第3.14章 夕暮れの贈り物
~絆に宿る魔法の武器~
朝から昼過ぎまで、二人は部屋でゆっくりと愛を語り合い、優しい時間を過ごした。
体も心もすっかり癒され、夕暮れ時になってようやく宿屋の一階へと降りてきた。
窓の外は茜色に染まり、ドワーフの街に鉱石のような夕陽の光がきらめいている。
カウンターにいた族長が二人を見ると、にやりと満面の笑みで手を叩いた!
「おおー! お二人さん、ついに姿を見せたな!!」
赤面して俯く二人を、からかうように太い声が響く。
「顔を見りゃ一目瞭然だぜ! 幸せオーラが体中から溢れ出して、この宿までぽかぽか温かくなっちまった!
幸せのお裾分け、ありがとよっ! この爺さんまで元気が出たわい!」
仁もリリスも顔を真っ赤に染めて見つめ合い、お互いの手を固く握りしめる。
「あ…ありがとうございます…族長様!」
「照れるこたぁないさ!」
族長は嬉しそうに頷くと、奥の鍛冶場から二つの包みを大事そうに抱えて戻ってきた。
「そうそう! 実はな、二人に特別なプレゼントがあるんだ! 受け取ってくれ!」
■ 仁への魔法付きヌンチャク
最初に差し出されたのは、黒檀の柄が見事に磨き上げられたヌンチャク。
仁が護身用に調理箱に入れていた例の一品だ!
「兄ちゃん! お前の道具箱に入ってたこいつな、ありゃ料理道具じゃなく完全な武器だろ?」
族長は目を細めて笑う。
「特別な鋼で鎖を鍛え直し、俺秘伝の魔法も付与しといたぜ!
この魔法の効果はな――**『愛する者を守る心が力に変わる』**ってやつだ!
リリス嬢ちゃんを想う気持ちが強ければ強いほど、鋼より硬く、炎より熱く、光のように速くなる!
更に…闇の瘴気や毒を弾く結界も宿ってるから、旅の安全もバッチリだ!」
仁が手に取ると、柄に妖精の羽と蔦の紋様が浮かび上がり、手の中でほんのり温かく共鳴した!
「すごい…! まるで命が宿ってるみたいです! ありがとうございます! これでリリスさんを必ず守ります!」
■ リリスへの自在な魔法の短剣
次に族長がリリスに差し出したのは、銀色の細身の短剣。
鞘には月と星の彫刻が施され、ダークエルフにぴったりな漆黒の装飾が美しい。
「嬢ちゃん、これをやる! こいつも俺が魂込めて鍛えた一品だ!
一見短剣だが、使い手の意思次第で自在に形が変わるんだぜ!
長く伸ばせば細剣に、鞭のようにしなやかに変えれば遠距離の敵も捕らえられる!
それにダークエルフの闇の魔力と相性抜群で、光と闇両方の力を宿せるよう魔法を込めてある!
『愛する人と共にある限り、どんな闇も切り開く』力があるんだ!」
リリスが手に取ると、短剣は柔らかな闇色の光を放ち、彼女の手首の妖精ブレスレットと共鳴して輝いた!
「わぁ…こんな素敵なもの…本当にいいんですか?」
瞳を潤ませて感謝する彼女を、仁が優しく見つめる。
■ 絆を結ぶ祝福
族長は満足げに頷き、二人の肩を叩いた。
「ああ! お前ら二人は偏見も困難も乗り越えて、真っ直ぐな愛で結ばれてる!
この武器はな、そんな二人の絆を力に変えてくれる相棒だ!
エルフの国へ行っても、これがあれば安心して進めるだろう!」
「ありがとうございます!」
二人は揃って深々と頭を下げた。
夕暮れの光の中、魔法の武器が二人の手で寄り添うように輝き合う。
仁はヌンチャクを腰に、リリスは短剣を腰に携える。
手を繋いで宿屋を出ると、街のドワーフたちが暖かく見送ってくれた。
「行こう、リリスさん」
「うん、仁…一緒なら何も怖くないわ」




