友達
爽哉は、芽衣子からさっきの本を手渡された。そこには、月光の中舞う1人の天使が描かれていた。
「それで、黒い影の襲撃はいつ来るんだ?」
「そうね。あと一週間ほどかしら」
芽衣子は、さらりと答えたが、その襲来は重大事項なはずだ。あと一週間なんて時間がない。しかも、いま知っている戦える人数は、芽衣子の父親合わせても4人。規模からして人手が足りているとはとても思えなかった。
「誰か、応援に来るのか?」
「そうね、あと2名ほどかしら?」
「それだけか?」
「ええ。2名でも貴重なのだから文句は言わないでほしいわ」
ぐうの音も爽哉は出なかった。
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それから、一週間は、優斗と爽哉と芽衣子の3人で修行をすることになった。やることは、実践的な黒い影を少しでもおびき出し討伐することをした。芽衣子は、手慣れたようにとてつもない速さで倒すため、芽衣子はすぐに課題が終わったが、優斗と爽哉は、2日経っても1日分の課題は終わらなかった。
「あなたたち本当にこれで戦うつもりなの?」
「い、、や、、そんな前までやったことなかったし、しょうがないよな爽哉」
「賀地君。あなたなめているの?すぐに死ぬわよ」
優斗は、大人しくなった。
「どうしてそんなに戦うんだ?」
爽哉はなぜか聞いてみたくなった。
「決まってるでしょ。この国を守る為よ」
「そうじゃなくて、本音をだ」
「本音?何言っているの?」
「見てる限り使命感に駆られてる感じでもない。なら、戦わなくてもいいんじゃないか?」
芽衣子は、涙目になっていた。
「わかってるわよ。わかってる、、でも、私はそう生きることしかできないのよ。この目があることによって崇められ、時には、戦えって言われて…。ええ、うんざりよこんなの。でも、力がある以上この仕事をしなければならないの。もういいでしょ」
芽衣子はそう言い放つと今日の練習を切り上げ足早に帰ってしまった。その後、芽衣子は、2日間僕らの前に現れなかった。その間、2人で手分けして戦ってはいたが、芽衣子の課題の1時間分にしか満たなかった。その次の日、芽衣子の恐れていたことは起こった。黒い影の襲来だ。芽衣子の言っていた通り、朝起こると窓から見える景色は真っ黒だった。
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「芽衣子!すぐに行くぞ!」
芽衣子の父の和彦だった。だが芽衣子は、外をぼっと見るだけで、動くことも返事もしなかった。
「芽衣子!何をしている」
「ねえ。お父様。私はどうして戦わなければならないのですか?」
芽衣子は、唇を噛んだ。
「お前は、過去にとらわれすぎだ。もう忘れろ。お前が封印を解かないのも過去があるからだろう。はやく行かないと手遅れになる。それこそお前の封印している意味もなくなる」
芽衣子はそう言われなくなく歩き始めた。その足取りは、非常に重い。
芽衣子の携帯に電話がかかってきた。芽衣子は、走りながら電話をとった。
「もしもし」
「爽哉と優斗だけど」
「はい。何ですか?」
「何だもないよ。これが来襲か?」
「はいそうです。では、緑丘公園に来れますか?そこで落ち合いましょう」
芽衣子は、冷静に2人に話すとすぐさま電話を切って戦い始めた。
緑丘公園に爽哉と優斗が付いたのは電話から5分後だった。
「遅かったですね」
そう言う芽衣子の周りには、見たこともない数の黒い影がいた。
「今から、黒い影を公園に全て閉じ込め隔離します。あなたたち2人は、公園にこの棒で公園の隅から隅を囲ってください」
芽衣子から渡されたのは、武器庫にあった、鉄パイプのような武器だった。
「応援はきてるんだろ!ならそこまでしなくてもいいんじゃね」
優斗この期に及んでも気楽に考えていた。
「応援は...来襲が早く来れない可能性が高いです」
芽衣子は戦いながら、言った。爽哉と優斗は急いで囲った。その囲みにも、10分かかった。そして芽衣子に終わりを伝えようとした瞬間芽衣子の動きは止まった。そして芽衣子はその場に座り込んだ。
