超常現象研究会Ⅰ
突如目の前に現れた男。若干天パ気味の肩まで届きそうな髪型に、春先には似合わない真っ黒いジャケットに、どこで買ったのかと問い詰めたくなるようなジャラジャラと鎖のついたブーツを履いている。どこの大学にでも必ず一人は存在するであろう、近寄りがたい風貌をしている男だ。
「先ほどから、近くの席で話を聞いていたが、君たちっ!!どうやら霊に取り憑かれているようだね?しかも使役しているようだ。僕にもはっきりと視えるよ・・・何しろ僕も君たちと同じ能力を持っているからね。」
胡散臭い。この男の奇妙な風貌のせいもあるのだろうが、メンタリストでもない素人の俺でも分かる。ちらりと幽霊と悪霊の方を見てみると、彼女たちも同意見のようだ。目が2人ともドン引きしている。
「あなたも【契約者】なんですか!?」
生き生きと質問するハルカ。そうだった・・・こいつもそっち系の人種だった。変な方向に話が盛り上がらないようになんとかこの男を追い払わないと。
「えっとー、視えてるって言いましたよね?どんな霊か当ててみてくださいよ。」
ちょっと意地悪な質問をしてみる。
「ふっ、いいだろう。・・・君が使役している霊の性別は・・・女性・・・だね?」
一瞬、おっ?となったがよく考えれば男性か女性の2択じゃねえか。更なる追い打ちをかける。
「服装は?」
「うーん。。。残念だが服装までは分からないな。はっきりと目視するためには【血の契約】が必要だからね。」
つい数秒前は、『僕にもはっきりと視えるよ。』って言ってなかったっけ?それに霊と血の契約ってなんだよ。もうちょい設定頑張れよ。
「な・・・あなた、【血の契約】のことまで・・・ただものじゃないですね・・・」
だめだ。どうやらハルカは完全にこの男と波長が合ってしまったっぽい。ふーちゃんの方を見ると、ため息をつきながら首を横に振っている。【血の契約】とやらは完全にハルカの脳内設定らしい。ふーちゃんも苦労しているんだな。
「そ、それじゃあお二人とも盛り上がっているようなんで、俺はこの辺で・・・」
「ちょっと!私との決闘はどうなったの!?逃がさないんだからね!」
「ふふ・・・そうだよ君。それに君たちには我ら《超常現象研究会》に入ってもらわないと!」
ハルカと謎の男にがっちりと両腕を掴まれる。《超常現象研究会》?なんだそりゃ。そんなサークル聞いたことないぞ。ただでさえサークル活動なんて面倒くさいのに、そんな訳の分からないとこになんて入ってたまるか。
「ちょっと、あんた達!いい加減しつこいよ!」
「そうです!ご主人様から離れないと、この悪霊の超絶ポルターガイストを喰らわせてやるです!」
我が家の居候霊たちの予想外の助け舟に、ちょっと感動した時、俺たちの前に新たな人物が現れる。
「部長、部員勧誘は良いことですが、無理やりはダメですよ。」
「ん、なんだキサキか。珍しいな、お前がこの時間に学校にいるなんて。」
キサキと呼ばれた女は、まさに『美人』という言葉がぴったりな整った顔立ちをしており、おおよそ大学生とは思えぬような、なんとも妖艶な雰囲気を放っていた。




