町の外は大パニック
なんだかんだで十話超えたなぁ〜、って感じです。
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あれからアシガエルに『カイト』と名付けて、再度召喚石の外に出して簡単ながらお別れ会をした。
そのタイミングを見計らっていたかのようにミラ婆さんが杖をつきながら現れて、食べ物や飲み物を提供してくれたのだ。準備が良すぎではありませんか?
まあ、カイトや子供たちも喜んでいたので詮索はやめておこう。世の中には知らなくてもいいことがあるのだ。
お別れ会が終わって、ミラ婆さんから依頼達成の報酬としてカイトの好みの食べ物をたくさん譲ってもらえた。
暫く買い足す必要は無さそうだが、これが好物なんだとすれば無くなった時にまたミラ婆さんの道具屋で買い付けることになるのか?商売上手だなぁ〜。
それから更に、冒険ギルドに再び寄って今度は町の外でやるクエストを受けてきた。
具体的には、フモッティとコロブタを十匹ずつ倒してくるという戦闘系のクエストと、幾つかの薬草を一定数採取してくるという採取系のクエストの三つを受注してみた。
どちらもルーツの周辺で達成できるため一度に複数依頼は大変かもしれないが、試しに受けて損はないだろう。
「おぉ〜!MMOならよく見る光景とはいえ、凄い人の数だなぁ!ほとんどプレイヤーかな?」
草原を埋め尽くすような人の数に圧倒される。
パトモンがリポップすると争奪戦になっており、明らかに供給が追いついていない。
恐らくこの草原の街道沿いに進んだ先にある森の中も似たような状態だろう。森の方が出現するパトモンのレベルは高いが、相手はフモッティとコロブタが主なので課金してれば問題はないのだ。
今からあの中に割り込んだとして、効率が果てしなく悪いのは考えるまでもない。
実はこういう状態になっているのはゲーマーとして容易に想像ができていたし、それとは別に直接ミラ婆さんから聞いていた。
道具屋に来た現地民、つまりこの町の住民が話していたらしい。外は今狩りができる状態じゃない、と。
自分のことではないとはいえ、同じプレイヤーとして申し訳ない気持ちになった。
高度なAIを使用しているため普通に人間相手に喋っているのと変わらない感覚だし、そうなるとこういう問題も出てきてしまうんだよな。
まあ、これが嫌なら他にそういう層を狙ったゲームがあるのだからそっちをすればいいだけだ。
何はともあれ、クエストを受ける気満々だった俺としては頭を抱える状況だった。
そこで助け舟を出してくれたのは、またもやミラ婆さんである。曰く、地元の人間しか知らない穴場があるのだとか。
何だそれは、貴方が神か?てか、プレイヤーの俺に話しちゃっていいんですか?
そう慌てるこちらに対してミラ婆さんは、俺なら問題ないと太鼓判を押してくれた。もちろん情報を広めるのは厳禁だ。当然のことだな。
そのあとのことを話そう。
ミラ婆さんから聞いた通りに暫くは街道沿いに森の中に入っていき、目印となる木を見つける。
これは分かりやすく、けれど事前に知っていて意識しないと気づかない程度の目印として木に十字の傷跡がついていた。
その木を背にするようにして真っ直ぐ進むと、同じ目印が付けられた木が二つ三つと見つかるので迷わず歩いて行くと、不意に開けた場所に辿り着いた。
そこは森の中にぽっかりと空いたスポットのようになっており、草原ほどではないが結構広い空間だった。
今は十五人くらいの住民と思われる人たちがフモッティやコロブタ、更にアルキソウとガブリムシとクルッポーの群れを協力して相手取りながらバトルしているのが見えた。
他にも二、三人ほどバトルには参加せず、周囲に群青している中から特定の草だけを採取しているのを確認できる。
しかし、ここのパトモンを見る限りではかなりレベルが高いような気がする。少なくともハナコの数倍は上だろう。
戦えるかどうかで言えば、彼らがしているように誰かと一緒に闘えば何とかなるだろう。
ハナコもカイトも『姿隠し』や『影渡り』を上手く使えばサポート的な立ち回りも全然イケるし、ハナコに限って言えばアタッカーとしてもギリギリ何とかなる範囲だと思われる。
取り敢えずバトルが終わるまで待ってようと決めたら、採取していたうちの一人が俺に気付いて近寄ってきた。
「見ない顔だけど、ここに来たのは偶然か?」
俺が余所者であるプレイヤーだと理解しているのか、警戒しているらしく彼の表情は少し強張っている。
まあ、普段の狩場が荒らされたからここまで来ているのだろうし、もし俺から情報が拡散されたらって思うと不安な気持ちは分かる。
ただ別にプレイヤー同士って仲間でも何でもないからな。むしろゲーマーは自分に有利な情報は可能なら秘匿して独占しようとするものだし、もちろん俺だってこんな情報を他に渡すつもりはない。
「いや、道具屋のミラ婆さんって知ってる?依頼を受けたりして仲良くなったらこの地元の人しか知らない穴場について教えてくれたんだ。良ければ混ぜてもらえると助かるんだけど……」
「ああっ、ミラさんから聞いたのか!あの人が認めたなら問題はないな。…………よしっ、いいぞ。俺から他の奴らにも言っておくから好きに使ってくれ」
「ありがとう!一人で戦うのは厳しいかもしれないけど、まずはやってみるよ」
ミラ婆さんの名前を出したお陰ですんなりと話が通った。本当にありがたいな。
兎に角、いきなり協力してバトルに挑むのはコミュ力的にも難しいものがあるので、厳しい闘いにはなるだろうがまず自分だけの力で頑張ってみよう。
ということで、周囲を見渡せば一匹だけで行動しているパトモンもちらほら居るので、そこが狙い目だろう。
野生のパトモン相手にルールなんてものはない。二対一で申し訳ないが、ハナコとカイトを召喚して二匹で協力してバトルしていくことにした。
「相手の方が強いんだ!こっちの数が多いからって油断するなよ?やるぞっ、ハナコ!カイト!」
「ぴょっ、ぴょ〜い!」
「ゲゲッ、ゴゴッ!」
そうして何度かバトルをした結果、二匹で一匹を相手にする分には勝てることが分かった。
これにはハナコとカイトの相性が良かったお陰もある。どちらもスピードアタッカーであり、姿を消して攻撃するトリッキーな動きもできる。
片方が注意を引いている間にもう片方が攻撃をし、その隙をついて片方が、というコンビネーションがハマると途轍もなく気持ちよかった。火力的な意味ではハナコが居れば十分だったのも大きかったな。
途中から色々なグループに誘ってもらって群れ相手のバトルも経験できた。
最初は勝手が分からないのでサポートに徹していたのだが、ある程度慣れてきてからは積極的に攻撃に参加したりと楽しかった。
確か複数のマスターで協力して闘う形式はレイドバトルって言うんだっけ?大型イベント以外ではやる機会なんて無いと思っていたけど、これならプレイヤー同士でも格上と闘えるからかなり便利なんじゃないだろうか。
まあ、これに関しては時期を見て情報掲示板にでも上げてもいいかな?穴場についてはNPCに迷惑が掛かるから教えてあげられないけどね。
誤字脱字等ありましたらご報告頂けると助かります。
これからも不定期更新になりますが、折角なので楽しく読んでもらえれば嬉しいです。




