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図書館の天才少女〜本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!〜  作者: 蒼井美紗
第12章 竜との交流編

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214、ディアスの誘い

 帰還の魔法陣研究が進む可能性に喜び、それと共にハルカとの別れを感じたマルティナが悲しさを胸の奥に押し込んでいると、ディアスが思わぬ提案をした。


「感知魔法を帰還の魔法陣に組み込めるかも分からぬし、成功するとしても数ヶ月は先だろうが、もし成功して我が祖国に帰ることができたら、マルティナとハルカは我の国に来ないか? もしかしたら、ハルカの帰還の魔法陣を完成させるヒントがあるかもしれないぞ」


 ディアスが国に帰る帰還の魔法陣が完成したとしても、それはディアスの感知魔法があるからこそで、ハルカが帰還するための魔法陣完成には直接繋がらないのだ。


 だからこそ、これはとてもありがたい提案だった。別世界の知識、しかも竜の知識など、思いもよらぬ有用なものがあるだろう。


 しかしマルティナは、あまりにも壮大な話になんだか実感が湧かない。


(私が、別の世界に行くってこと……?)


 別の世界から来たハルカやディアスと接していても、自分がそちらに行くことなど考えたこともなかったのだ。


「もちろん安全性は確認してからにするぞ?」


 さらに付け足したディアスに、マルティナはまだ考えがまとまらないまま口を開いた。


「確かに、安全に行けるのならありかもしれません……」

「わたしたちが行っても大丈夫なのですか?」

「ああ、問題ないだろう」


 笑顔で頷いたディアスを見ても実感が湧かなかったが、続いた言葉にマルティナは一気に前向きになる。


「我の世界に来れば、マルティナが興味を示していた本の実物を手にできるぞ」

「竜の世界の本!?」


 やっとその事実に思い至った。竜の世界に行くということは、その世界の本を読めるということなのだ。そんなの、断るなどあり得ない。


「い、行きます! ぜひ連れて行ってください!! 絶対に行きたいです……!!」


 一気に前のめりとなったマルティナに、ディアスは楽しげな笑みを浮かべている。ハルカは苦笑混じりの笑顔だ。


「マルティナらしいね」

「では、もし我が帰ることができたなら……」


 共に我の世界へ行こう。そう続くはずだったのだろうディアスの言葉は、ロランによって遮られた。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


 ロランは護衛兼官吏として、書庫の端で書類仕事をしながらマルティナたちの研究を何気なく聞き流していたのだが、さすがに今の会話は聞き流せなかったのだろう。


「マルティナっ、そんなに重大なことを軽く決めるな!」

「でもロランさんっ、竜の世界の本ですよ? 実際に読めるんですよ? 図書館もあるらしいんですよ!?」

「分かったから落ち着け!」


 ロランはマルティナの両肩を強めに掴むと、ディアスに視線を向ける。


「ディアス様、まだ何も分からない状態だと思いますが、ディアス様の世界自体は危険ではないのでしょうか」

「うむ。我と共にいればなんの問題もない。問題は無事に転移できるかどうかだな。しかしそこは、ちゃんと検証するぞ」

「――では、マルティナとハルカがそちらに行く場合、俺も同行させてください」


 ディアスの世界に向かうのは条件によっては許容するが、マルティナたちだけでは行かせない。護衛としての覚悟を感じるロランの眼差しに、ディアスは少し考えてから頷いた。


「分かった。仕方ないな。ではお主も、ロランも共に行く方向で魔法陣について考えなくては」

「ありがとうございます。できればあと数人同行できるとありがたいです」


 おそらくサシャ、フローラン、ソフィアンあたりを想定しているのだろう。マルティナも少し冷静になって、ディアスに向かって口を開いた。


「ディアス様、よろしくお願いします。魔法陣構築の際に、また人数についてはご相談させてください」

「そうだな。まだ感知魔法を組み込むことが上手くいくかも分からないのだ。ひとまず研究が進んでからだ」


 そうしてディアスの世界への帰還の魔法陣が完成した暁には、マルティナたちもそちらの世界へ行ける可能性を得たところで、話は終わりとなった。


 さっそく感知魔法を魔法陣に組み込む方法を研究することになる。


「マルティナ、どうすれば成功すると思う?」

「そうですね。まずは召喚魔法陣を参考に、探査に関する部分を改良して――」


 希望が持てたことで研究は賑やかに、そして有意義に進み、あっという間にお昼の時間となった。

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― 新着の感想 ―
もう本の虫ってレベルじゃないよね。本の奴隷とか本食の変人じゃね?笑
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