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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第3章 襲撃編
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刺客Ⅴ

「うーん?どうやら何かしようとしていたっぽいけど、仲間割れかな?残念だったなぁ!!ふははははー!」


嬉しそうに笑うヌイ。仲間割れとかいう以前に、これは怨霊さんの人間性に関わる問題だ。早くなんとかしないと・・・。だが、打つ手が無くなってしまった以上、もはや後の祭りである。化け犬の背中から力なく崩れ落ちる。こうなったら、下手に抵抗せずに大人しく捕まるとしよう。殺されはしないだろう。


「ほ、ほら。もう抵抗しねーから!この通りだ。降参だ。」


「よーし、このヌイ様の恐ろしさがやっと分かったようだな。ポチ!そいつをこっちに連れてこい!」


今更だが、この化け犬の名前は『ポチ』と言うのか。似合わねーよ、という突っ込みをしたい気持ちを抑える。


「ん?どうした?早くしろポチ!」


主人の命令に見向きもせず、ポチは俺とは違う方向をジッと睨んでいる。心なしか、その目は先ほどの犬霊たちと同じで、怯えているように見える。


「うぃ~、これよこれ。やっぱり酒は最高ね!!」


ポチの視線の先には、俺のことを忘れて、一人で酒盛りしているアル中女、怨霊さんの姿が。


「・・・・ヌイ。アレ、ヤバイ。」


低い地鳴りなような声が響く。ってか、この化け犬喋るのかよ!!・・・ヤバいってなんだ?怨霊さんのことか?確かに仲間のピンチを前にして一人で酒盛りするのは頭がヤバいが。


「ちょっ、ポチ?どうしたのよ!!あんなの、ちょっと強いだけの野良霊じゃない!あんたの敵じゃないわ!」


「ハヤク、ニゲルゾ。オレタチデハ、アイテニナラナイ。オレ、ムリ。」


一体どうしたと言うのだろうか。怨霊さんに変化はないように見えるが。と、思ったその刹那。飲み干したビールの空き缶を、グシャっと潰しながら、怨霊さんがこちらを睨む。


「・・・・。」


怨霊さんの目が据わっている。ポチの『ヤバイ』という言葉が今分かった。彼女の周りに、あのどす黒いオーラが揺らめいている。あれは確か、酒を飲まなかった時に現れる、禁断症状だ。悪酔いしても出るのか。どんだけ傍迷惑な霊だよ。


「お、おいっ、ポチ!ビビってんじゃねーぞぉ!!や、やっちまえー・・・。」


消え入りそうな声で、しかも足をピクピクさせながら、ヌイはポチに命令する。ポチは、やれやれといった表情をすると、ヌイのいる方向へ走り出した。


「・・・・逃がすかよぉ・・・!!」


スッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!!!


怨霊さんが、手を前にかざすと、地鳴りとともに道路のアスファルトにヒビが入り、大きな欠片が浮き始める。


「ヌイ。ツカマレ。ニゲルゾ。」


「うぎゃああああああああ!!何あれ!?何アレ!?」


こっちが聞きたいよ。なんだこれ!!ポルターガイストとかいうレベルじゃねーぞ!!


一人と一匹目がけて飛んでいくアスファルト片をギリギリで交わしながら遠ざかっていくヌイとポチ。怨霊さんが言ってた、やらかした時に大変だったというのはこのことか。


「怨霊さん!!もうやめろぉ!!あいつ等はもうどっか行ったから!!」


「ふぇ??なに~?私のアスファルトが呑めないのかぁ~?」


酔って頬を赤らめながらとぼけた顔をこちらに向ける。だめだこれは。完全に酔っぱらってやがる。


ザワザワ・・・


何今の音!?


まずい。今の爆音で近くの住人が外に出てきている。通報される前に早く家に帰らないと。すっかり千鳥足の怨霊さんの手を引き、俺はアパートの方向へ急いだ。


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