第42話:週末の予定2
「夏樹先輩、週末にまた買い物に付き合ってもらえませんか?」
「いいけど、今度は何を買うの?」
「可愛いエプロンが欲しいんです」
前回のミトンといい、可愛いエプロンを買うのに俺が必要なのだろうか?と思わなくもないのだが、まぁ買い物に付き合うぐらいはいいか。
「いいよ。」
「やったぁ。じゃぁ今週末でいいですか?」
「今週末はクラスメイトと遊ぶことになっているから無理かな?」
「クラスメイトって、あの勉強会のメンバーですか?」
嬉しそうだった佐伯さんの表情が一転、暗くなる。あれ?エプロンをそんなにすぐに買いたかったのかな?
「そうだね。他にも参加する人がいるけど」
「何時からですか?」
「部活がある人もいるし午後からだよ」
「そしたら午前なら大丈夫ですね。朝10時に待ち合わせでいいですよね?」
なぜか午前中に買い物に一緒に行くことが決まってしまうのであった。
□▲□
この日の家に帰ってからの勉強会は、最初から雰囲気がいつもと違っていた。
「それじゃ夏樹、どうなっているのか説明してもらうわよ」
「説明って、料理部の後輩って言っただろ」
「それだけじゃ、全然わからないわよ。なんであんなに親しげなのよ?」
入部したときに最初に案内したことや、佐伯さんが話好きで部員で対応できたのは俺だったりとか、ここまでの経緯を説明して、やっと納得してもらった。今日の勉強会はどうなってしまうんだ?
「なるほど、なんとなくわかってきたわ」
「わかってくれて良かったよ。それじゃ、勉強会をやるか?」
「その前に埋め合わせをしてくれるって言ったわよね」
まだ勉強会に戻れなさそうだ。
「あぁ。何でも言うことを聞くよ」
「それじゃ、学校でも美桜って呼んで」
うーん、そんな呼び方をしたら、なんか誤解を招きそうだけど、仕方ない。
「わかったけど頼むから呼び捨てだけは勘弁してくれ。美桜さんでお願い」
「仕方ない、そのかわりもう一つね。今週末にまた一緒に遊びに行って」
「今週末はクラスメイトと遊びに行くことになっているんだよ」
「クラスメイトって女の子もいるの?」
「そうだな。半分ぐらいは女の子かな?」
「ちょっと、場所と時間を教えてよ」
「場所はまだ未定で、時間は午後からだけど、まさか乱入するつもり?」
「そんなわけないでしょ。じゃぁ午前は?」
「午前は後輩に買い物に付き合ってくれって言われていて」
「はぁ?デートの約束をしているってこと?」
「いやいや、買い物に行くだけだから」
「実質デートのようなものでしょう」
料理部で調理用のグッズを一緒に買いに行ってほしいとお願いされただけということを何度も説明して、やっと納得してもらった。しかし買い物だけでこれだけの説明が必要ということは、プールに一緒に行ったなんて言ったらどうなるんだ?いや付き合っているわけじゃないから、説明なんて不要のはずなんだけど、なぜか説明が大変になることだけはわかった。
「わかったわ。今週末もいつもどおり勉強会で最後は私と会うことで良しとしてあげる」
なぜ許可が必要なような状況になっているんだ?とは思ったが、そんなことを言えるような雰囲気ではなかった。やっと尋問のようなやり取りが終わったので、勉強会用に出してもらった麦茶を飲むことにする。
「ねぇ夏樹」
「どうした美桜」
「今日、泊まっていく?」
ゲホゲホゲホ
「大丈夫?どうしたのいきなり咳して」
「むせた。いきなり凄いこと言うからだろ」
「だって小学生のころは良く泊まっていったじゃないの」
「それは小学生だったからだろ。高校生で言うセリフじゃないから」
「だって、いつも勉強会が終わるとすぐに帰っちゃうし」
負担にならないように早めに帰っていたんだけどな。
「わかった。今日は少し遅くまでいるよ。勉強会が終わったらいろいろと話をするか」
「うん。」
やっと勉強会に戻ることができたのであった。
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