黒い影
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(@shiraisi_minori)
「何でこんなことになったんだろう」
保健室の前で、爽哉はため息をつく。
それはそうだ、これから、ある一名にプリントを届けることことになってるのだがそれが憂鬱なのだ。その生徒は、名前は神城芽衣子。ここら辺の土地は大体、神城家が持ってるのではないかというぐらいのお嬢様で高校は単位制だが彼女は登校日が少ないのにも関わらず学年10位以内という頭の良さで先生の間では問題のないことにされていると噂できいた。そして、芽衣子はだいぶ協調性に欠けてクラスに馴染めないよりか馴染まないため登校しても保健室にくるだけだ。彼女の噂は、色々ある。それが本当かはわからないが冷徹な芽衣子をいつしかみんな避けて神とふざけて呼んでいた。
「よっ。蒼木」
保健室でため息をついていた爽哉の肩に優斗は、手を乗せた。
「何だよ」
そう気の抜けた声で爽哉はかえした。
「よっクラス委員長!」
こんな平凡な爽哉がクラス委員長になったのには理由がある。それは、簡単な理由だ。
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四月の初めクラス委員長を決めるときにクラスの雰囲気は、優斗で決まりだよね。とみんなの意見は一致していた。なぜなら、優斗は学年1の頭の良さや運動神経もよく何と言っても人徳がある。
「はーい!クラス委員長の立候補いないなら推薦だけどどうかしら」
速水先生は言った。みんなが目配せしてる中、手を挙げたのは他でもない優斗だった。みんなは優斗がクラス委員長をやるのだとほっとして胸を撫で下ろした瞬間優斗は言った。
「 あのー蒼木がクラス委員長にふさわしいと思います。みんなもそう思うよな!」
そう言った瞬間クラスの雰囲気が一気に困惑へと変わった。それはそうだ。爽哉はとても平凡で存在感の薄い方だったからだ。だが、みんなが信頼できる優斗が言うと無駄に説得力がありいやそれは、嫌だとは誰も言えない雰囲気へと変わっていった。一番困ったのは、爽哉だった。もともとは優斗と幼馴染で小学生の頃は、爽哉の方が頭がよかったためクラス委員長を良くしていたが、中学になり挫折しもう高校2年の春だ。いきなり言われて恥ずかしくなった。
「立候補も推薦ももういないみたいだし、蒼木くんでいいかしら?」
そう言いながら速水先生は何か悟ったように黒板にクラス委員長 蒼木爽哉と殴り書きをした。
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「クラス委員長になったのはお前のせいでもあるんだからな」
強い口調で爽哉は優斗に言った。
「で、お前何してるの?」
爽哉の言った言葉をスルーするように言ったので、爽哉はもう怒る気にもなれなかった。
「保健室登校の神城っていう子にプリント渡しに行けと速水先生が言ったから」
「やっぱクラス委員長ならなくてよかった。速水先生パシリに使うので有名だったかさ」
何だかさっき怒らなかったことを後悔した爽哉は、また怒りが湧いて来た。(こいつ知ってて推薦したな)爽哉は心の中でその気持ちを噛み砕いて押さえていた。
「神城か…。」
優斗はそうためていった。そのあとすぐ去って行った。こんこんと保健室のドアをノックしたが返事がないのでそのままゆっくりと入って行った。物音もなく、目の前に現れたのは、茶色く綺麗なストレートの長い下ろした髪が、綺麗に保健室の窓からの風でなびいていた。芽衣子が振り返ると、赤く光る左眼が見えた。それを見て綺麗だと爽哉は思った。
「何を見てるの?」
芽衣子は、だいぶ驚いたように爽哉の顔を覗き込んだ。
「あっ。見ないで・・・」
そう芽衣子は、言いながら左眼を押さえてベットの横のカーテンを閉めた。
「どこの誰だか知らないけど、あなたは誰なの」
そう言われてハッと我に返った。
「あのー速水先生から、プリント渡しに頼まれた君のクラス委員長の蒼木爽哉です」
カーテン越しに喋るのは何だか初めてでソワソワしたがすぐに返事は戻ってきた。
