3 幸せの崩壊
定期テスト真っ最中なのに、投稿をしてしまっている人でございます(笑)。
テストの点が心配ではありますが、まぁそこは大丈夫でしょう!運頼みです(勉強しろ)!
「お前らが、白逆葉夏希とその家族だな?」
その一言。
集団の中のリーダーらしき男が発したのはその一言だけだった。
だが、その一言は、奏飛たち家族にとてつもない圧と恐怖を与えた。
しかし、そんな圧と恐怖を与えられても、あまり動じていない風に見える者が1人。
「……ついに情報が漏れたか。どうやってアレの事を知った?誰からの情報だ?」
その言葉を発したのは白逆葉夏希だ。
「父さん……何を言って……?」
状況の理解が追いついていない奏飛が驚いた様子で問う。
「悪いな奏飛。それに皆んな。これは父さんの行動の甘さが引き起こした問題だ。これに皆んなを巻き込む事はしたくない。父さんがけりをつける。それで……」
そして、奏飛達に話し終えた夏希は再び謎の集団の方を向いて……
「答えろ。誰からの情報だ?どうやってアレの事を知った?」
「フッ、普通に考えてそんな事話すと思うか?」
謎の集団の1人がそう言葉を発する。
「まぁ、だろうな。それで?お前達の脅威になりうる例の物を作った俺を始末しに来たって訳か?」
夏希は、家族と一緒にいる時の普段の様子とはまるで違う、どこか慎重な、油断のない、そして、どこか強がりな雰囲気を纏い、言葉を発す。
対して、謎の集団の面々は一切そのような様子は見られない。
だが、決して一筋縄ではいかない相手というのは、伝わってくる。
そして、夏希の問いに答えるべく、集団の面々が言葉を発する。
「その通り。お前を始末しに来た。」
「お前のアレは我々にとって脅威になる。」
「だが、お前だけではない。」
「お前の家族諸共始末しに来た。」
最後に発せられた言葉は、夏希の心情を強く揺さぶった。
「な、なぜ俺の家族まで狙う!始末するなら俺だけで十分な筈だろう!?」
夏希は、明らかに動揺した様子で言葉を発する。
「依頼の注文にもあった事項だからだ。それと、念には念をって事だ。あとは、お前のガキには、真級者のやつもいるんだろ?そんな脅威になりうる可能性を、今のうちに潰しておくに越した事はねぇ。」
(何から何まで俺たちの情報を知っている……。なぜここまでの情報を得ている?裏の組織の連中だけでそんな事が可能か?よっぽどの巨大組織なのか、あるいは……。)
夏希は思考を必死に巡らせる。
だが、そんな時間も長くはない。
「じゃあ、そろそろお喋りはここまでにしよう。じゃあな、白逆葉夏希。死ね。」
刹那、猛スピードで、謎の集団のうちの3人が刃物を持って突っ込んできた。
それに対して夏希は、大きく回避を続ける事で攻撃を躱した。
「チッ、まぁ躱すわな、だが……」
その時、3人は夏希に火の魔法を放つ……と、思いきや、その魔法の軌道は、夏希ではなく……奏飛に向かって行き……
「え?え?なんで……。」
バーン!(魔法が当たる音)
何の猶予もなく突然放たれた火の魔法に、奏飛は避けるすべもなく、魔法は、奏飛を焼き尽くす……かに思えた。
だが……
「は?」
「え?」
「何で死んでないんだよ!」
謎の集団の1人が言葉を発する。
玲奈の異能によって、奏飛への攻撃は防がれていた。
いや、防がれた……というよりは、凌いだ、と言った方がいいだろうか。
「ほぉう……異能か……。」
「!!」
魔法を放って来た3人とは別の方向にいた謎の集団のリーダーらしき男が、玲奈の使ったトリックを一発で見破った事に玲奈は驚く。
「今の感じからして、「物の耐久力や耐久性を上げる異能」と言った所か?」
「な、なんでそれを……。」
しかも、異能の能力までピンポイントに当てて来た事に言葉を失う玲奈。
「だが、所詮異能はトリックが分かってしまえば対策はできる。お前の耐久力の底上げには限界がある。違うか?」
「……」
もはや、全てが最初から見えている、と言わんばかりの推測に、玲奈は完全に黙ってしまった。
「ならば、その耐久力でも耐えられない程強力な攻撃を連続で叩き込めばいい。案外単純に対策できる異能だな。……じゃあ、殺れ。」
謎の集団のリーダーらしき男が指示をしたその瞬間、無数のバスケットボール程のサイズの火の玉が、玲奈に向かって降り注ぐ。
何百、いや、何千という火魔法の連撃に、玲奈は数秒は耐える事ができていた。だが、魔法が放たれ始めてから3秒ほど経った時だっただろうか。
玲奈の異能が、限界を迎え、火の玉が直撃する。
「玲奈!」
玲奈と他4人達がいた所とは少し離れた所で、謎の集団と戦っていた夏希が叫ぶ。
