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不器用な優しさ


久しぶりにリアムさんとセリーヌさんが一緒にいる姿を見た。

改めて見ると二人は本当にお似合いで、私の付け入る隙など一切ない。


それなのに、一瞬でもあの甘い瞳を自分に向けて欲しいだなんて。


抽出したエキスをさらに濾過し、混ぜ合わせながらため息をつく。

その時、通信機器の音が鳴り響いた。


『おい。お前、今日学校来たのか』

接続すると、ノアの怒ったような声が聞こえる。


「あっ、うん。ごめんね。せっかく気を遣ってくれたのに」

リアムさんとセリーヌさんの姿を思い出し、下唇を噛む。


『別にそんなんじゃねぇ』

機械を通して聞くノアの声はいつもより低い。


「そっか」

そっけないが、他に何も言わないあたり、やっぱり気を遣ってくれたのだろう。

ノアの優しさに気が緩む。


『…泣いてねぇだろうな』

黙ってしまった私に不安になったのか、ノアが確認する。


「泣いてないよ、連絡もありがとう」

そう言って通信機器を切ろうとすると、ノアが言葉を発する。


『今から行くから』

「えっ?また?」

聞き返した時には切れていた。


そういえば薬が効いているわりには口は悪いし、お前呼びだったな。

離れていると薬の効果は出ないのか、はたまた切れたのか。


それともユーリの言う通り、まさか本当に元々薬の効果は関係ない?

だとしたらあの態度はなに?


今朝目覚めた時もくっついていたノアを思い出し、ぼっと赤面する。

いやいや、そんなわけない。


あのノアが私に薬以外で惚れるわけがないんだから。


頭に浮かび上がったあまりに自意識過剰な考えを振り払う。

とにかくこれ以上ノアに迷惑をかけないようにしないと。


そう思い、解毒剤作りに没頭する。



しばらくしてノアがやってきた。

両手に大量の食材を持って。


「いらっしゃい…って何、その食材」

「どうせ今日まともにごはん食ってねぇんだろ。作るから台所貸せ」


言われてみれば、解毒剤作りに夢中になって昼ごはんも食べていない。

私が返事をする間もなく、ノアはずかずかと台所に向かう。


これ、薬効いてる?

こういう偉そうなところは変わっていないのだけど。


自分の家のように、手を洗い、包丁を取り出すノアを見つめる。

でもごはん作ってくれるのか。


「ありがとう。なんだかお腹減ってきたや。ノアのごはん好きだし助かる」

私は料理はからきしだが、ノアは4人で集まった時、よくごはんを作ってくれる。


「ふん。お前は座って休憩してろ」

料理を褒めて照れたのか、ノアがあごでソファを示す。


ノアのことを勝手だなんだと言いつつ、ノアがこういう態度だから、私もいつも素直に甘えてしまう。


でも今日はソファに座らず、作業台に戻る。

「またお前は。休憩してろって」

ノアが睨んでくるが、気づかぬフリをする。


ノアも諦めたように調理を開始する。

お互いの作業をする音が部屋に響く。

ノアとは無言でも不思議と気まずくない。

むしろ心地良さすらある。


そっとノアの調理の音に耳を澄ませながら、薬の調合を続けた。



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