認知
原田野江良が初めて田村乃衣瑠の存在を認識したのは、当時放送されていた、『アスリート応援TV! ニッポン! チャ✕3』なるバラエティ番組を観たのがきっかけ。
野江良は毎週その番組を観ていた訳ではなかったが、この日はたまたまTKHにチャンネルを変えただけだった。
タイトルの通り様々なスポーツを扱う番組で、何のスポーツだったかは覚えていないが、男性司会者が、
「あれくらいやったら、俺もそこそこいけると思うで」こう発言。
当然他の出演者達は、無理ですよ、とツッコミを入れていた。
番組には新人女性アナウンサーも出演していたが、その中で一人、無言で笑いながら、無理無理、と首を大きく左右に振るだけのアナウンサーがいた。それが田村乃衣瑠アナだったのだ。
この光景を観た野江良は、なるほど、アナウンサーは一々立ち上がったりしてツッコミを入れる必要はないのだろう、只座ったまま、やったこともないのに出来る訳がありません、と首を振る、表情と仕草だけの無言のリアクションだな、こう思いつつ乃衣瑠を注視していた。
アナウンサーは、バラエティでは笑顔でこうやってれば良いんでしょ、と、乃衣瑠に対して、他のアナウンサーにはない風格も感じた。
だが、只の出演者と視聴者なだけで、文字通り接点などあろう筈もなし。




