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図書館の天才少女〜本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!〜  作者: 蒼井美紗
第13章 浄化の旅の再開編

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228/228

227、港町へ

 別に国に入って近くにあった二つの瘴気溜まりを連続して浄化したところで、遠くに海が見えた。


「綺麗な水平線だね……海は、どんな世界でも同じなんだね」


 ハルカがしみじみと呟く。


「海って、こんなに大きいんだ」


 マルティナは海を見たのは初めてなので、かなり驚いていた。マルティナだけでなく他の者たちもほとんどは初見で、皆でひたすら海を眺める。


 海についての知識は豊富だが、実際に見るとその大きさや雄大さに圧倒された。


「予定にはなかったけど、海沿いに港町があるから少し寄ってみようか。昼食予定の食事はおやつにしてしまったから、もう少し食べてもいいと思うのだけれど」


 ソフィアンの提案に、全員が前のめりで賛成だ。


「そうしましょう!」

「それいいですね」

「港町の海鮮料理、最高っすね! 屋台とかあったら巡りたいっす!」


 追加のおやつという形で食事をすることになりそうである。マルティナはそこまで食べられそうにないが、海鮮料理は気になった。


 ディアスも賛成してくれたため、さっそく港町に進路を変更する。街から少し離れたところで降りて、例によってマルティナはディアスに運ばれながら街に向かい、問題なく目的地に到着した。


 そこは長閑な港町のようで、街の外壁などもない。広々としたのんびりした町のようだ。


「よし、さっそく食べ歩きっす!」

「我も共に行こう」


 食べる気満々の二人に苦笑しつつ、ハルカが言った。


「あの、わたしはまず海を見てきてもいいですか? ちょっとだけ別行動になっちゃいますが」


 ハルカの提案に頷いたのはソフィアンだ。


「そうだね。私とハルカとマルティナ、それぞれが護衛なしにならなければ問題はないよ。私はハルカと共に行こう。フローランは付いてきてくれるかい?」

「もちろんでございます」

「ありがとう」


 サシャとディアスが食べ歩き、ハルカたち三人は海を見にいくことが決まった。そこでマルティナとロランが顔を見合わせる。


「俺たちはどうする? どっちかと一緒に行くことも、俺たちだけで別のところに行くこともできるぞ」


 護衛のロランがいれば、マルティナも別行動が可能なのだ。好きな場所に行けると聞けば――マルティナの答えは一択である。


「この町の中古本屋を見に行きたいです!」


 初めて見る海よりも、まずは本屋を見たいマルティナである。その答えが分かっていたのだろうロランは、苦笑しつつ頷いた。


「分かった。じゃあ俺たちも別行動するか」

「ロランさんはそれでいいのですか……?」


 一応ロランの意思も聞いたマルティナに、ロランは笑いながらマルティナの肩を叩く。


「俺に遠慮はいらないぜ? でもそうだな。本屋を見てから食べ歩きできる海鮮料理を買って海に行くか」

「分かりました。そうしましょう!」


 そうしてそれぞれの予定が決まり、少しだけ別行動をすることになった。


 マルティナとロランは皆と別れて町の大通りらしきところを進む。田舎町と言えど大通りは賑やかで、屋台やお店が軒を連ねていた。


 中古本屋は少し路地を入ったところだろうか。今までの経験から考えて路地を覗いていると、三つ目の路地の先にそれらしき店を発見した。


「ロランさん!」


 瞳を輝かせたマルティナに、ロランが眉を下げて笑う。


「すぐ見つかって良かったな」

「はい!」


 小走りで中古本屋に向かうマルティナをロランが追いかけ、二人で店内に入った。凄く小さなお店だったが、足の踏み場がないほどに本が並べられていて、数は多そうだ。


 奥のカウンターにいた店主は割と若い男性である。熱心に本を読んでいたが、マルティナたちに気付き顔を上げた。


「あ、いらっしゃいませ。あれ、旅の人?」

「そうです!」

「珍しいね。どうぞごゆっくりご覧ください。あ、欲しい本があれば言ってもらえたら」

「ありがとうございます。まずは見させてもらいますね!」

「はい。お好きなだけどうぞ」


 穏やかな男性の笑顔に安心して、マルティナは本をジッと見回り始める。そんなマルティナからすぐに視線を逸らし、店主の男性はまた本に目を落とした。マルティナと似たような本好きかもしれない。


「マルティナ、狭いから気をつけろよ」

「はい。ロランさん、上の方の見えないところの本を読み上げてもらえませんか?」

「分かった……けど、それよりも抱き上げた方が早くないか?」


 狭い店内は台を使うのも大変そうで、マルティナは代替案としてロランに頼んだのだが、ロランは少し考えてからマルティナの脇に手を伸ばした。


「ちょっと触るぞ」


 そう言ってからヒョイッと持ち上げられる。子供のように脇の下に手を入れられて持ち上げられるのは複雑な気持ちになったが、目の前に本のタイトルが見えたことですぐにそんな気持ちは霧散した。


「完璧です」


 マルティナの言葉にロランが苦笑する。


 それからたまに持ち上げてもらいながら全ての本を確認し、マルティナは三冊の本を選んだ。この町だからこそ置かれているのだろう、海関係の本である。


 他にも買いたい本はそれこそ数百とあったのだが、苦渋の決断で三冊に絞った。


「これをお願いします」

「はい。ちょっと待ってくださいね」


 店主の男性は顔を上げて、本を確認する。すると嬉しそうな笑みを浮かべて言った。

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