第40話 兄さん試験、最終問題です♡
午後――。
教室に貼られた「午後の試験範囲」が、なぜかラミネート加工されてキラキラしていた。
【国語・試験範囲】
・兄さんポエム選集
・兄さん語録
・妹視点の兄さん(上巻・下巻)
・兄さんの愛らしさに関する小論文(800字)
春「どこが国語だよおおおお!!!出題内容が俺特集じゃねぇか!!」
問題用紙をめくると、そこには大きくこう書かれていた。
《最終問題:兄さんを言葉で表現せよ(制限時間:20分)》
――春の手は震えていた。
春「……ふざけてる……絶対ふざけてる……!」
しかし、教室中の生徒たちはなぜか全員、真面目な顔でペンを走らせていた。
「兄さんって……やさしいんだよな」
「不器用だけど、芯が通ってるっていうか」
「なんか……俺も兄貴欲しくなってきた……」
「兄さん尊い」
春「おかしい。おかしいって。なんで俺の試験でクラスメイトが感動してるの……!?」
そこに――
「ピンポンパンポーン♪ ここで、特別ゲスト講評のお時間です♡」
「やめろォォォォ!!出てくるな!!絶対結衣だろ!!」
「講評を行うのは……“妹界の覇者”こと、城ヶ崎結衣様です♡」
ドアが開く。
銀髪が揺れ、制服のリボンをなびかせて、彼女は堂々と入ってきた。
結衣「皆さん、素晴らしい解答ありがとうございます♡
ですが、私が思う“兄さん”は……もっと、もっと可愛いんです!」
結衣が取り出したのは――スライド付きプロジェクター。
結衣「では、兄さんの“幼少期寝顔スライドショー”を流しながら、皆さんの答案を読み上げていきますね♡」
春「そんなことしてる間に卒業するわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「兄さん(3歳)の寝顔」→「兄さん(5歳)牛乳でむせる」→「兄さん(10歳)作文“妹が好き”全文公開」
春「ぐああああああああ!!!!俺の過去ぉぉぉぉ!!!」
その時、教室の片隅から拍手が起きる。
「この試験……何かが胸に残る」
「これは学力じゃない。愛力だ」
「こんなに深い問題を出す妹、やっぱ天才だよ」
「ていうか……兄さん、ほんとイイ男じゃん」
春「やめろ!俺に変なあだ名つけるなよ!? イイ兄さんって言うなよ!?」
「本日の試験は、すべて城ヶ崎結衣様のご提供でお送りしました♡
なお、試験結果は兄さんの笑顔で自動満点となります♪」
春「採点基準ぅぅぅぅぅう!!!!!!???」
こうして、如月学園史に残る兄特化型試験は幕を閉じた。
後日――。
春の元に、学園新聞の特集が届いた。
『兄さん学、来年度より正式科目に?』
春「正式にいらんわぁぁぁぁぁ!!!!!!」