だが……
「1人目、完了だな。」
そこにいた玲奈は、全身丸焦げになり、ピクリとも動かなくなっていた。
「そんな……。」
「ママ!動いてよ!返事してよ!ねぇ!」
瑠璃と心が叫ぶ。
だが、そんな行動も虚しく、玲奈は動かない。
しかし、時間は待ってくれない。
「オラオラ!次はお前らだ!」
謎の集団の内の3人が、奏飛達4人のいる所に迫ってきていた。
「何で……何で……母さん……。」
しかし、奏飛は母親が目の前で動かなくなった事実を受け止めきれず、その場を動く事ができない。
だが、奏飛がそうしている間にも、謎の集団達は待ってくれない。
そして、謎の集団の3人は、それぞれバランスボール程のサイズの火の玉を10個程作り出し、奏飛達4人めがけて放ってきた。
だが、そこに瑠璃と心が水魔法を放って対抗する。
当たり前の事実であるが、火には水が有効である。
それは、誰もが知っているような常識。
なので、同じ火の玉による相殺ではなく、水で火を消す方法を選んだ瑠璃と心。
しかし、火の玉の勢いは一切落ちる事はなく、1番前にいた瑠璃と心に直撃する。
「瑠璃!心!」
奏飛が、2人の名前を呼んで叫ぶ。
巨大な火の玉たちが着弾し、煙が舞う。
しかし、生身の人間は、そんな膨大な火に耐えられる筈がなく。
「!……瑠璃?心?」
瑠璃と心は全身に酷い火傷を負って横たわっていた。
しかし2人ともまだ息はある。
「お兄……ちゃん、……一輝……ご……めん……。」
「絶対に……守……る……から……。」
しかし、自分達の放った火の玉を耐えた事に、謎の集団達は気に食わない様子。
「チッ、耐えるのかよ。」
「まぁ仕方ないさ。こいつら2人の雰囲気や、さっき放ってきた水の量からしても、こいつらの階級は推定上級者と言ったところだ。これくらいの攻撃1回は耐えるだろう。」
「とはいえ、経験が伴っていなければ、人というものは案外弱い。」
「さっさと始末するに限る。」
その会話が聞こえた刹那、謎の集団の内の2人がナイフを持って瑠璃と心のゼロ距離に接近する。
そして……
グサッ(ナイフが刺さる音)
瑠璃と心の心臓に、ナイフが刺さった。
「瑠璃……心……、嫌だ……何で……。」
そして、瑠璃と心はピクりとも動かなくなった。
「さてと、次はお前らだな。」
しかし、すぐにターゲットは瑠璃と心から、奏飛と一輝のいる2人の方に変わる。
そしてすぐに、謎の集団達は土の塊の槍を生成し、奏飛と一輝の2人のいる方向に放った。
(何で……何で……こんな事されなきゃいけないの……?何で……皆んな……そんなの嫌だよ……。皆んな、起きてよ……またいつもみたいな笑顔見せてよ……。何で……行かないでよ……。でも、まだ一輝は無事……。一輝だけでも、なんとかこの場を凌ぐ方法は……。考えろ、考えるんだ。そして、動くんだ。動け!動けよ!何震えてるんだ!さっさと動けよ俺の足!早く!一輝だけでも助けるんだ!)
しかし、そんな願いも虚しく、震えで奏飛は立ち上がる事すらできない。
眼前には、迫ってくる土の槍。
後ろには守らなければいけない弟。
絶望的な状況だ。
しかし、そんな奏飛に追い討ちをかけるよつに……。
「危ない!にぃに!」
一輝は、奏飛を庇うように、飛び出していった。
そして、本来奏飛に刺さる筈だった土の槍は、一輝の身体を貫いた。
「……え?一……輝……?」
奏飛は、何が起こったのかが分からなかった。
いや、正確には、目で情報を捉え、理解していた。
しかし、その出来事を理解する事を奏飛自身が拒んだのだ。
理解したくなかった。
だが、現実は現実。
「一輝……皆んな……行かないで……。」
奏飛は必死に言葉を絞り出し、目の前の一輝に声をかける。
しかし、そんな行為を遮るように、謎の集団の1人が言葉を発する。
「あーあ。本来守るはずの弟に守られてどんな気持ちなんだ?情けないな〜?」
「まぁ、死んだモンはもう戻ってこない。分かるだろ?お前もすぐに皆んなと同じ所に送ってやる。」
そして、謎の集団達がそんな言葉を発している時、夏希と戦っていたであろう残りの6人の集団達が戻ってきた。
「あ〜あ、あいつ、思ってたより手応えありませんでしたね〜。」
「でも、階級が中級者の割にはよくやった方じゃない〜?」
「いやでも、『アレ』を作ったやつっていうから少し期待したんだがな。」
「ボス的にはどんな感じの評価でした?」
「……聞くまでもないだろう。所詮は中級者。中級者はどう足掻いても中級者だ。」
(残りの奴らが戻ってきた……?なんで今更……。ッ!という事はまさか!?)
