レーナと球技
12月6日
店の名前を決めてから二週間程が経ちました。
一際冷え込んできて本番はこれからだと考えたら嫌になってくる時期ですが、今年はこの快適な服と覚醒の影響で少し肌寒いかなと感じるくらいです。
「あ~……あ~…………ん、んん。
おはようございます、こんにちは、こんばんは……どうでしょうか?」
「随分と女性らしい声になりましたね」
5人で制服を着たりした時と同じ部屋に同じメンバーが集まっています。
今しているのはレーナさんの声の調整で、魔法関連の事なので魔法マニアのお父さんも入ろうとしていましたが女性の体の事なので追い出しました。
「初めは喋れないからどうしたかと思ったけど良かったよ」
「はい、ずっとテレパシーで話すのは流石に不便ですからね」
「レーナちゃん大変だったね」
「そうですね、お姉様」
話から分かるようにに今日、ようやく完成したんですよ。
レーナさんも大変だったでしょうけど私とセリスはとにかく苦労しました。
セリスは喉の形まで把握してなくて天空城の天使さんところ行って脅迫して得た情報を試行錯誤で女性のものにしたりいろいろと……
レーナさんですが、あの日から2日は目を覚まさなかったのですよね。
その理由は体と魂が馴染んでいなかっただけで、意識事態はあったらしく、具体的には制服の雑談辺りでは既に意識があって聞いていたそうです。
ミューズがレーナさんにお姉様と呼ばせているのは年上でお姉ちゃん風吹かせているからですね。
レーナさんの振る舞いもあって年上みたいに扱うアシュリーがミューズに対してお姉ちゃん風を吹かせ、ミューズがレーナさんにお姉ちゃん風を吹かせているという不思議な形が出来上がっています。
実際二人よりもレーナさんの方が大分大人びていますからね。
というのもレーナさんは私とセリスの知識を限界までめいいっぱい詰め込んでます。
生まれながらにして多種多様な魔法を使え、技能を所持していて大まかな人柄も霊菜さんをベースにしています。
まあ、あくまでベースにしているだけでそこから先はレーナさんの成長次第でいくらでも変わりますけど。
「ねえ、終わったなら遊ぼうよ」
「それは……よろしいでしょうか?メリルさん、セリスさん」
私としてはする事も終わったので良いと思いますが、一応セリスの顔を伺うと頷いてくれるので大丈夫そうですね。
「良いよ良いよ。私もまぜてもらってもいいかしら?」
「メリル様も入るの!やったー!」
「メリルが入るなら私も混ざろっかな」
ここの所遊んであげられませんでしたからね。
ミューズも妹分ができると期待していましたが、今の尻尾の振り方はその時以上です。やっぱり外で遊びたかったんですね。
「四人……少し人数足りませんけど蹴鞠やりますか?」
「蹴鞠?」
「はい。私の国の球技なのですが、鞠を一定の高さまで蹴り、落すまでの間の蹴る回数を競う団体戦と、落とさないようにする個人戦があります」
「鞠って何?面白いの?」
「球体で蹴っても痛くない蹴る道具で、面白いですよ」
記憶にあってもレーナは蹴鞠なんてやった事無いだろうにあまりにも自然なやり取りをする姿を見て、するりとセリスに近付いて耳打ちをした。
「ねえセリス、蹴鞠の知識はともかく本気で言ってるのあれ?」
「霊菜の髪の毛……細胞も使ってるからもしかしたら僅かに魂の欠片が付着していてそこから一部の記憶を得ているのかもしれないね。
道理で細かく検証した訳でもなく構築した人格が一回で霊菜似になった訳だよ」
魂の欠片はその生物としての経験その物でもあって、魔王であるミィさんは補食した魂から記憶を得ることができると聞かされましたけど、それと同じような事が起きていたと言うことでしょうか?
それならまあ何とかそういうモノだと受け入れられますね。
だとしたらこのレーナさんはどこまで霊菜さんなんでしょう?
「おぉ~!!!ボール取ってくる!」
真剣な表情で説明を聞いていたミューズが勢い良く出て行ってしまいました。
その姿を笑顔で手を振り送り出すレーナさんの姿はどちらが姉がと言いたくなるような……そんな事よりミューズが物凄くやる気ですよ。
これは不味い。
この面子で球技って確実に私の1人敗け……でもミューズ凄く嬉しそうにして、ああ戻ってきたちゃった!
尻尾ブンブン振って嬉しそう……ええい!
「いいわね!やりましょうか!」
「無茶はしなくて良いんだよ?」
「大丈夫、無理そうなら助っ人呼ぶから」
「助っ人……あぁ、そうだね」
こうして私は蹴鞠という遊びに参加しました。
立てた棒を数本用意して準備完了となる。
ルールを簡単に説明するとですね、今回は4人なので四角形になるように別れ各々の陣地とします。
本来はボールをどうにかする人がいるそうですが、今回は風魔法で上げて開始され、落ちてきたボールを陣地内の人が蹴り棒よりも高い位置まで上げます。
蹴り上げる高さを維持したまま他の陣地内の人へ渡していく遊び。
これが物凄く簡単に説明した蹴鞠のルールとなります。
実際私達はこのルールに乗っ取って雰囲気で楽しんでましたしね。
トーン、トーンという独特な音が心地よく、生き物らしく、体を動かすという行為が刺激されるといいますか、実家に戻ってきてから思いっきり体を動かすという行為をあまりしていなかった私も面白いと素直に思えた。
ただ、スカートのミューズとレーナさんを見ててハラハラする場面がありましたね。
それくらい熱中してしまうほどの面白さがありました。
途中までは………
「あれ?お姉ちゃんただいま~。皆して何してるの?」
皆が蹴鞠をしている草原が良く見える坂に座って眺めていると後ろから声がかかる。
振り向けば教授を籠に入れ、今日の晩御飯だろう鳥を掴んだ様子から帰宅中であっただろうアシュリーが、面白そうなものを見つけ好奇心を押さえられなかったという様子を隠す事もなく聞いてきた。
「あれは蹴鞠と言いってね、魔力と技による反射神経と体力と精神力を競い会う格闘技ですよ」
「格闘技……」
途中までは入れたんですよ……
でもいきなりボールがカクッて軌道が変わったりしましてね。
なのでエックハルトお爺さんにテレパシーを使い助けを呼んで変わってもらいました。
私とメリルを除いた場合、この村に着てからミューズが2番目に懐いた相手はエックハルトお爺さんで、呼び出されたお爺さんは見て帰ろうとしたけどミューズが頼んだらコロッと参加してくれました。
「というのは冗談で普通の球技だよ。
ただあのメンバーは単純に普通の実力じゃなかっただけ」
「まあ確かに普通じゃないよね。
う~ん……晩御飯の支度もしなくちゃいけないけど少し混ぜてもらえないかな?」
「それじゃあそのお肉しまってあげるから少し参加しようか。
私も休憩止めて入ろっと」
収納魔法に納め、アシュリーに簡単にルールの説明をし私も再び中に入る。
丁度6人になった事により団体戦ができるのでする事になり、それはもうヘトヘトになるまで動きましたがやはり面白かったです。




