超常現象研究会Ⅱ
「挨拶が遅れてごめんね。人文学部3年の妃よ。漢字で『ひめ』って書いて『キサキ』って読むの。キサキさんって呼んでね。」
そう言ってキサキさんは白く細い腕を差し出し、握手を求めてきた。無言でそれに応じる。彼女の手は驚くほどに冷たかった。すっごい美人だね、と後ろで幽霊が囁く。確かに、女優と言われても信じるほどの整った顔立ちだ。
「私は握手はしない主義ですっ!魔法をかけられる危険性があるので!」
ハルカがまた意味不明な設定で、キサキさんの握手を断る。
「ふふっ、いいのよ。面白そうなコたちじゃない。部長と気が合いそうね。それで?部長、どうして2人を勧誘したの?」
「どうやら、この2人は【能力者】のようだ。霊を使役している。ぜひ我ら超常現象研究会に欲しい!!」
「ふぅーん・・・霊・・・ねぇ・・・。」
チラリとこちらの方を伺うキサキさん。なんだろう、さっきの天パ部長の時とは違う、鋭い目線。それは明らかに俺の背後を見ていた。
「ちょ、ちょっとこのキサキって人、まさか・・・」
「・・・ですね。私たちのことが視えてますぅ・・・。目線が合っちゃってます・・タスケテご主人さまぁ~・・・」
俺の背後に隠れる幽霊と悪霊。どうやら、キサキさんは”本物”のようだ。
「女の子を2人も連れてるなんて、君モテるのねー。それに、そっちの子が連れてるコはなかなか強そうじゃない。」
さっきまでのおっとりした表情とは変わり、鋭い目線で返すふーちゃん。えっ、ふーちゃんって強いの?ってか、なんだよこのシリアスな空気!まじで戦闘とか始まってもおかしくない感じなんですけど!
「ふふっ、部長~。どうやら勧誘できる空気じゃないですね。私が来る前に何かしたんじゃないですか~?」
いやいや。アンタが怖いんだよ。
「いやいや、俺は何もしてないぞっ!?こいつらは絶対我が部に欲しい!!」
「まぁまぁ、これからゆっくり懐柔していけばいいじゃない。あなた達、急にごめんなさいね。部長っていつもこんな感じだから。」
「は、はぁ。」
「でもね、気が向いたらいつでも私たちの部室覗いてね。超常現象研究会って聞いたことないと思うけど、実はこの大学にいっぱい部員が潜んでいるのよ。もしかしたらあなた達を入部させるために襲っちゃうかもね。ふふっ、なーんて♪」
この人、さらっと脅迫してるんですけど・・・。納得いかないという顔をした部長をひっぱりながら食堂を後にするキサキさん。
「超常現象研究会・・・なんかヤバそうな連中に目を付けられたな・・・。おい、ハルカとふーちゃん、お前らあいつらのこと知ってたか?」
「どーでもいいよっ!それより決闘!ケットウ!」
「すみません、うちの子が。危機感無くて。」
戦闘民族かよ。お前は。
「ご主人様ぁー。オナカヘッター。」
「私もー。」
うちのアホ霊共も全く危機感がない。アホ霊二人&戦闘民族アスカがぎゃーぎゃーと騒いでるのを横目に、ふーちゃんがそっと俺の袖を引っ張る。
「すみません。もし今後あいつらが手を出して来たら、私だけでは対処できないかもしれません。それはあなたも同じです。ですので、今後何かあったときの為に連絡先をですね・・・」
ふーちゃん。見かけによらずほんとに大人だな。たぶんこの場で一番精神年齢が上なんじゃないか。
こうして、アスカ&ふーちゃんペアと連絡先を交換し、俺たちは食堂を後にした。