「そこの机に置いといてもらえるかしら」芽衣子はそう言ってすぐに帰ってもらってもいいかしらと言ったのでそのまま急いで保健室を出た。
そして、保健室のドア越しに芽衣子は今度は来週にわたしの家に来てくれるかしら?と言ったのでわかった。とノリで言ってしまった。
あの赤い眼は、何だったんだろうと思いながらウロウロと教室に戻った。何だか話してはいけない気がしていたが、爽哉は どっかの中ニ病と同じようにカラーコンタクト入れて目が乾いたのだと解釈した。片目が色の違う人なんていると思えないからだ。でもとりあえず気になっているので図書室で調べた。片目が色のの違う猫はいた。その目をオッドアイと呼ぶらしいことはわかった。
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一週間後。芽衣子の家の前まで来たら呆気にとられた。家が大きいと噂では聞いていたが、見上げるほど大きく何と言っても門が大きい。門から家まで見えないくらいだ。(皇居か)
「皇居か」
爽哉は、思わず声に出した。爽哉がこの町に住んでるのに知らなかったのも無理はない。芽衣子の家は町外れにあり山一個ぶん全てが神城家の敷地であるから当然入ることもないしその近くは、昔から色々不吉なことが起きると言って近づくものも少ない。そうこうしているうちに門が開いた。門からは、屋敷まで20分もかかった。そこから、家の中のメイドさんに芽衣子の部屋を尋ねて部屋を行ったり来たり。それで二十分。もう爽哉は動けそうになかった。部屋の前で、メイドさんが、お嬢様いらしゃいました。と言ってるところが僕らの住む世界が違うとまた思わせる。入って。と芽衣子が言ってる所も本当に何か別格だ。
「どうぞ」
こう見えても女の子の部屋は初めてだが、普通の女の子の部屋じゃないことは十分わかった。豪華だが、部屋の中は質素で大きなベットとクローゼットと机と本棚だけしかない。でもその家具はアンティーク調になってるのが一番凄い。
「何をキョロキョロしてるのかしら」
紅茶を入れながら言う芽衣子は学校で見た雰囲気と違うのと目も赤くない。
「これが一週間分のプリント」
「どうも」と紅茶を飲みながら言った。洋服も全身見ると見るからに高いピンク色の花柄のワンピースだ。
「本当落ち着きがないのね」
芽衣子は、カーテンを開け大きなドアを開けバルコニーに出た。
「あなたを呼んだの何かわかってるかしら?蒼木君?」
(自分で言っといてなんだよ)
「この目を知られた以上しょうがないわ。もう最悪よ」
(中ニ病になれってことか?)
「じゃおう心が、、」
「何言ってるのかしら」
芽衣子は呆れた様子でこっちへ近づく。その時に左眼のコンタクトを取った。それは、光る暁のようだった。
「なんなんだよ。去年のクラス委員長にもやったのかこれ?」
「何を言ってるのかさっきからわからないわ」
「だから、神城は中二病なんだろ」
と言った後ゆっくりと神城の顔を覗き込んだがみるみる赤くなって言った。
「ふざけないでくれるかしら。あなたそれ本気で言ってるの?」
(なんなんだよ)
「じゃあなんで学校来ないんだよ」
「今からそれを説明しようとしたのだけどあなたに聞く気がないからでしょ。なんであなたなんかクラス委員長になれたのかしら」
ボソッと芽衣子は棘を放ち、爽哉はイラっとした。
(お前が来いと言ったから来たのに本当なんだよ)
「私が、学校に来れないのは仕事をしてるから。この仕事は命がけ。命を落とした人は何人もいるわ。それにこの仕事は、国家秘密だけれどあなたを傘下に入れれば問題ないの。入る気ない?」
「さっきから言ってることがおかしいんだよ。国家秘密とかなんだ意味わかんない。中二病もその辺にしとけ」
と爽哉は心の中にしまっておく感情を言葉で出してしまった。
「もう・・・。いいわ」
爽哉は、イラっときて耐えきれずその場の感情に任せて芽衣子の部屋を後にした。そのまま広い屋敷の中を全速力でかけていたその時だった、どんと何かにぶつかった。あたりを見回しても誰もいないようなと思ったら横に倒れてる女性がいた。驚いて逃げようとした。
「待って」
