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君はプロトタイプ  作者: 真鳥カノ
chapter6 約束
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17 家族に

「愛のお願いなんだから、『仕方ない』よね。私は愛にはなれないけど、お父さんとお母さんと私、家族になれるように、一緒に頑張ってくれないかな」

「頑張る……何をすれば……?」

「まず、思い出してほしい」

 そっと、お母さんの手をとった。今度は、振り払われなかった。その代わり、戸惑った顔をしていたけれど。

 視線がウロウロ彷徨うお母さんを真正面から見つめて、私は、胸の内からようやくすくいだした言葉を、告げた。

「愛は、私の家族なんだよ」

 ナオヤくんが、そう言ってくれた。彼が、見つけ出してくれた思いだ。

「私は、悲しいよ」

「……あ……!」

 お母さんの肩が、ぴくんと跳ねた。手の温もりと一緒に、伝わっただろうか。

 ようやく、お母さんの方から私の目を見てくれた。そして、私の手からそろっと抜け出して、その両手で私の頬に触れた。何かを拭ってくれる温もりで、私は、自分も涙が伝っているんだって気付いた。

 お母さんの両手をもう一度包んで、今度はそのまま、背中に腕を回した。

 小さい。

 子どもの頃に想像していたお母さんの背中より、ずっと小さい。こんなにもか弱い存在だったのかと、今更ながらに気付いた。

「お母さん……寂しいね」

「……ええ」

「愛が、いなくなっちゃった……」

「……そうね」

「お母さん……悲しいね」

 お母さんは、答えなかった。その代わりに、肩口で頷く感触を何度も感じた。震える肩を包み込んでいると、更に大きな腕にお母さんと私、二人まるごと包み込まれた。見ると、お父さんに背中から抱きしめられていた。

 私たちは、三人でいつまでも、一つの影を作っていた。今まで、できなかった分まで。

 そんな私たちを包み込む星空が、お母さんの背中越しに、流れていくのが見える。冬の空が、春の空へと移り変わる。

 ひときわ大きな一等星も、冬の大三角形も、みんな静かに地平線に沈んでいった。そして、また別の、煌めく星々が浮かんできたのだった。


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