表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/100

運命に立ちはだかる壁(1)


「・・・・・で?」


怒りマークが・・・。

語尾に、怒りマークがビシッバシと2個も3個もくっついてる・・・。


「あ、あの、花梨ちゃん・・・」

「で? それからどうしたの?」

「大地が自転車の後ろに乗っけて家まで送ってくれた・・・」

「そんな事聞いてるんじゃない!」


例の物置小屋の秘密の場所。

次の朝あたしは、花梨ちゃんに会うなりここへ引っ張ってきた。

昨日の事を説明するために。


花梨ちゃんには秘密にしておけない。どっかで絶対にバレるに決まってるもの。

へその緒よりも固い関係に、隠し事は不可能。今までだって秘密を隠し通せたためしが無いし。

内緒にしててバレた後が怖いの。花梨ちゃんって。

自分から暴露しちゃった方が何倍もマシ。


「一晩寝て頭を冷やして、ちゃんと思い直したんでしょうね?って聞いてるの!」


うわあぁぁ~~・・・。怒ってる。すごく。


腕組みして、指をトントンさせて、小首を傾げる。

これは警戒モードのポーズだ。このポーズになったら、結構ヤバイ。


『あたし、もうすぐ一線越えますよ? いいんですかぁ?』


って警告の状態なんだ。


花梨ちゃんがここまで怒るのも無理ない。

あたしとは、生まれた時からの付き合い。て事はつまり・・・

お姉ちゃんとも、それぐらいに付き合いが長いわけで。

花梨ちゃんにとっても、自分の姉みたいなもんなんだ。


「七海ちゃん、何言ってるか自分で分かってる?」

「分かってる」

「一海さんの恋人を奪うって言ってるんだよ?」

「奪うってんじゃなくて・・・」


奪いたいっていう希望的観測というか。

奪うかも?っていう予測の範疇というか。


「決してその、確定してるわけじゃなくてさ」

「ゴチャゴチャ言い訳がましいこと言わないで。罪悪感を軽くしたいだけでしょ?」

「は、はい。仰る通りです・・・」


容赦ないんだ。ほんとに。

花梨ちゃんには、ごまかしは一切通用しない。いつもあたしの本音を完全に見抜いてしまう。

どっかで精神世界が繋がってんじゃないかと思うくらい。


「罪悪感を感じるくらいなら、やめなよ」

「でも・・・」

「今ならまだ引き返せるんだから」

「・・・・・」

「ほんとは七海ちゃん、あたしに止めて欲しいんでしょ?」


止めて欲しい、というか・・・。

確かに、打ち明ける事で気を楽にしたかった。

自分の罪を告白する事で、ちょっとでも救われたかったのかもしれない。

懺悔ってやつかな。


「はっきり言うよ。やめなさい」

「花梨ちゃん・・・」

「気がとがめるんなら、それは、しない方が良いって事なんだよ」

「・・・・・」

「そんな事したら、あたし七海ちゃんのこと許さないからね」


「別にお前に許してもらう義理はねえよ」



突然後ろから声が聞こえた。

あたしも花梨ちゃんも驚いてそっちを振り向く。

いつの間にか大地が、すぐそこに立っていた。


やだ! 全然気付かなかった! いつからそこにいたのよ、あんた!


「大地!」

「七海、うまく丸め込まれてんじゃねえよ」

「ちょっと! 誰が丸め込んでるって!?」


花梨ちゃんが大地に噛み付くような勢いで怒鳴った。


「ちょうど良かった! あんたが地面ってやつね!?」

「大地だ、だいち」

「あんたこそ七海ちゃんを罪の道に引きずり込まないでよ!」


ジャリジャリと石を踏みつけて、花梨ちゃんが大地に近づいていく。


「あんたの口がうまくても、あたしは騙されないよ!」

「別に騙すつもりはねえよ。そもそもお前は関係ねえし」

「ある! あたし達は親友だもの!」

「お前の言う親友ってのは、相手の意思を無視して命令する相手の事か?」


花梨ちゃんは一瞬絶句した。

そして背の高い大地をギリリと睨み上げる。体格のいい男子相手でも、一切ひるまない。

ひるむようなタマじゃないんだ。花梨ちゃんは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