇ夏樹」

「どうした美桜みお

「これから毎日ランチ一緒に食べる?」

「そんなことしたら美桜みおが友達とランチを食べられなくなるだろ」

「そうだけど、夏樹とも一緒に食べたいな」

「それなら夕食を食べに行くよ。どのみち、いつも一人で食べているし」

「ほんとに!それならランチは我慢する」

「ただし食べさせてもらうのは無しだからね。俺が作った夕食も持っていくからお互いに料理を出し合うということにしてね」

「うん」


とても嬉しそうな美桜みおを見ていると、夕食を一緒に食べることにして良かったと思うのだが、こんなに美桜みおの家で過ごす時間が長くなっていいのだろうか?と悩む俺であった。


□▲□


「さーて、夏樹君、説明してくれるよね」


ランチから戻ると、当然のごとく宮沢さんからの尋問が始まった。なにか浮気をしているような雰囲気になっていないか?村瀬の方を見てみるが、完全に無視されていて助けてもらうことはできなさそうだ。


「えーと。幼馴染がたまには一緒にランチを食べようと言ってきただけなんだけど」

「名前で呼び合っているみたいだけど、付き合っているの?」

「いや、子供の頃から名前で呼び合っていただけだから、付き合ってはいないよ」


若干、宮沢さんの雰囲気が柔らかくなったような気が?


「それで、今日はどうして井上さんを優先したのかしら?」

「さすがに、わざわざクラスまで来てもらって追い返すわけにはいかないから。今後はランチについては、一緒には食べられないとは伝えたし」

「そう、まぁそれならいいかな。」


ここで「代わりに夕食は一緒に食べることになった」などと言うわけにはいかないことはさすがにわかる。交渉ではこちらに不利になることは言わないのが当然なのだ。しかし美桜みおと一緒に夕食を食べることがなぜ不利なことになるのか釈然としないが。

いずれにしても、なんとか尋問は終わってくれた。なんでランチを食べるのに、こんなに苦労することになるのかわからなかったけど。

第44話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

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