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白馬の王子様と7つの冒険  作者: アシカ
冒険の始まり
10/16

【アブソルーブ・メタユニバース】

「ぐわぁ、ぐわぁ、ぐわぁ。ぐわぁ、ぐわぁ、ぐわぁ」スマホのアラームがなる。

ベットの上の収納スペースのスマホを半身起こして取りに行く。

いけない、もうこんな時間、きょうはなっちゃんと図書館で勉強する約束なんだ。

慌てて、2階から1階に駆け走る。リビングの扉をあけると

「おお、おはよう。まなみ。また2階からすごい音したけど、ベットから落馬したか?」と、お父さんが言う。そういえば「有給を取る」と昨日話していた。

「時間ないの」と、いって慌ててパンをかじりつく。

「おお、こりゃー近寄らんほうがいい、まなみの暴れ馬だ」と、言っていじってくる。

いそがしい、朝の時間に落ち着いている父をみてイライラする。

鏡をみて「うわ〜、きょうわたし酷い顔〜」と思いつつ、髪をセットして、顔を洗って、歯を磨いて荷物を持って行ってきます。

と、でかけた玄関先で「おい、今日は雨ふるぞ。傘持ってけ」と父が言う。

時間がないので「学校に折り畳み傘がおいてあるからそれ使う」と言ってでてきた。

あきれた父の顔が浮かぶがお構いなしに急ぎ足で学校まで向かう。


・・・・・・

あれ、おかしい。この展開しっている。

やばいループに入っている。

「りんご、ごりら、らっぱ、ぱせり」とこれば、きっと

「りんご」だ。

おかしい。

・・・・・・



ああ、このときは王子様が現れて、とっても幸せな地へ連れて行って「毎日幸せにすごす」展開と思っていたわ。

「それが、どうかしら?」大海原で、いきなり連れて行かれてプロビデンスの目に立ち向かわせられ、幽霊の除霊作業に付き合わされ、そしてこんかいは沼。

ああ、もうこんなことはうんざり息が詰まりそうだわ。


大地の恵みの楽園が現れてトゥーリッキに乗るバイヤン王子がやってきた。

手を差し伸べて

「フリッグ姫、ずっと一緒にいよう」とプロポーズしてきた。

わたしは「はい。私で良ければ」と答えた。

黄金に輝くどこにもない「リング薬指」にはめてきた。

「一緒に幸せになりましょう。あなたのことは僕が一生守ります。いまから結婚パーティに向かい永遠の愛を誓いしょう」

わたしに拒否権などなく

「ええ、わたしも一生大切にします」と、言った。

パーティにつくと、ヘル王妃やロベールさんバレス公爵、モンバール伯爵、シルバーやトゥーリッキも私の両親も、友達も祝福してくれている。

ベールの金がなり神父さんが

「バイヤン王子、あなたはいつ何時フリッグ姫を幸せにすることを誓いますか?」

「はい。誓います」

「フリッグ姫、あなたはいつ何時バイヤン王子を幸せにすることを誓いますか?」

「はい」

ああ、なんて幸せなんだ。

彼の顔が私に近づいてくる。礼拝堂の「ステンドグラス」が光に照らされベールに包まれる。

ああ、この人とたくさんの子供を産んで育て、ヤクとともに野菜を育て、ヘル王妃と料理をして幸せな日々と過ごせれば、私はどれだけ幸せなのでしょう。

そのとき口づけをする瞬間に礼拝堂の「ステンドグラス」にヒビが入っていた。

そして、私の呼吸はとても荒い「はぁ、はぁ」している。

幸せのはずなのになんで?こんなに息が上がっているの。

私は、思い出した。

「そう、わたしは沼の底」にいたはず。そうよ。さっきまで、バイヤン王子に説法を解かれていたじゃない。

彼は、たしかに優しいが甘くはない。私に対してちっとも甘くない。

けど、この甘いストーリーは続いていく。私は、よろけてしまった。そのよろけた瞬間に、彼が優しく背中を支えてくれる。

「どうしたのでしょう?フリッグ姫、どこか体調でも悪いのでしょうか?」

「大丈夫。すこし履きられない靴でよろけてしまったのです」

「このまま続けましょう」と、私は言ってしまった。

違う。これは何かが違う。けど、彼のキスがほしい。

彼の顔が私に近づいてくる。ああ、このままこれでいい。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」息がやはり乱れている。そして、声が聞こえる。

「良いかい?呼吸は吐くのが先だ」と、彼の言葉が脳裏によぎる。

私は目を瞑り「す(う)〜〜〜〜」「は(あ・わ)〜〜〜〜」と一息つく。

そして、目を開けてみる。「ステンドグラス」のヒビは拡がっていた。彼の顔が一瞬歪んだ。

わたしは、もう一呼吸「す(う)〜〜〜〜」「は(あ・わ)〜〜〜〜」とゆっくり呼吸に集中する。

「ステンドグラス」が、ガシャンと飛散した。

そして、パイヤン王子の顔が崩れていく。

その瞬間だった。私は沼の底から体がミリミリ出てきた。ゆっくり、ゆっくり押し上げられた。

誰もいないはずの世界に、一つの足が見えた。

抜け出しながら、彼は手を差し伸べ引っ張ってくれた。

「君は、どんな世界を見たんだい?」と、彼は優しく声をかけてきた。

わたしは、頭がついていっていなかった。

そして彼を見て私は、顔を赤くした。

しかし、彼に心を読まれたくなかったので「す(う)〜〜〜〜」「は(あ・わ)〜〜〜〜」と呼吸に意識を向ける。

状況が読み取れた。わたしたちは、沼の底に吸われた。けど、なにか理由があって追い出された。

とっても甘いリアルを犠牲に。

「随分、呼吸の扱いがうまくなったじゃないか」と、彼はウインクして言ってくる。

私は「どこかのバカ王子のお陰さまでね」と、ぷいっとそっぽを向く。

私は誤魔化すために「一体何だったのこの中は?」

「おそらくだけど、これは超知能の残像とでも言えばいいのかな。ゲームの世界で自分の好きなキャラになって自分の好きなワールドを作れる。そのリアリティを追求したのがこの中なんだ。」

「内に発展すると言っていたけど、これも内なの?」

「内の発展だけど、本来は自由の選択が増え発展するんだ。けど、この世界には、ほとんど生態系がない。生態系という選択がない。後で知らべてみるけど、この星は、2つからなっているんだ。沼の世界と生態系を呑み込むアブソルーブ・メタユニバースの世界。このメタユニバースの中には生態がある。しかし、催眠にかかって保存される。AIの発展途上で現実から目を逸らしたんだろうね。で、AIの見せる現像に生態系が吸収された」

「どういうこと?」

「簡単に言えば、沼とAIが共存して、生態系はAIに吸収される世界さ。ゲームのように自分の都合のいい条件・環境から抜け出せるモノはわずかだからね。自分で気がつくしかない。他人の意思をコントロールすることはできないからね」

「じゃあ、もし私があのまま」と、言って口を塞いだ。

「きみは、この沼の世界のメタユニバースにまだいただろうね」

わたしは背筋が少し、ブルッとした。

なぜなら、呼吸を楽しむことを知らなかったら、いまもあの幸せなお花畑にいただろうから。

私は彼に「あなたはどんな世界を見ていたのかしら?」と聞いてみた。

口を濁して「戻るまでは油断できない」と、話をそらした。

頬がすこし赤るんでいるようにみえた。


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