第1話 「論理的な判断ってやつ」
「海賊王に俺はなる」
なーんて、どこかのマンガじゃあるまいし。まさか、自分がそんなことを考えるなんて、当時は夢にも思っていなかった。
あのとき俺は、ただ逃げたかっただけだ。
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なんとかなると思ってた。
四百八十万円。数字だけ見るとでかいけど、まあ、なんとかなるだろ。人生って、だいたいなんとかなってきたし。
ケンジにサインを頼まれた時、正直よく読まなかった。「ここにサインするだけ」って言われて、した。ダチの頼みなんて断るわけないっしょ。
これが、間違いだったと気づいたときには遅かった。
サインした書類が、あの「連帯保証人」ってやつだった。
ケンジは一週間後に消えた。
ケータイ、繋がらない。実家も「知らない」って言う。まじか。
取り立ての電話が毎日かかってくるようになって、さすがに「あ、これ、なんとかならないやつかも」と気づいた。二ヶ月後に。
「コバヤシ タクヤさんですか。先日ご連絡した件ですが——」
また違う番号だ。もう着信拒否しても意味ない。
逃げよう、と思った。我ながら「論理的な判断」ってやつだと思う。
でも逃げるって、どこへ?国内だと追いかけてくるだろうし。遠いほどいい。できれば海外。
で、見つけた。
【急募】海外・漁業補助スタッフ 月収60〜80万 渡航費全額支給 経験不問
「漁業」って書いてあるし、まあ、合法でしょ。
送った。