そう思い、これまで集団が夏希と戦っていたであろう場所に視線を向ける。
すると……
「ッ!」
夏希は、大量の血を流して、倒れていた。
「……さて、あとは劣級者に分類されるこいつのみ。さっさとやってしまえ。」
謎の集団のボスらしき者が指示を出す。
「……んで」
「あ?」
「なんで……こんな事するんだ……!俺たちが何したっていうんだ!何かこんな事をされなきゃいけない事でもしたのか!?お前達は……何なんだよ!」
奏飛は、声を震わせながら言葉を発する。
「チッ、うるせぇな!さっさとくたばれこのゴミが!」
すると、謎の集団の1人は持っていたナイフを振り上げて、奏飛めがけて振り下ろそうとする。
「まぁ待て。」
「ぼ、ボス?何で止めるんですか!?さっさと始末しましょうよ!」
「どうせ最後だからな。せめてもの慈悲だ。劣級者には何もできまい。それくらいであれば問題ないさ。冥土の土産に教えておいてやろう。」
謎の集団のボスらしき男は、話し始める。
「まず、何でこんな事をしたのか、だったな。それに関しては、結論から言うと、俺たちの脅威となる物を作ったのが、あそこに倒れている男だったからだ。」
そして、謎の集団のボスらしき男は、夏希の方に視線を向けた。
「脅威となる……物……?」
「そうだ。あいつは、業界のなかでも凄腕の有名な科学者だったという噂だ。……まぁ、科学者という職業上、世界中で有名かと言われると、そうではない。だが、問題はそこではない。あいつの作り出した物、それは、『特殊能力を無効化する薬品』だ。」
「特殊能力を無効化する薬品……?そんな物聞いた事も……。」
「まぁそうだろうな。実際、どうやったかは知らないが、ヤツはかなり高い隠蔽技術で、情報を隠していた。だが、俺達の組織には隠し通せなかった。それだけの話だ。そして、それが俺たちにとって脅威となりうると判断し、お前達を排除する事にした。家族諸共殺すのは、依頼者からの注文事項にもあったのと、念には念をってやつだ。もしここで情報が流出してしまっても困る。まぁ、お前達が強ければ殺されなかっただろうが、そこは自分達を恨んでくれ。」
「お前……!」
奏飛は、今すぐにでも殴り程の怒りの感情に押しつぶされそうになる。
だが、やや恐怖心が勝り、足が震えて動く事はできない。
「そして、俺たちは何者か、だったか?普段は滅多に組織の名を外に出す事はしないが……、まぁいいだろう。どうせお前はこの後死ぬのだからな。」
そして、ついに謎の集団のボスらしき男をはじめとし、9人全員が被っていたフードをとる。
そして言葉を発する。
「我々は『秘密結社イージアン』。いずれ、裏で頂点に立ち、表を支配する者だ。」
秘密結社イージアンと名乗る者達。
その中でも、特にとてつもない圧の恐怖心を放つのが、身長180センチ前後で、白髪のボスらしき男であった。
「秘密結社……イージアン……。」
奏飛が、その組織の名を呟く。
「と、まぁ、お喋りはこのくらいにしよう。これ以上は時間の無駄だ。それじゃあ、死ね。」
「ッ!」
ボスらしき男がそう言葉を発した瞬間、秘密結社イージアンと名乗る集団の内の1人が、奏飛に向かって突っ込んでくる。
そして、奏飛は首を刎ねられた。
「……きろ。」
(ん?なんだ?この声?)
「……起きろ。」
(聞いた事ない声だ……。誰だ……?)