女性が呼び止めたため、止まった。
「あの、芽衣子がまた失礼をしたみたいでごめんなさい」
その女性はぶつかったことを怒るのかと思ったら逆に、謝られたので爽哉はすごく驚いた。
「あの、僕の方こそごめんなさい」
爽哉は、呆気に取られながらもとりあえず謝った。
「私は、大丈夫。申し遅れてたけど、芽衣子の母親の那津って言います。よろしくね」
「あっはい。僕は、その、神城さんのクラスのクラス委員長を務めてる蒼木爽哉です。よろしくお願いします」
「あら、彼氏さんじゃ無いんだ。残念だわ。芽衣子が、男の子を来客で呼ぶからてっきりそう思っていたんだけどね〜」
なんとなく、このお母さんは優しそうで芽衣子を見ると芽衣子の母親には見えなかった。
「爽哉君ちょっと時間ある?」
そう言われて、那津の部屋のバルコニーに連れていかれた。そのバルコニーには、綺麗にプランターが並べられパンジーやちゅうりっぷなどの花が咲いていて、花の甘い匂いが漂っていた。
「芽衣子があなたを怒らせたんじゃ無いかと思ったんだけど違うかしら?」
「いや、僕の方も悪いですし」
「芽衣子は、小さい時はすごく優しかったんだけど、小3の時に唯一の友達が行方不明になってそっからあんな感じになったの。人を人と考えないと言うか、みんなを顎で使うようなことを言ったり、人と関わることを恐れたりしてね。でも、あなたを来客にしたのわかる気がする。何か違うものを感じるから」
そう言って、バルコニーから見える綺麗な庭を眺めながら那津は言った。
「芽衣子さんが、命がけの仕事をしてるって本当ですか?」
母親の那津はまともに見れたのでどうなのか聞いて見た。
「本当よ。私もよくわからないけど、黒い影っていう怨霊が具現化すると自殺者が増えたり、ノイローゼになったり鬱になったりと精神疾患になりやすくなるから、それを倒して食い止めるのがこの家の仕事で、国家からもお金を出して貰ってるから、公務員なのかしらね」
あまり信じられないが、信じてみようと思った。
「オッドアイってなんなんですかね」
「私もよくわからないけど、能力者かな」
「それ本気で言ってますか?」
「いたって本気。うちの旦那は治癒能力が使える。芽衣子はわからないけど」
そうなんですか。と曖昧に聞き流した。そうこうしてるうちに、日がかけてきたため急いで帰ろうとあの大きな門をくぐった時、何かに引っ張られた気がした。気のせいだと思って、そのまま歩こうとしたが足が重く動かなかった。
「動かないで」そう言った芽衣子は、こちらにくるのに身軽に跳ねながら銃らしきものを構えて近付いてきた。でも何か黒いものに取り憑かれたように意識を失った。そして目を開けたのは、2日後の夕方だった。
爽哉は意識を失ってる時夢を見た。芽衣子の記憶じみたものだった。芽衣子が女の子に必死に香奈、香奈と呼び続けている。その芽衣子に触れようとするが触れられない。芽衣子は、泣いていた。あんな感じしか想像できなかったのでとても驚きだった。そして、その映像は途中で止まってしまった。目を開けると、眩しい西日が差し込んんできて状況がよくわからなかったが神城家の屋敷のベットに寝ていたことはわかった。「あら起きたの?」芽衣子が、紅茶セットを持ちながら部屋に入ってきた。
「もう大丈夫だわ。安心しなさい。今週中は、注意して見て何か違和感あればここに連絡なさい」
芽衣子から携帯番号の書かれた紙を手渡された。それからすぐ、家へ帰ろうと門をくぐった途端視界に黒いものを感じるようになった。急いで家へ帰って、芽衣子に連絡した。
「あら、蒼木くんも見えるようになったのね」
芽衣子は別に驚きもせず当然のような声で言った。
「これは一体なんなんだ」
「怨霊よ。これが大きくなれば具体化して人に次々と伝染する。このことによって、伝染した人は、誰かをそんな理由で?と思うぐらいのことでいじめ始めるの。だから放っておくとどんどん連鎖して人口は減って景気も悪くなるから、これを少しでも取り除くために私の家があるの」
そう淡々と話していく。
「これから僕はどうすればいい?」
「それは、わからないわ。でも、あなたと同じ境遇なら、賀地君が知ってると思うから聞いてみるといいわ」
