第3.22章 誘惑完敗!?悪魔も照れる愛の記憶
~何度でも跳ね返す絆の力~
木漏れ日が輝く森を抜けると、透き通った清流が姿を現しました。
せせらぎの音が涼しげに響き、サキュバスは心の中で笑みます。
「ちょうどいいわ…ここで決めてみせる!今度こそ貴方を骨抜きにしてあげるから!」
「少しここで休んでいきましょう!」
三人は川辺に腰を下ろし、冷たい水で喉を潤して休憩を始めます。
その瞬間――
「きゃぁっ!!ばしゃん!!」
わざと足を滑らせ、サキュバスは大げさな声を上げて川の浅瀬に落ちました!
ずぶ濡れになった薄手の衣は肌にぴったりと張りつき、体のラインをあますことなく浮かび上がらせます。
水滴が艶めかしく肌を伝い、いつもなら男たちを狂わせるほどの妖艶さが漂っていました。
「だ、大丈夫ですか!?」
仁は心配そうに駆け寄り、何の下心もなく彼女を抱き上げて岸辺の乾いた場所へ運びます。
「冷えちゃいますから、早く体を拭いてくださいね!」
至近距離で目が合った瞬間!
サキュバスは瞳を紅く輝かせ、渾身の魅了の魔法を放ちました!
「私のものになりなさい…貴方の心も体も、全て私が奪ってあげる…」
――が、まるで風を切るように、魔法は仁に届く前に弾かれて消えました!
「え…?うそ…また効かないなんて…!」
サキュバスは膝から崩れ落ちそうなほど自信を喪失し、混乱します。
「何故!?どうして私の誘惑が通じないの!?今までこんな男、一人もいなかったのに…!」
彼女は思わず声を荒げて問いかけました。
「ねえ…お二人の関係って…一体どんなものなの!?」
仁は迷うことなく、まっすぐな笑顔で即答します!
「僕たち?もちろん…心から愛し合ってる恋人同士です!」
隣のリリスは顔を真っ赤に染めてもじもじしながら、負けじと声を上げます。
「わ…私も!仁のこと、世界で一番愛してますっ!!」
「もう…その…男女の仲になっているのかしら…?」
意地悪く尋ねるサキュバス。
仁とリリスはぱちりと見つめ合い、二人同時に耳まで真っ赤に燃え上がって俯いてしまいました。
その反応で確信したサキュバス。
「忌々しい…!ならば頭の中を直接覗いてやるわ!どんな薄っぺらい絆か、私の目で見破ってあげる!」
彼女は闇の魔力を込め、二人の心の奥へと侵入――
次の瞬間!
「なっ…なんですってぇ!!」
サキュバスは目を丸く見開き、顔がだんだん紅潮していきます!
頭の中に流れ込んできたのは…
ドワーフの宿屋で重ねた初めての夜、朝日に照らされた口づけ、照れながら囁き合った愛の言葉…
お互いが「初めて」だと告げ合い、戸惑いながらも優しく抱きしめ合った数々の場面…!
二人の頭の中は、そんな甘く熱く、時には恥ずかしすぎるような記憶が延々とループしているだけだったのです!
「こんな事…あんな事…まるで熱い恋物語じゃない…!私まで顔が火照ってきちゃうじゃないの!」
悪魔である自分が、二人の初々しくも濃密な愛の記憶に、逆に赤面させられているなんて…!
サキュバスはもう、何も言えずにただうろたえるばかりでした。
「くっ…こんな馬鹿な…誘惑しに来た私が、恥ずかしくなってるなんて…!」




