カツカツさぁ〜ん! 今日は何を分割していくのぉ? 今日は清国をパイみたいにバラバラにしていくよぉコロリぃ〜
義和団の乱。何年ぶり何回目か知らないが中華という地での有る有る。民衆バチギレ運動勃発って感じのアレ。
ただ今回は政府に対してってか外国に対して立った。駐清国日本大使秘書官が襲われドイツ帝国公使クレメンス・フォン・ケットラーが殺される。
駐清国日本大使秘書官が無事だったのは日課の金砕棒ブンブンしてから。後ろから襲われたんで逆に襲撃者達の頭ワニワニ◯パニックした。襲われたのは内藤示現流を創設した内藤一棍斎忠健の直系の人物だったのだ。
大日本連合帝国はガチギレした。大日本連合帝国は温厚で有る。同国民が殺されたらキレるが理性的にキレるのだ。だが害されると理性のタガが外れる家が三つある。
厳密に言うと家と言うか象徴というか。これは大分後になって言われる言葉だが天皇大君鬼の家。この三家には絶対ぇ手ぇ出したらアカンのだ。天皇大君は言うまでもないが鬼の家は大日本連合帝国国民の職と食を支える大財閥。
文と武と富の象徴。
また天皇家で言えば宮家、太宰帥家。大君家では御三家、五津田家。内藤家で言えば大弐朝臣家。此処も手を出すとキレる。
大使は大弐朝臣家の者であり要は義和団はその職と食の縁者に手ぇ出しちゃった。
「コロシマース」
「……えぇ」
「絶対にコロシマース」
天皇と大君がキレてた。グレート・ブリテン駐日大使サー・アーネスト・メイソン・サトウはドン引きである。天皇陛下は何も言ってないけど青筋ヤバいし大君陛下は語尾コロシマースになってた。
御年百歳の内藤家十三代目忠綱と嫡男である忠持が何とかブレーキを熱を逃し蒸気を抜こうとしてるが暴走機関車を前にした様な心地だ。まぁその内藤家も大概キレてるのだが他人がっつーか国レベルでキレてると冷静にならざるを得ない。
「大使殿。清朝シメさせて欲しい。そちらの領分に手を入れる事になってしまう。だから幾つか贈り物をさせて頂く」
内閣総理大臣の鉄礬ヶ原絹次郎左衛門忠益がサー・アーネスト・メイソン・サトウに言った。マジで凄いビックリだ。
大日本連合帝国は非常に気遣い出来る国。やりたい事の通達、対価の提案、相談の上で締結と言うプロセスを絶対に経る。自国の要望を通達するときは納得は難しいが理解はさせる努力をするのだ。それが清朝をシメるのは前提みたいな物言いである。
マジで評判が良いし印象も良い御近所さんに唐突「オメーの庭の枝叩き斬るわ。唐突でスマンがワビ入れるケェ許してくれや」とドスの効いた声で言われた様な感じ。ただ大日本連合帝国の状況と清朝の状況を鑑みれば。
「願っても無い事です。それと、此方は清国よりの伝言です」
サー・アーネスト・メイソン・サトウは書状を一つ差し出し大君が覗き込む。
「丁度良いわぁ!!!!!」
なんか西太后が宣戦布告とかして来やがったからグレート・ブリテン的にも皆んなでシメたいし丁度良かった。特に歩調を合わせられる相手ってのは国家的にも心強いモンだ。あと大日本連合帝国国民のテンションが止められねぇ。
大日本連合帝国国民十八億人が総突撃しそうなテンションだった。天皇大君鬼の家、触らぬ三家に祟り無し、アンタッチャブル・トライフォース、この家に手を出すと手を出された以外の家と大日本連合帝国国民がバチボコブチギレフィーバーぶっかます。
そんなこんなで義和団に標的にされた関係各国の人々を救う為に二つの帝国が立ち上がった。
日本州尾張型戦艦全艦艇八隻で沿岸部更地にして駆逐艦艇群で護衛。海に視線を集めて大使とか住民とか居るとこまで空挺部隊投入。富嶽型超高高度超重爆撃機三十機で北京までの道を夜間絨毯爆撃。強襲揚陸艦二十隻一個高起動旅団で突撃。
こうして大使達の元に援軍到着。
