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覇王セリスの後日談  作者: ダンヴィル
五章、少しの緊張と長い休日
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セリスさんとお姉ちゃん

83『背中の羽と親との再会後』の後書きに書いたと思ったら書いてなかったので。

メリル達が方言使っていますが『方言変換Ⅱ』というスマホアプリで変換しただけなので正しいかどうかは分かりません。


 8月1日


 お姉ちゃんが仕事の仲間で友達な美女と美少女を連れて帰って来た。

 久し振りに帰って来たお姉ちゃんと話したいことは沢山あったのだけれど、昨日はそんな暇無かったし、何よりもお姉ちゃんが凄いなって思った。

 あんなに頑張ってる人はこの村にはまず居ないと思う。


 そして、セリスさんはお姉ちゃんの事を良く見ていると思う。

 昨日の魔法はセリスさんが見た光景しか見れないそうですが、本当に細かい所を良く見ている。


「お母さんおはよ~……」


「おはよう」

「おはよう、アシュリーちゃん」


 水を飲もうと台所に来ると見慣れた光景の中にセリスさんが居て、当然のように方言を使って、当然のように朝食の準備をしていた。


「え……あ……お、おはようございます………」


 パタン……と襖を締める……


 セリスさんってお姉ちゃんの友達でお客様だよね?

 確かに昨日はセリスさんが用意してくれてたけどこんな早起きしてまで用意するって……


「アシュリーちゃん水とミルクどっち飲みたい?」

「わっ!」


 せっかく心構えを整えようとしてたのにグイッと踏み込まれてしまった。

 確かに昨日はリラックスして話せてたけど、時間が空いたら上手く話せないというか……どうしよう………というかミルクなんて痛みやすいのうちにある訳………あ、でもセリスさんならそれくらいどうだってできる気がする……


「えっと……その……じゃあミルクで……」


「ん、分かった。すぐ用意するね」


 優しく微笑まれた……やっぱり凄く綺麗な人だなぁ………


「はいどうぞ」


「あ……いただきます……」


 本当にミルクだ……それにとても冷えてる……って、なにこれ。

 痛んでるどころか飲んだ事無いくらい美味しい。

 なんか今までのミルクとは口当たりから違うというか………凄く美味しい………けど……セリスさん………何でそんなニコニコと私を見てくるんだろう?私何か変な事しちゃった?


「あの……わたし……何かした………?」


「ん~ん。美味しそうに飲んでくれてるなって嬉しくなってね。おかわりいるかい?」


 美味しそうに……それで嬉しいものなのかな?

 ………あ、もしかしたら昨日の料理も含めて都会から買ってきてくれたお土産みたいな感じなのかな?

 それなら分かるしせっかくの厚意だし遠慮したら逆に失礼?


「それじゃあ……お願いします…………」


 でも遠慮無さすぎて田舎臭いとか思われないかな……

 だとしたらかなり恥ずかしいんだけど………


「アシュリーが敬語使うの初めて聞いたわね」


 た……確かにそうだけど………今……今言う必要無い……無いと思うんだけど…………

 今正に恥ずかしい事してるかもしれないのに恥ずかしい事投げつけてくるってお母さんの馬鹿…………


「そうなのかい?なら無理しないでくれると嬉しいんだけど……

 そうそう、朝食は佃煮と魚と豆のスープでもう少ししたらできるからもう少し待っていておくれ」


「あ……はい…………」


 ミルクを飲み終えたタイミングで「もう一杯飲む?」と聞かれて首を振るとセリスさんは空になったコップに手を伸ばしてきて、そのまま何も考えず渡してしまう。


「ん~……難しいかもしれないけど、もう少し遠慮せず話してくれると嬉しいんだけどまだ無理かな?」


「そ……そんなことありません………」


「そっか」


 セリスさんが私の頭を撫でてくる。

 それがとても友好的で、優しくて、暖かくて、本当に仲良くなりたいと思ってくれてて、なんか恥ずかしくなって、思考停止という感じに私は逃げ出した。

 逃げる時に空返事してたのは覚えてるけど何を聞かれてどう返事したのか今一覚えてないくらいにはテンパった。


 うぅ……恥ずかしい………昨日と同じで平民らしい格好なのにセリスさんは何故か格好良く見えて素敵で……………と、ある程度離れた位置になってようやく冷静に考えられるようになった。

 それくらいセリスさんは綺麗で格好良くて………あ、今私髪も全く整えてないボサボサだ!

 普段ならどうだって良いけどセリスさんみたいな比較対象がいると気になるよ!


