3話 面子 2
久しぶりの投稿です。お待たせしました。不定期になりますが暖かい目で見てやって下さいm(_ _)m
ゲイボルグ中戦車が門に使用されていた木材や金属片を撒き散らしながら門の残骸を強行突破する。それに続き第1歩兵小隊30名が続きアナンの街へと入城する。
門の向こう側には検問所のイストレア連邦共和国軍兵士の援軍か30名ほどの兵士が集結していたようだが、ゲイボルグ中戦車の45mm戦車砲の榴弾3発の砲撃を受けてほぼ壊滅的打撃を受けていた。
タン! タン! タン!
断続的に602式小銃の7・8mm弾の発砲音がする。生き残りのイストレア連邦共和国兵に少女達が留めを刺しているのだろう。それと同時に何人かの少女がイストレア連邦共和国製の6・7mm小銃や銃剣などを鹵獲して街に来るまでに使用した軍用トラックの荷台に積み上げていく。これは単純に戦利品という他に武器、弾薬の民間人の手に渡り武装化するのを防ぐ意味合いもある。
しかし、ここで時間を掛ける訳にはいかない。本命は別に居る。
メイヤー大尉は少女達を2輌の軍用トラックに分乗させるとゲイボルグ中戦車に先導させて街中をひた走る。時折、無線手の持つ携帯無線機でゲイボルグ中戦車の車長に進路を指示する。ウチの部隊が連絡に便利な無線機を複数有しているのも、この身体の元の持ち主のメイヤー大尉が密貿易で得た資金で裏取引をして入手した為である。なかなか近代戦というか情報の大切さを理解していた人物だったようだが、今は自分の意識の一部となっている。その記憶の中に以前の密貿易の取引の際に訪れたイストレア連邦共和国軍の詰所の位置が残されており、自分達は今そこに向かっている。
『第3小隊、次の十字路を右に曲がった正面の建物がイストレア連邦共和国軍の詰所だ。右折したら挨拶がわりに榴弾を1発お見舞いしてやれ』
『第3小隊、了解』
打った鉄のように、きびきびとした返事が返ってくる。メイヤー大尉は少女達をきちんと軍人として育てていたようだ。
ドカン!!
先行したゲイボルグ中戦車が詰所に到着したようだ。イストレア連邦共和国軍兵士達も敵が迫っていることに気付いたはずだ。反撃が来る。しかし、砲撃でしばらくの間まともな判断が出来ないはずだ、そこに付け込む。
「全員、降車!!」
軍用トラックの後部から飛び降りるようにして降車して行く。十字路を右に曲がりイストレア連邦共和国軍の詰所を目にする。
詰所の上空には照明の魔法だろうか?明かりを放つ白い玉がプヨプヨと浮いて周辺を照らし出していた。戦闘が始まっているのに何故このように無用心なことを?と考えて詰所前の道路を見て答えが分かった。
奴らは逃げ支度の真っ最中だった。何台もの馬車やなけなしの連邦製のトラックが停車しており、木箱がいくつも積まれていたところだった。現在は砲撃で詰所の一部が崩落したせいで動きが止まっており、中には運んでいた箱を置いて両手を挙げて降参の姿勢を取っているイストレア連邦共和国軍兵士も居る。ならば逃す手はない!!
「突撃せよ!抵抗する者に容赦はするな!!」
第2小隊の少女達が援護射撃の姿勢を取り、第1小隊30名とメイヤー大尉が詰所へと突撃する。2名1組で対応して1人1人後ろ手に縛って拘束して地面に転がす。
タン!
602式小銃の乾いた銃声が響く。軍用トラックの1輌を発車させようとしてイストレア連邦共和国軍将校が肩を撃たれて運転席から引き摺り出されて銃床で何度か殴られた後に同じく拘束された。その際に肩に軽く回復魔法がかけられたようだ。
しかし、まだ目標の人物の姿を見ていない。メイヤー大尉は578式10mm拳銃を拳銃サックから抜き出し、602式小銃を肩から掛けた。
詰所の入口の壁に隠れて、手だけを伸ばして扉を開けると、
パン!パン!パン!パン!
