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【日刊上位ランクイン】チャネリングしたら宇宙船の美少女艦長に繋がったので、ブラック企業を辞めて人生を取り戻すことにした  作者: ハイカラな人


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 接続を切ったあと、恒一はしばらく部屋の床に座り込んでいた。


 暗い。

 静かだ。

 冷蔵庫の音だけ。


 ノートPCの画面には、昼間までやっていた顧問先案件のメモが残っている。

 営業と現場の断裂。

 発注責任の曖昧さ。

 情報可視化。


 そんな地に足のついた整理と、今聞いた話のスケール差が、頭をおかしくさせそうだった。


「……最悪だ」

 口から出る。


 でも、それだけでは足りない。


 怒っている。

 裏切られた感じもある。

 助けられた事実も消えない。

 惹かれている感覚すら、完全には消えない。


 だから余計に最悪だった。


 スマホが震える。

 メッセージではない。

 何でもない通知。


 画面をつけると、SNSのタイムラインの端に、小さな話題が上がっていた。


海外の観測掲示板で「地球近傍に大型構造物の可能性」って流れてるけど、また与太?


さすがに釣りでは?


いや、複数観測点で整合してるとか何とか


「……」


 恒一は画面を見つめたまま、動けなかった。


 世界はまだ完全には知らない。

 でも、もう冗談だけでは済まない顔をし始めている。


 ルイゼの言葉。

 避難船。

 候補地。

 追跡勢力。


 そして、地球近傍の大型構造物。


「……来るのか」

 誰にともなく呟く。


 返事はない。

 でも、その問い自体がもう、前とは違う重さを持っていた。



 最初に“名前”がついたのは、海外の天文フォーラムだった。


 翌日の昼前。

 恒一は顧問先案件の診断メモを整えながら、片手でニュースを追っていた。

 メインにはまだ出ていない。

 テレビも静かだ。

 国内の大手ニュースアプリも、上の方には何もない。


 だが、専門寄りの速報まとめや海外掲示板の引用には、もう単語が出始めていた。


近地球空間における非自然構造の可能性


複数観測点の視差に整合あり


既知の衛星軌道と一致せず


断定は時期尚早


「……」


 恒一は画面を見つめた。


 非自然構造。


 まだ“宇宙船”ではない。

 まだ“異星人”でもない。

 でも、“ただの見間違い”では済まなくなり始めた言い方だ。


『段階が一つ進みました』

 ルイゼの声は静かだった。


「うん」

「与太話から、“確認中の異常”に変わった」

『はい』

「で、こうなると次は?」

『観測機関が言い回しを整えます』

「……」

『次に、メディアが雑に広げます』

「嫌な順番だな」

『あなたの文明らしい順番です』


 否定できなかった。


 恒一はメモ帳に書く。


段階

•SNSの違和感報告

•観測コミュニティのざわつき

•非自然構造の可能性

•まだ断定なし


「……」

『良いです』

「正しい点」

「空の違和感は複数観測と接続し始めてる」

『はい』

「不確実な点」

「公的機関がいつ出すか」

『はい』

「不明な点」

「出した瞬間に、どこまで一気に騒ぐか」

『はい』


 ルイゼは頷く。


『そして、もう一つ不明な点』

「何だ」

『あなたが、その時どこに巻き込まれるか』


 胸の奥が少し冷えた。


 それは、本当にそうだ。

 世界が騒ぎ始めた時、自分はただの外野でいられるのか。

 いられないかもしれない。

 むしろ、かなり怪しい。

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