「……あれ?」


 ………思ったよりボサボサじゃない……というか、若干光っているようにも………そうか、セリスさんが使ってくれた髪の美容薬って本当だったんだ………


 よし、わかんない事多いしお姉ちゃんに聞いてみよう。


「お姉ちゃん~」


 声をかけ、ここ数年もぬけの殻だったお姉ちゃんの部屋に手をかけ………


「……………」


 そういえば……昨日のお姉ちゃん凄く綺麗でもう別人なんじゃって思ったばかりだ……なんかちょっと入りにくい………


 ……このままいても仕方ない。

 ゆっくりと開いて中の様子を覗くとお姉ちゃんはまだ眠っている様子。


「………綺麗」


 見た目が綺麗なのはそうなのだけど、それよりも魔力が綺麗だと思った。

 寝ているのに、常に体を覆っている魔力の巡回に全く乱れがなくて、起きてる状態でさえ乱さないのは難しくて、セリスさんだって波紋のような小さな乱れがあるのに全く無い………

 昨日は外見とかそれ以上に受け入れなくちゃいけない事で頭一杯になっちゃってここまで気が回らなかったからなぁ………


 ………あ、でも魔力の色は変わってないかも。うん、お姉ちゃんの色だ。


「お姉ちゃん………っ!……お姉ちゃん起きて~」


「ん……ミュー……じゃくてアシュリー………どうしたの?」


 少し揺らすと目を覚ましてくれる。

 お姉ちゃんに触れた時驚いたのは、お姉ちゃんの魔力の動きに合わせて私の魔力まで綺麗に整えられたから。

 昔から器用だったけど、比較できないくらい凄い魔力制御能力を持っていて驚いた。

 あと、私に揺さぶられて起きたんじゃなくて魔力が乱れて起きた事にも驚いた。


 そんなお姉ちゃんは上半身をお越し眠そうに目蓋を擦る。


「お姉ちゃん、今セリスさん料理中だから今のうちに聞きたいから起きて」


「セリスの事だからこそこそやっても………まあ良いや」


 布団から出たお姉ちゃんが手招きして座るようにしてくるから布団の上に座る。

 ………なんか、お姉ちゃん本当にお人形みたい。

 うっすらとソバカスがあるから美人?って思うけどやっぱり綺麗で、全体的に凄く柔らかそうで、真っ白で、水色のネグリジェが尚更お人形みたいに感じる。


「それでセリスの何が聞きたいの?」


「えっと…………」


 …………………何聞いたら良いんだろう?

 昨日いろいろ見せてもらったけどけっきょくミューズちゃんが錬金術によって造られたクローン?とかいう話とお姉ちゃんが死にかけるくらい頑張ってお店を持てるようになったって話でそれ以外は何も知らないし………


「お姉ちゃんはお姉ちゃんなの?」


「ごめん、何言ってるかよく分かんない」


「だって……どうしてそんなに綺麗なの?」


「それは私の力が強くなったからね。

 モンスターが進化するのと同じように実は人種も進化するのよね。ただ人種の場合進化じゃなくて覚醒って言うそうよ」


 自然界でモンスターが進化するのは有名だけど人も進化するんだ……


 その後簡単には強くなる方法を教えてもらったんだけど………


「お姉ちゃん無駄に殺したりするの嫌いじゃん。

 私と違って捌くの躊躇するのになんでそんなに強くなろうとしたの?」


 って聞いたら急に押し黙った。


 なんか変な事言ったかな?って思ったら手招きしてくるから近付いて耳を貸すと小さな声で教えてくれた。


「………生理から解放されるから」


 ……んん~???

 今度はお姉ちゃんの言っている事が分からない。

 さっきのお姉ちゃんはお姉ちゃんなの?も我ながら訳分かんないと思うけどもっと訳分かんない。


「何で生理が関係するの?」


「そこから話すべきだよね………」


 それからお姉ちゃんが説明してくれた内容はかなり衝撃的だった。

 私達ハーフドリーミーはだいたい3ヶ月毎に来る。

 エルフのお母さんなんかは年に1度しか来ないらしい。

 生理で貧血になって立ち眩みとか無くなるって羨ましいし、生理痛になんてなったら凄いって話しをお母さんから聞いた事あるし。

 私は生理痛経験した事無いけど……

 それが訪れず生殖に全く影響を与えず身籠る事ができるって………


「なにそれ……凄く羨ましい」


「だよね、私も思った」


 染々と頷くお姉ちゃんが言うには半年もしない内に生理が来なくなったらしく、生理痛に悩んでいたのを解放されて、そのままミューズちゃんの出来事があってとんとん拍子で覚醒まで至ったらしい。


 なんか……お姉ちゃんが都会の冒険者より冒険してる。


「それで……セリスさんって何者?

 そんなの聞いた事無いし、美人過ぎるし……どんな人なの?」


 お姉ちゃんも美人で可愛くなってるし………

 でもお姉ちゃんに言うのは負けた気がする。


「セリスは……私にとって一番大切なパートナーかな。

 寂しがりやでね、セリスには私が居ないとダメなんだから」


 本当に心の底から信頼しているって魔力をしている。

 というか………この魔力の感じは珍しいけどどっかで感じ取った事あるような気がする。


「ふ~ん……そのセリスさん、朝食作ってたけどお姉ちゃんはパートナーに任せっきりで良いの?」


「え?…………本当だ。せっかくの実家だし長旅で疲れてるんだから多少だらけても文句言われないのに、まったく」


 口では仕方ないと言いたげだけど、凄く嬉しそうに立ち上がって宙に浮く。

 浮いたと思ったら魔力が弾け、一瞬でワイシャツに黒のロングスカートに着替えてしまった。


「それじゃ私も運ぶのくらい手伝うからミューズ起こしておいて。

 ミューズは優しい子だし子供だからいくらアシュリーでもそんな人見知り起こさないでしょ?よろしくね」


「あ、うん………」


 宙に浮いたままそう言い残したお姉ちゃんは、触れる事無く開いて部屋を出て行ってしまった。

 えっと……今のどうやったんだろう?


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