戦闘? は当然あった。そりゃそうである。清国だってキレてんのだ。当然武器を持って向かってくる。武器つって刀槍握ってる連中に爆薬と砲弾を叩き落とす作業を屠殺と言うんなら認識の相違ってやつでメイビー戦闘とは……言えんかもしれんけど。
まぁアレである。戦闘と言うのは違うかもしれないが北京まで見通しの良い真っ直ぐな黒いデコボコ道が出来た。グレート・ブリテンなど助けられた人は土木作業って言ってた上にちょっと引いてたけど、たぶん戦闘、きっと戦闘……戦闘って事にしとく。
正直、呪文やら術符だの呼吸法で不死身になれるって謳い文句を信じる連中が相手ならしょーがない。何か身内がブッコロされそうな時に三国志の黄巾賊みてーなノリの連中にどう足掻いたって真っ当に相手なんぞしてられん。大真面目に大使の籠城を助ける為に敵が寝静まった夜中、三線智口径回転銃身砲とか十二線智口径戦車砲、火力を搭載した歩兵支援装甲航空機で薙ぎ払った。
「急げ!! 無様を見せるな!!」
鬼軍曹軍曹が兵達に発破をかける。その奥では義和団が発破されてっけど。砲兵が放った榴弾でポーンなった。
バッラバラになってポップコーンみてーにブッ飛ぶ義和団。軍曹一行は見向きもせず工兵として穴埋め及び混凝土の道路舗装をやってる。周りは装輪装甲車で固めて現代版の仕寄みてーな事しながらだ。
工兵は大使や義和団に狙われてる者達から意識を逸らす為の食わせる気の無い餌。今敷設してるのはグレート・ブリテンへのお詫び鉄道兼ねた道路。女王陛下への献上品に不備があったらあかんからね。
特にバケツリレーならぬ爆撃機リレー。凡そ140㌖を五機横隊で80トンほど。リレーで言えば一回分480トンの絨毯爆撃を繰り返して作った道の下地を道にする。
「軍曹、アレ義和団じゃないです?」
工兵の一人が車の隙間から槍を握ってメッチャ睨んできてる男に気付いて言った。指まで刺してるが軍曹は工程表を捲りながら。
「ああ、義和団? 適当な砲兵に頼んで更地にして貰っとくわ。敷地にするのにちょうど良い。仇討ちだ。清々する」
「死んでないけどそうッスね」
「んなモンどうでも良いから手ぇ動かせ!! 手!!」
「ウッス」
これは別に舐めプではない。
「急げ!! 他州から一旅団づつ計七旅団、南洋連合一師団、ルイジア王国第一師団、ホデノショニ連邦一師団、ベンガル王国旅団、東インド連邦一旅団。
フランス共和国、ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、イタリア王国も来る!! 急がねぇと導線が大変なことになるぞ!!」
尚、この工事とは関係ないがロシア帝国もモンゴル方面から清朝へ侵攻するらしい。先ず大日本連合帝国だけでザッと四万、大日本連合帝国の所属国からもだいたい四万。グレートブリテンなど一万五千。
込み込みで十万人くらいの生活インフラと防衛居住地居るからね、うん。更地。
「ハーフェンドックを使えるとは聞いていたが……」
驚きと共に言ったのはドイツ帝国海軍のアルフレート・ペーター・フリードリヒ・ティルピッツ大佐は二股に分かれたヒゲとハゲが印象的な海軍軍人。
「清国の港はあんなに大規模な物なのか。イングランドの連中いつの間に——なにあれデカくない? 多くない?」
ティルピッツ提督の視線の先には松型駆逐艦が並んでた。ドイツ帝国の最強の船はヴィッテルスバッハ級戦艦で全長126㍍程の大きさであり計画中のブラウンシュヴァイク級でさえ128㍍程だ。何か十隻ほど150㍍くらいある軍艦が八隻ばかり並んでた。
デカさだけならグレート・ブリテンが四十年も前に211㍍のグレート・イースタンを造っている。栄えあるドイツ帝国のブルーリボンを飾った208㍍のドイッチェラントもあった。だが商船と違い軍船は必要であっても戦時以外は無駄である。