「どうして...ねえ」
確かに芽衣子はそう言った。
「芽衣子!!」
芽衣子の前にいる黒い影に優斗は、銃を撃ち爽哉は、ナイフをとばした。するとその黒い影は、形を変え人間の形になっていく。そしてそこには、芽衣子と同い年くらいの女の子が現れた。
「ごきげんよう。皆さん。初めまして渡辺香奈と申します。今は〜悪魔?なのかな笑芽衣子はどうなっていいのかな?まあ私をたすけてくれなかった子に価値なんてないんだけどね」
可愛い声だが言ってることは残酷だ。渡辺香奈。どこかで直接名前は聞いたことないが、前に芽衣子の母、那津に昔話を聞いたことはあった。
確か、救えなかった唯一の友達だと聞いてる。爽哉は、意を決して言った。
「もしかして、あなたは、芽衣子の元友人で小学生の頃行方不明になった女の子じゃないですか?」
悪魔は答えた。
「そうだよ。よく知ってるね君。私は、この芽衣子と友達になってた香奈です!でーもーこの芽衣子は、黒い影に呑み込まれる私を助けてくれなかった薄情者なんだよ」
「芽衣子はそんなこと間違えてもしない」
優斗は芽衣子をすごく信頼して言った。
「あらあら、貴方は私と同じ香りがする。もしかして、生まれつき見えるタイプね。そして隣にいる子は香りが違うから、呑み込まれても吸収して見えるタイプね」
悪魔は、それをあざ笑うかのように言っている。
芽衣子は、放心状態に陥っている。
「芽衣子の秘密教えようかなー。まだ本家も知らないはず。芽衣子の特殊能力は、全て使えること!全能の神。私が、悪魔ならそれも上回る能力。芽衣子の能力を使えば、私たちはイチコロだけど使わないのは、芽衣子は罪滅ぼしで使えないからだよ〜。私を止められるのは、天使だけかな笑笑」
爽哉はそれを聞いて無性に腹が立った。
「お前は、友達をけなしてそんなに楽しいのかよ」
「君は、純粋な心を持ってるなー。単純単純。私はー何も思わないよ!悪魔だから」
爽哉の怒りはみるみる高まっていっている。すると、爽哉の背中に羽らしきものが見え始めた。
「お前は、まさか...」
悪魔がそう言いかけた時、目にも留まらぬ速さで、爽哉は芽衣子を悪魔の元から奪還した。
「爽哉。お前」
優斗は、あっけにとられていた。
「何?僕がどうした?」
優斗に、後ろ後ろと言われるので後ろを向くと羽らしきものが生えていた。
芽衣子も目を覚まし驚いた。
「どうして爽哉が天使なの...え」
「タチが悪いな芽衣子!友達だろ」
芽衣子はためらっていた。
爽哉は、天使の言い伝えの書物に書いてあった呪文を唱え始めた。
「あの呪文何ですか?」
優斗は、芽衣子に聞いた。
「人間と黒い影の分離の呪文...あの呪文は、天使になっても成功が少ないと書いてあった」
その呪文を、爽哉は唱え終わると、悪魔の前に手を差し出し言った。
「渡辺さん戻ってきましょう。芽衣子は、見捨てるわけないです。あいつは、正義感強くて優しさを隠すのがかっこいいと思ってるそんな奴です」
悪魔は、黄色い光に包まれ香奈はその中で泣きながら笑っていた。そして、悪魔と香奈を分離させるのに成功したが、香奈は弱りきって深い眠りについていた。
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「どうだ?渡辺さんは目を開きそうか?」
爽哉は、病室に座ってる芽衣子に話しかけた。
「わからないわよそんなこと。もう、2ヶ月も眠っているのだから」
「友達思いなんだな」
「あの時は、助けてくれて、その...なんていうか...ありがとう」
照れを隠しながら目を逸らして言う芽衣子はどこか普通の女の子だなと感じた。
「これからも戦うのか?」
「うん。私にはそれしかない気がするから」
満面の笑みを浮かべながら芽衣子は言った。
完結です!いかがでしたでしょうか?私的には、まだまだな作品でした。申し訳有りません。でも、完結させなきゃいけない気がとってもしたので最後まで書きました。よければ感想ください。読んでいただきありがとうございます。




