研究小屋
「あとどれぐらいすれば駅に着くのですか?」
「いやあ、結構進んだ感じだからもうすぐ着くと思うぞ」
本当にもうすぐなのだろうか。
僕は少々不安になりながらも進み続けた。ある程度進んだところ、住民がチラホラいるのが見えた。しかし、全員僕らと逆の方向に進んで行った。
「なぜあの人らは僕らと反対の方向に行ってるのですか?」
「さあ? なんでだろうね。一応聞いてみるか」
僕らは住民の男に駆け付けて聞いた。
「すみません。あなたたちはどこへ行こうとしてるのですか?」
「なんかさ、少し離れたところに研究小屋と工場が完成したみたいで俺らは気になってるんだ」
研究小屋のことは知っている。しかし工場も建っているということに関しては初めて聞いた。僕はなんだか気になって仕方がなくなってしまった。
「ベットおじさんどうしましょう。なんだか気になって行きたくなってしまいました」
「えぇ、せっかく結構進んだのに戻るのかい……」
ベットおじさんは戸惑いが隠せなかった。
「お願いです。付いて行きませんか? どうしても気になって仕方がないのです。どうか」
だんだんと僕の顔がベットおじさんに近づいていった。
「……分かった」
少しの沈黙の末、ベットおじさんは受け入れた。
やったーっ!
僕の顔はほころんだ。
僕らは住民たちに付いて行った。
「研究小屋はありましたが、どうやら工場もあるみたいですね」
「確かにそうみたいだな。しかし、あの時は研究小屋しかなかったのにまさか短時間で工場も完成してしまったのかね? もしそうだったら建てたのは誰だよホントに」
そして僕らは目的の場所に着いた。研究小屋の屋上にはミックが立っており、周りにたくさんの住民が集まっていた。中には僕らが夜に泊まった宿の店員もいた。
あっ、あれがその工場か!?
僕は住民で前が見えないながら背伸びをして先を見渡すと、研究小屋から少し離れたところに宿より少し小さめの工場が建っていたのが目に見えた。
「すごい人ですね。いったい何人集まってるのでしょうか?」
「まあ見た感じ、せいぜい三百人いるのじゃないかな。別にそこまで魅力的な訳でもない感じがするけどな」
しばらくした後、ミックが口を開いた。
「ようこそみなさん、ミックと申しますっ! ついにここ最近で研究小屋と工場が完成しました! ここでポーションを作っていこうと思っています。どのようなポーションかというと、体調不良や怪我の時に飲むとあっという間に元通りにっ!? それだけではないです。強くなりたい、リラックスしたい、そんな時にも有効なポーションですっ! そんなポーションが完成すればみなさんに喜んでもらえるはずですっ!」
「でも、相当お金がかかりそうだけど?」
住民の一人がミックに聞いた。
「そう思うではないですか? しかし結論、安いどころかタダです、タダ!」
「「えぇ!?」」
僕を含め聞いた全員が驚いてしまった。まさか無料だなんて思いもよらなかったからだ。
「これもミゼル様のおかげですよ。あの方は本当に素晴らしいですっ! もしあの方が関わっていなければ、僕たちが作る予定のポーションに相当な値段が付いていたでしょう! あの方は基本の攻撃や防御魔法に加え、生産魔法にも長けています。材料さえ揃えば魔法だけで完成します。何なら材料すら魔法で生み出せるのです!」
「あのーすみません!」
僕は手を挙げ、大きな声でミックを呼んだ。
「おおっ! やはり気になって来てしまったみたいですね? さあどうしましたか?」
「一つ思ったのですが、そんな方がいるのでしたら工場なんていらないのではないですか? 何故工場を建てたのですか? あと、あの時に取り出した成分を液体化させて蓄える機械を見ましたが、あれもいらないのではないですか?」
僕はきっぱりと質問をした。その直後辺りがピリピリとした空気が漂った。
「おい!言い過ぎだカノフっ!」
「いてっ!」
ベットおじさんが僕の頭を軽く叩いた。ミックは少々戸惑った顔で口を開いた。
「あぁ意地悪な方ですね……確かに工場はいらないですが、貯蔵するために一応必要だと思ってます。あの時あなたに見せた機械も、ミゼル様に生産魔法にも限度があるということを聞いておりますから」
ミックは恥ずかしそうに答えた。それでもどっさりとした空気は消えなかった。
「まあ気を取り直して。このようにポーションの使用目的について話しましたが、実はまだこれだけではありません。真の目的は、僕たちが今いる国のすぐ隣に位置しているケーリアという国。いつあの国から攻撃を受けてもおかしくない状況です。もし侵略にかかってきた時、僕らは正々堂々と立ち向かわなければならないと思っています。そこでポーションを飲むのですっ! 飲めば十分に立ち向かえるはずなのです!」
なるほど。真の目的は隣国の攻撃に対抗するためか。
僕はようやく彼らの目的が分かった気がする。本当は住民を満足させるためではなく、武器として利用するためだということを。
「以上で僕からの話は終わります。長々と話してしまいましたが、それでも最後まで聞いたみなさんは本当に素晴らしいと思いますっ!」
ミックの演説が終わり、僕らはすぐさまスカルド行きの駅の方面に向かった。
「見えたぞっ! あともうすぐだ!」
先にはぼんやりと横に細長い建物が見えた。駅で間違いないようだ。
「ああ、やっとですかっ!」
そうして僕らは駅に到着した。辺りに人は少なかった。
「よし、混んではいなさそうだな。良かった良かった」
ベットおじさんは安心しきった顔で言った。
「もう昼か……腹減っただろカノフ? 駅には弁当が売ってある店があったはずだからそこで買おうか。たまには店のものも、いいじゃないか?」
「そうですね」
そうして僕らは駅内に入った。駅内にはいろんな店が沢山並んでいる。
「あっあそこだな!」
僕らは弁当屋を見つけた。