無駄って言うか寧ろマイナス。定期的な手入れ、置き場所、人件費。ソレを経済に回せばいくら稼げるかと言う話だ。まぁ実際ソレを商売に用いれば稼ぎの代わりにカルタゴの様に全てを奪われる訳だが。ともかく軍艦を見る事で国の警備費たる国防費、延いては国家の経済力から国力を試算できるのだ。
長々言ったがつるハゲハの字顎髭なアルフレート・ペーター・フリードリヒ・ティルピッツ大佐から見て東洋は魔境という認識がより深まるに至った。
「大きさはイングランドのマジェスティック級より大きい。だが大きさの割に細いな。砲も小さいな。
装備は、アレは水雷? 戦艦と言うよりは水雷艇の様だ」
全くもってその通りでドイツ帝国的に言えばホーホゼートルピードボート言わば遠洋水雷艇である。
「ともかく兵と大使を届けねばな」
海外大使館や西什庫協堂を始め各租界地は大日本連合帝国軍とグレート・ブリテンが既に守っており後は紫禁城を落とすだけ。
紫禁城、速攻落ちた。
で。
占領した紫禁城では。
大日本連合帝国外務大臣小村壽太郎。
グレート・ブリテン外相ランズダウン侯爵ヘンリー・ペティ=フィッツモーリス。現在は反ロシアなノリ。
ロシア帝国外務大臣ウラジミール・ニコラエヴィッチ・ラムスドルフ。モンゴルと満州が欲しい。
フランス共和国外相テオフィル・カッセ。反ドイツ、親イギリス親ロシアな感じ。
ドイツ帝国外務大臣ベルンハルト・ハインリッヒ・カール・マルティン・フォン・ビューロー侯爵。個人としてはともかく国として迷走中。
オーストラリア・ハンガリー帝国外相アゲノル・マリア・ゴウホフスキ伯爵。ロシア協調な感じ。
イタリア王国外務大臣エミリオ・ヴィスコンティ=ヴェノスタ侯爵。親オーストリア=ハンガリー帝国とドイツ帝国で反フランスとグレート・ブリテンなノリ。
更に南洋連合、ルイジア王国、ホデノショニ連邦、ベンガル連合王国からも大日本連合帝国の付き添いであるが、今回の戦いで活躍した発言力のある重要な参加者として連絡員が鎮座していた。
南洋連合ソムデットチャオプラヤー・ソンクラー。リゴール王の叔父に当たるソンクラー大公の老人。
ルイジアナ王国バトンルージュ公ルイ・ジョセフ・フランス。ルイ1世の次男にして現国王ルイ2世の弟の青年。
ホデノショニ連邦ワイアンドット・デガナウィタ。連邦発足の立役者を先祖に持つ壮年男性。
ベンガル連合王国アズィーム・ウッシャーン。先先代ベンガル連合王国国王の弟。
尚、大日本連合帝国とグレート・ブリテンは既に色々と打ち合わせ済みで、大日本連合帝国は四大連合構成国の利益があれば良いみたいな感じであった。
「大日本連合帝国としてはグレート・ブリテンの意向に沿うつもりです」
「清朝は賠償金も払えないでしょうから満州の租借でも要求してみては? またグレート・ブリテン租借地での四大連合構成国の取引認可でいかがでしょう。満州を麾下に置いておけばロシア帝国が出てくる事はないでしょう」
「西に目を向けませんか?」
「ええドイツ帝国に目を向けてくれれば最良ですね」
的な感じ。
コレを根幹にグレート・ブリテンが仕切り北京議定書の内容を調整した。
内容を端的に言えばだが。確り詫びろ、賠償払え、交易地寄越せ、二度とナメた真似すんな。くらいの感じ。
もうちょい詳しくだと。
一つ、ドイツ帝国公使と日本書記官に弔問と十二分な賠償を払う事。また光緒帝本人の哀悼の意を示し、ドイツ帝国公使の記念碑設立する事。
一つ、外国人殺害の市府における5年間の科挙禁止。
一つ、清国の武器弾薬とそれらの材料の輸入禁止。
一つ、賠償金五億両。年利4%で三十九年払いで11ヶ国連合軍の内訳は大日本連合帝国および四大連合構成国30%、グレート・ブリテン20%、ロシア帝国15%、ドイツ帝国15%、フランス共和国10%、オーストラリア=ハンガリー帝国5%、イタリア王国5%。尚、日本連合帝国には奉天府を租借地とする事で2万5000両、ロシア帝国には内外モンゴルを租借地とする事で2万5000両を代納可能とする。また大日本連合帝国の租借地内で敷設された路線は鉄道付属地とする事。
