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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第3章 襲撃編
32/202

刺客Ⅳ

「いけっ!!あいつを食べちゃいなさいっ!!あ、人間の方はダメよ。無傷で連れてこいって上が言ってたから。」


ヌイの命令とともに、化け犬はその大きな体をゆっくりとこちらに進めてくる。どうやら、怨霊さんを警戒しているようだ。先ほどまでの犬霊たちよりは図体だけでなく、頭も良いようだ。

足元のスーパーの袋をさりげなく拾い上げ、じわりじわりと後ずさりをする俺と怨霊さん。


「怨霊さん、いいですか?俺が少しの間あのバカでかい化け犬とやらの囮になるので、タイミングを見計らって、さっき買った酒を大量に飲ませてください・・・!!」


ヌイたちに聞かれないよう小声で作戦を怨霊さんに伝える。確か、犬にとってアルコールは猛毒で、少量でも致死量だと、昔どこかで聞いたことがある。化け犬に効くかは不明だが。


「えっ、でも生身の人間の君があんなの相手に大丈夫なの・・・?もし噛まれたりでもしたら・・。」


「た、たぶん大丈夫です。無傷でってあいつ言ってたし。俺がどうにか、化け犬の口を大きく開かせるんで、その時が勝負ですよ・・・!!」


「わ、わかったわ。」


ふぅーっと、大きく深呼吸をする。あれ、なんで俺こんなことしてるんだろう。ついこの前まで無意味な毎日をだらだらと過ごしていただけなのに。何もかも、家に居候の霊たちが住み着いてからおかしくなった。帰ったらあいつらに文句の一つでも言ってやろう。


「うおおおおおおおおおおおおっっ!!!」


我ながら情けない叫び声と共に、化け犬に思いっきり突進する。


「ふぁっ!?」


ヌイが驚いた顔で目を見開く。飼い主が虚を突かれたせいか、化け犬の動きも一瞬強張る。その隙に、思いっきり太い首に掴みかかり、その勢いで不格好ながらも化け犬の背中に乗る。もの〇け姫で見た光景だなと、こんな時でもどうでもいいことが頭をよぎる自分に呆れながらも、後ろから思いっきり両手で化け犬の口を開ける。


「グァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


その巨体を大きく揺らしながら、口を閉じようとする化け犬。振り落とされそうになるが、なんとか踏ん張っている。どうやら、無傷で捕らえよという主人の命令が効いているらしい。傷つけずに俺を振り落とせずにいる。


「怨霊さんっ!!!今ですっ!!!」


半泣きになりながらも、怨霊さんに合図を送る。・・・しかし、状況が変わる様子はない。怨霊さんに何かあったのかと、うっすらと目を開ける。


「はぁぁぁっ!?」


視界の先には、化け犬に飲ませる予定だった酒をゴクゴクと、それはそれは旨そうに飲む怨霊さんの姿が。


「ぷはーーっ!!やっぱ目の前に酒があったら我慢できないわ!!」


舐めていた。俺は舐めていた。アル中の酒に対する執着心を。作戦の失敗を覚悟しながらも、後で絶対あのアル中をぶっ飛ばすと、心に誓った。





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