タタタタタッ!!タタタタタッ!!
恐らく連邦製の9mm拳銃と6・7mm軽機械銃が降り注いだ。外を制圧している間に詰所内に残ったイストレア連邦共和国軍兵士が態勢を整えてしまったか。
入口の扉は穴だらけになってしまった。メイヤー大尉は無線手の少女を呼び寄せて送受信機を手に取ると、
『第3小隊、出番だ。詰所入口前まで前進して内部を掃射せよ』
『第3小隊、了解!』
カタカタカタカタ!!
無限軌道を鳴り響かせ、ゲイボルグ中戦車が詰所敷地内へと入って来る。そして、
ドカン!!
いきなり45mm砲を発射した。
バキバキバキッ!!
建物内部から構造物が破壊される音が響く。どうやら榴弾ではなく撤甲弾を使用したようだ。確認の為に578式拳銃で数発の威嚇射撃をしたが反撃はなかった。
「前へ!!」
集まって来ていた数人の少女と共に内部へと侵入する。入ってすぐに玄関ホールがあり階段があった。階段の周りには数人のイストレア連邦共和国軍兵士が倒れていたが息はなかった。1階を捜索する者と2階を捜索する者とに分かれメイヤー大尉は2階に進んだ。そして、迷いなく1番奥の一際立派な扉の前に立つと両開きの扉を2人の少女に開けさせて中に入り拳銃を構えた。
そこには探していた人物、プガチョフ大尉が金貨や価値のありそうな物の詰まった鞄を両手で抱えて怯えたように立つていた。入って来たのがメイヤー大尉だと気付くと安心したかのような表情を見せた。
「なんだ!メイヤー大尉じゃあないか。ブカレスト帝国軍が攻めて来たと聞いて慌てたが臨戦態勢を取らせる必要はなかったね。今日は何の用だい?」
メイヤー大尉は無言で拳銃を構えたままだった。
「も、もしかして前の取引の件かい?アレは不幸な誤解があったんだ!ほら、ここに4000万クォンは用意した。なに、手違いの詫び分だよ」
パン!
メイヤー大尉は、プガチョフ大尉の右肩を撃った。プガチョフ大尉は鞄を取り落とした。
「ひゃあああ!!痛い!痛い!痛い!」
パン!
次は右足を撃った。
「ぎゃあああ!痛い!痛い!何で、何でこんな酷いことを!?」
メイヤー大尉は拳銃をプガチョフ大尉に突き付けたまま、しゃがみこんだ。
「テメエにとっては小遣い稼ぎの楽しくなれる薬の取り引きかもしれないけどよ?こっちにとっては命がけの生活のかかった取り引きなんだよ。それで舐められてたら他の取り引きにも悪影響があんだよ。俺の面子を潰したあんたを生かしておく訳にはいかねえんだよ。分かるか?」
プガチョフ大尉は傷の痛みと恐怖で顔面を崩壊させていた。
「まぁ、あんたはここで名誉の戦死を遂げる訳だ。良かったな?中佐だぞ?」
「メイヤー!!貴様~!!」
プガチョフ大尉が左手で9mm拳銃を抜く、
パン!
プガチョフ大尉の額に穴が開く。
「遅いよ」
メイヤー大尉は呟く。
「詰所内の金目の物は片っ端からかき集めろ。終わり次第に第3小隊の工兵に建物ごと爆発させておけ」
「了解しました!!」
メイヤー大尉は金貨の詰まった鞄を拾い、詰所前に停められた軍用四駆の助手席に乗り込むとアナンの街を後にした。
裏稼業に身を置く者としての生きざまみたいな場面を書かせてもらいました。誤字脱字報告、感想、評価、ブックマーク大歓迎です。評価は☆☆☆☆☆でお願いします。応援宜しくお願いします。