一つ、大日本連合帝国が敷設した天津北京間の鉄道道路は11ヶ国連合に公使館の区域として割譲し11ヶ国連合各国の公使館所在の区域を公使館の利用のみに限定する。この区域の各国大使館区画の警察権は各国の警察権に帰属し、清国人の居住を認めず、各国の軍の駐留を認める。
一つ、天津北京間の鉄道道路は11ヶ国連合の代表国であるグレート・ブリテンに帰属し道路周辺10㌖を割譲する。更に周辺に交通を阻害する砲台を建ててはならない。
一つ、清国は11ヶ国連合の海岸から列国の自由交通の為に黄村、楊村、廊坊、天津、軍糧城、塘沽、蘆台、唐山、灤州、昌黎、泰皇島、山海関の占領を認める。
一つ、清国政府は排外団体への加入を禁じ加入者は死刑とする。各地方長官および官吏は地域秩序の安定の為に排外的紛争の再発および条約違反が発生した場合、その鎮圧を放棄したり違反者を法に則り処罰しないなどの行為を行ってはならず、もし違反する者があれば罷免とし再雇用も恩典も以後受ける事は出来ないものとする。
一つ、清国政府は列国が有用と認める通商条約及ぶ航海条約の修正、通商上の関係を利便化する為の通商条項の内容変更について検討する。
一つ、総理各国事務衙門の廃止。代わりに外務部を新設する事。外務部は六部の上位とする事。
一つ、清国は大日本連合帝国および四大連合構成国、ロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、イタリア王国、ベルギー王国の天津租界を設定する。
清朝のやらかしは余りにエグいにせよ大分ヤベェ内容と言える物だ。突き付けられた北京議定書を端的に言ってしまえば罪と罰の計量がイカれてるが清国は呑んだ。宣戦布告した西太后の立場と命のバーターである。
辛丑条約。
清国の終わりの始まり。いや、トドメだ。
西太后に掌を返されたから義和団も扶清滅洋から掃清滅洋。要は清を助けて海外ブッ殺すが清も海外もブッ殺すになったのだ。清は国辛丑条約の賠償のために民を雑巾の様に絞って滅満興漢に戻っちった。
まぁそれはそれとして。大日本連合帝国だ。
白地の長城と呼ばれる大日本連合帝国の作った国境の防壁と言うか半ば台地を軍勢と共に潜ったのは奉天府巡察を命じられた後藤新平だった。
モンゴルは内外で分裂するのはアレかなぁってのとロシア帝国への譲歩、何より統治が大変そうだったのでポイーした。取り敢えず大日本連合帝国もグレート・ブリテンもロシア帝国の港さえ無ければ何も思わん。
大日本連合帝国としては恨んでるだろう国の占領統治の負債を減らす為に先ずは色々と調べなければならない。
「遼寧、吉林、黒竜江ねぇ……」
満州東部と言えば分かる人にはボヤッと思い描けるだろうバカ広い土地。清朝とは関わりを持っていなかったが微妙に冰海湖での交易はしてた。当然そればメチャクチャ距離のある話だったので少数だったのだが。
「情報は入っていたが此処迄とはな」
定住をしない騎馬民族生活をしてるなら土地への執着が薄いんで良かった。南方の遼寧、中部の吉林、北方の黒竜江まで中途半端に漢民族が入り込んで農耕やってるもんで困る。取り敢えず沿岸部の実地確認と資源探索して租借地の選定をするのが任務だ。
まぁ取り敢えず港と農作物くらいかなぁ的な感じ。だったが黒竜江で石油と天然ガスみっけちゃったよね。あと石炭や鉄にアルミニウムやマンガンなど鉱物資源も結構あった。
三国志の時代ならこの辺は夷狄の地だが折角の中華なんで言えば鶏肋が過ぎる。捨てるには惜しい。困る。
「有難う後藤くん。良い資料だったよ。統治は面倒。資源は有効。全くどうも困ったねぇ」
信じられないくらい怖い顔の老人が言った。平素は好々爺然としたマジ気のいいお爺ちゃんなのだが今は怖々翁。すごい上機嫌で避けた様な笑みの斉藤道三長利。