「起きろ!」
「ッ!」
その強い言葉に奏飛は慌てて飛び起きる。
しかし、そこは何もない、真っ黒な、まるでブラックホールの中と言っても疑わないほどに黒の背景の地平線が広がっている場所であった。
「ここは……?どこだ?ハッ!そうだ!確か俺は首を刎ねられて死んだ筈じゃ……。どうなってるんだ?もしかして、ここは死後の世界?だとすると、この雰囲気の感じからして、俺は地獄に来たのか……?」
突然この空間で目を覚ました奏飛は、分からない事が多すぎて、混乱する。
だが、そんな奏飛に答えるように、声が聞こえた。
「……ここは死後の世界ではない。正確に言うならば、『お前自身の中』だ。」
「誰!?」
「私か?それは今伝えるべき事ではない。まぁ強いて言うなら、お前の中の『もう一つの別の意識』とでも言うべきか?まぁ好きな呼び方をしてもらっても構わない。」
「は、はぁ……。」
奏飛は、それでも理解が追いつかない、という感じである。
「まぁ、今のお前は混乱しているだろうからな、一つずつ説明していく。まず、単刀直入に言おう。お前は一回死んだ。そして、この、お前自身の意識の中の空間にいる。だが一つ、お前にはまだ生き返るチャンスが残っている。お前が持っているとある『異能』のおかげでな。」
その『異能』という単語に奏飛は目を丸くして驚いた。
「異能!?だけど、俺は劣級者だから、特殊能力は持ってないし、全く使えないし、何なら生まれて一度もそんな体験はしたことない……。そんな俺に、異能?一体どんな異能……?」
「特殊能力が使えない、か。それは通常であれば、な。しかし、お前には、私というもう一つの存在がいる。その影響によって異能を授かった、という事だ。まぁ、今のお前に言っても理解はできないだろうが……。そして、肝心の異能が何か、だったな。ずばり、お前の異能は、『復活』だ。」
「復活?それはまた、いったいどんな……」
「簡単に言えば、死んでも生き返る事ができる。お前が一度死んだ後、お前は毎回この空間にやってくる。そして、この空間でこの先、復活するかどうかを決める。しかも、使用回数に制限があるなどのデメリットは、特にない。」
その言葉に、奏飛は更に驚かされる。
「!」
「だが、当然、死ぬ時には、痛みや苦しみは感じる物だし、異能に精神面でついてくる事ができるかは別だ。そして、今のお前には、辛い能力だろう。それでも、お前は、生き返る事を望むか?」
「辛い……能力……?」
「先程の事は覚えているか?……お前の家族は、皆、……殺された……。」
その言葉は、現実を忘れかけていた奏飛に、一気にさっきまでの惨劇を思い出させた。
「……ッ!あっ……あっ……あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!何で!何で!!何で何で何で何で!!!皆んなはどこ!?返事してくれよ!!!」
「今のお前に言うのはとても辛いだろう。だが、今の悲しみと同じくらい、お前の中には、ある感情が眠っているはずだ。それは、『家族を殺した奴らに復讐してやる』という恨みの感情。違うか?」
そして、その『復讐』という単語は、奏飛に迷いを生じさせた。
「………そう、だな……。復讐……か……。でも、俺なんかに本当に復讐なんてできるのか?あの、秘密結社イージアンとかいう組織に、俺ではとても勝てるとは思えない……。しかも、あのボスっぽい男からは、とてもこの世の者とは思えない圧と恐怖を感じた……。しかし、かと言って俺は、あいつらを許すつもりは毛頭ない。むしろ、できる事ならば、今すぐにでもやり返してやりたい。……でも、俺なんかがあいつを倒す事は……可能なのか……?」
奏飛は、決断出来なかった。
いや、正確には、まだ覚悟が足らなかったのだ。
奏飛の中では、今すぐにでも、あいつらに復讐してやりたいという復讐心と、本当に、自分なんかにできるのだろうかという恐怖心および自分の中の自信のなさが対立していた。
(今のこいつには正直厳しいだろうな……。こいつの中で、大きな迷いが生じている。逆に、今すぐに立ち上がれる可能性は、ゼロに近い。しかし、今ここで立ち上がってもらわねば、俺にとっても都合が悪い。こいつには悪いが、ここは無理矢理にでも立ち上がって、生き返ってもらうしかない。となればここは……。)
その時、黒一色であった空間全体が、白色に光り始めた。
「……悪いな少年。だが、生憎と俺にもさほど余裕はないのだ。俺の目標のためにも、ここでお前には立ち上がってもらわねばならない。よって、お前に強制的に復活を発動させる。さっきの惨劇からすぐに前を向けと言う方が難しい状況なのも分かっている。本当に申し訳ない……。だが、悪く思わないでくれ。〈強制復活〉。」
そして、奏飛の理解が追いつかないまま、奏飛の意識は、その空間から消えた。
続く……
今回はかなりシリアスな話でした。物語も、平和な日常からは一気に変わりましたね。
こういった残酷なシーンが苦手だった方には先に謝っておきます。
ごめんなさい。
これからもこういったシーンはちょくちょく出てきます。
ご了承ください。
では、次の投稿もいつになるか分かりませんが、何卒よろしくお願いします。




