(5)
「お前! やっぱり七海だ!!」
「へえぇぇっ!??」
ビビッてるあたしに、さらにおまわりさんは攻撃を仕掛けてきた。
なんであたしの名前を知ってるの!? あたしの顔って警察内部に知れ渡ってるの!?
もしかして、あたしって要注意人物されちゃってる!?
んなバカな! あたしは善良な小市民なんだってば!
お願い、誤解よおまわりさん! きっと話せば分かるから―――!!
「七海だろ!? 一海んとこの生意気な妹の!」
「・・・へ?」
なに? その妙に身内っぽい指定は?
「俺だよ俺! 一海と同じクラスだった優太郎!」
「・・・・・」
「ほら良く見ろって!」
いや、さっきから穴が開くほどじっと見てるけど。
同じクラス? 優太郎・・・??
・・・て・・・?
・・・・・
あ――――――っ!!!
「イジメッ子の優太郎―――!!」
思い出した! こいつ! 昔の面影がある! 小学校でずっとお姉ちゃんと同じクラスだった!
で、ずっとお姉ちゃんの事イジメてた腹立つ男だ!
あたしと花梨ちゃんの天敵だった優太郎だあ!!
なんでこんなトコにいるのよあんた! しかも警官の格好までして!
あ! お前もコスプレかっ!?
「思い出したか?」
「忘れるわけないでしょ! 性根の腐ったイジメッ子を!」
「・・・お前、全然変わんねーなぁ・・・」
「さんざんお姉ちゃんの事イジメてたクセに! 優太郎って名付けてくれた御両親に恥ずかしくないの!?」
「いつの話だよ」
「ふん! どんなに時間が経とうと犯した罪は消え去る事は無いんだからね!」
「お前に言われるまでもねぇよ。俺は警察官だぞ?」
「あんた本当におまわりさんになったの!?」
コスプレじゃなかったわけ!? こいつが警官? うわっ、世も末だ・・・!
コスプレだったらまだ救いようがあったのに・・・。
「お前、これは何なんだよ?」
優太郎がチラシを一枚奪い取った。ジロジロとチラシの内容を見ている。
「ちょっと邪魔しないでよ。勤労の最中なんだからっ」
「・・・バイトか?」
「まぁ、そうよっ」
「そんな濃い化粧してか? お前確かまだ高校生だよな?」
「あ、いや、これは別に・・・!」
優太郎は怖い顔であたしを見た。
「こんな暗くなってから、そんなコスプレして厚化粧してチラシ配りか?」
「そ、それはあたしが・・・」
「この店、実際はどんな店なんだ?」
「どんなって普通のカフェだよ!」
ちょっとあんた、なんかカン違いしてない!?
あたしが怪しいバイトして、金稼ぎしてると思ってるんじゃないの!?
違うってば!
あたしは慌ててチラシを取り戻そうとした。
でも優太郎は素早くチラシを胸ポケットに入れてしまう。こ、こら返せ!
ポケットに伸ばした手を、優太郎がガシッとつかんだ。
「七海、ちょっと一緒に来い」
「ええっ!?」
うわ! やっぱりカン違いしてるよこいつ! 完全にお怒りモードな表情だ!
『おかしな道に走りやがって!』って顔に書いてある!
だから違うんだって!
「違うってば優太郎っ」
「みんな最初はそう言うんだ」
「最初だけじゃなく最後まで首尾一貫して違うわよ!」
「親はこのバイト知ってるのか?」
「親には別に話してないけど・・・」
「ほらみろ」
「どこを見るのよ! どこを!」
「亡くなったお父さんに申し訳ないと思わないのか?」
「思わないわよ全然!」
人の話を、聞けぇっ!!!
「そこの交番で、ちゃんと話を聞いてやる。胸の中のすべてを俺に吐き出せ」
「・・・・・」
「心配するな。聞いてやるから」
・・・どうしよう。
別なモン吐きそう・・・・・。
あたしは完璧に『補導される問題児』な格好で、交番に連れて行かれたのだった・・・。