「親父コエーよ。先生方を見ろって。メチャクチャ冷や汗かいてるって」
ツッコミを入れたのは息子の斎藤喜太郎長高である。コッチは至って普通の顔だ。メチャメチャ冷静。
この三人が奉天府査察局の主要なメンバーである。彼らの前には大日本連合帝国の首脳陣たる大臣達。顔怖過ぎてメッチャ縮こまってるけど。
「困ったのは確か、さて如何したものか」
好々爺に戻った事で気を取り直した総理大臣の伊藤博文が言った。
「僕経由で話を付けてみたいんですが。如何ですかね?」
文部大臣で八寒州出身の森住オロン憲角である。八寒河中国上杉家に仕えたエヴェンキ衆の出だった。なんか全体的にコロコロしてて騎射が上手い。
一族は地元の有力者でトナカイ牧場を経営しつつ八寒橇人の文化継承を担っている。八寒州中国県産馴鹿肉は非常に美味いと好評だった。ロシア帝国やモンゴルと行う冰海湖で交易でも人気商品だ。
また八寒や白地の橇人有力者の例に漏れず清国にもエヴェンキ族が居るためにソコソコ伝がある。
で。
「では奉天鉄道の敷設説明をします」
そう言って着座したのは大日本連合帝国外務大臣小村壽太郎。彼に相対するのはグレート・ブリテン外相ランズダウン侯爵ヘンリー・ペティ=フィッツモーリス。何時もの二大帝国によるウィンウィンを目指す会談である。
「グレート・ブリテンの租借地では我等の国を対等に扱って頂いていますので此方も同じ様にしようと考えています。租借地に関しては鉄道網を敷き沿岸部全域と各地の資源地を繋ぐ事と致しました。
またロシア帝国及びモンゴルとの緊張緩和の為に交易港を設置致します」
「……ロシア帝国ですか」
「少しは大人しくなるかと。商船の貸し出しも考えております。軍港を持たずに満足してくれるなら安い物と考えまして。
それに西に向かっても大事でしょう。港を目の前に吊るせば餌にもなる」
「それは……間違いありませんね」
「まぁ攻めてきたら鉄道も港も全部吹き飛ばしますが」
「……えぇ」
ランズダウン侯爵ヘンリー・ペティ=フィッツモーリスでもちょっと引いたが気を取り直し。
「人手や運営はどの様な形を想定しておいでですか?」
「基本は天津北京間の十一国鉄道と同じ形を導入しようと考えています。足りない人材は橇人と縁のある清国満州人を雇用する準備を今まさに。
また大きくする積もりは有りませんが鉄道保持の為の農地と、協力してくれる満州人の為に牧草地は必要ですので農業鉄道も敷設するつもりです」
「素晴らしいですね」
ランズダウン侯爵ヘンリー・ペティ=フィッツモーリスはゾッとした。これは悪意なき分断であると悟ったのだ。
大日本連合帝国は若干だが察しの悪いところがある。グレート・ブリテンに対しては信用故にと言うのは空気的に分かるのだが、良くも悪くも関係が深いはずの清国や朝鮮に関しては、何と言うか関わりたく無いと言う意志を感じていた。大日本連合帝国の歴史を学びフンワリ察したのは300年も前の国の大転換を切り開いた嘘みたいな人物が、当時としては不利益の大きい戦争を回避する為の方便を連ね、その言葉が300年の時を超えて効果を維持してしまっているという事だ。それは十一カ国連合の時に緩衝地帯としての朝鮮の重要性を他国に通達の上、朝鮮の情報を開示して手を出さないで欲しいと発言し、放置する形で決着させていた事からも窺えた。もっと端的に言えば何かスッゲェ雑に距離取ってる。
だからたぶんやり過ぎて清国で強まる反満州人感情と合わせ、新たな国が出来る可能性が湧いてきた。
「グレート・ブリテンは貴国の奉天統治を歓迎いたします」
まぁグレート・ブリテン的にはバッチ来いって感じ。
こうして5年くらいかけて奉天鉄道は敷設され延伸していった。鉄道と資源地は大日本連合帝国人が仕切り満州人を雇用して運営を開始。
大日本連合帝国は単純に租借地を効率良く運営した。