いきなり、優斗の話が出て驚いた。
「賀地って、優斗のことか?」
爽哉は思わず、聞き返してしまった。芽衣子は呆れた声でそうよと言った。
翌日。爽哉は、優斗を問いただすと知っていると言われた。
「俺が中一の頃黒いものが見えるって神城に相談したら解決してそっから、神城の仕事を手伝ってるんだ。だけど、神城が言うに、俺は生まれつき見える体質で見える範囲はごく近いらしい。お前はどっちなんだろうな」
と、優斗は遠くを見ながら話した。
「そういえば、神城が持っていた武器見たいのってお前も持ってるの?」
少し気になったので聞いて見た。もちろんと言って制服のブレザーの裏から神城が持っていたような銃が出された」
「これ神城が持ってたのに似てる」
「似てるけどちょっと違うんだ。銃だけど神城は連射タイプで俺のは、エネルギーを一回一回集めて使う威力重視のものなんだ」
まるで少年のように話すが、学校で銃らしきものを持っていたら普通おかしいのにみんな何も言わない。
「その銃はみんなには見えてないの」
「もちのろんだよ。これは具現化する前の黒の影でつくってる銃だから普通の人には見えないし触れられない」
へえ。と頷きながら返した。その日、芽衣子の家を訪れた。だが芽衣子は仕事に行っているようで、門前払いを受けた。その帰りのことだった、横断歩道を渡っていると反対側から、黒い影がおってくるのがわかった。爽哉は、必死に走って逃げた。その時後ろから肩を叩かれたのでそうやは思わず声をあげた。振り返るとそこには芽衣子がいた。
「蒼木君って運が悪いのね」と少し笑いながら、芽衣子は、二つの銃を持っていともたやすく黒い影を消滅させて行った。あまりに一瞬で、呆気にとられていた。
「これだけ、短期間黒い影に二回も捕まるとか聞いたことないわ」
芽衣子は、呆れていた。
「これから、時間あるかしら?」
「まあ」爽哉は、そう答えると、芽衣子は、走り出した。
「家まで走るわよ。あなたの体力をはかりたいの」
そう言って足早に芽衣子は走った。爽哉は、運動神経には自信はあったが、芽衣子の家は坂の街はずれだ。街の中心部からは走っても20分はかかる。爽哉は、走って10分程度でへばってしまった。
「蒼木君って案外運動神経はいいのね」とずっと走りつずける芽衣子に言われるとなんだかお世辞に思えて気持ち悪かった。
(ずっと走ってるくせに)その気持ちを爽哉は押し殺し走った。
「これから武器庫に行くわよ」
「は?結構もう辛いんだけど」芽衣子は、爽哉の手を引張って連れて行った。武器庫にはいろんなタイプの武器が備えられていて、銃や日本刀のようなものまであった。
あなたにあった武器は・・・と芽衣子が血眼になって探していた。これね。と手渡されたのは、一見すると手の中ぐらいに入る棒状のものだった。
「それは、折りたたみナイフ」
(銃じゃないんだ)
「銃じゃないんだ」声に出た。
「銃タイプは、運動神経悪い方に使うのが最適なの。だからね、蒼木君は、まあまあいい方だったから近距離での攻撃の方がいいかなと思ったのよ。銃の方が良かったのかしら?まだまだ、子供ね」
芽衣子は、爽哉を笑い倒した。
「それで、三回も襲われることって珍しいって言ってたけど、どう言うことなんだ」
「私でも、襲われるのは一週間で一度程度。それに、私の方から近寄ってるものだから、ほぼ襲われないと思っていいと思うわ」
「で、どう言うことだよ」
「もしかしたら、黒の攻撃が始まってると考えるのが自然ね」
芽衣子は、椅子に腰掛けて足を組んだ。
「黒の攻撃?って一体なんのことだ」
「100年周期で起こるとされている黒い影の襲来。具現化した黒い影がそこら中から湧いてくるの。そうなれば、この辺り一帯肉眼でも見える深い闇に包まれる」
「それを食い止めるにはどうするんだ」
芽衣子は、物分かりの悪い人ねと言いながら武器庫の奥にある本を取り出した。
「それを食い止めるには、今いる人で戦わなくてはならない。それと、もし奇跡が起きるのだとしたら、天使が現れるとこの本には書いてあるけど本当かどうかはわからないのと、天使が現れると同時に悪魔も誕生する」
天使、と爽哉は呟いた。




