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第二十一話 作戦会議

前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」の番外編を公開しています。


https://ncode.syosetu.com/n9637gz/


こちらには、本作「モブ令嬢~」の番外編もいずれは一緒に投稿していく予定です。

今のところは「変態王子~」の番外編だけ不定期更新となっています。






 ヒロインと出逢った事を殿下に報告したら、早々に王宮へと呼び出しを受けた。殿下と会っている事は、周りには秘密だ。手紙のやり取りをしている事も誰にも話さない様にと、殿下から直々に我が家の使用人に命令が下っている。そして王宮に行く時もカモフラージュの為、名目は“王立図書館に本を借りに行く”となっている。


 今日もそうやって王立図書館へと向かい、数冊の本を選んで殿下からの迎えが来るまで個室で時間を潰していた。いつもの様に殿下付き従者のデペッシュが個室に顔を出したので、互いに距離を取りながら図書館を出て殿下の執務室へと向かった。


「はぁっ! 毎回、緊張します~」


 無事に執務室に入室出来た途端、わたしは大きなため息をついた。そんなわたしを見ながら殿下は面白そうに笑っている。


「ゼフィーは隠密行動は向いてなさそうだな」

「わたしは素直ですから! アル様は得意そうですよねー」

「あぁ、何も問題なくこなせるだろうな。俺は天才だからな」

「はいはい」


 デペッシュが淹れてくれた紅茶を飲みながら、わたしは悪態をつく。殿下とは転生者同士という謎の連帯感が生まれて今では仲の良い友達となっている。まぁ、公には出来ないんだけどね。


「せめてタクト様だけには殿下との事話せたら気持ちが楽なのになぁ……」

「それはどうかな……アイツ、あぁ見えてかなり嫉妬深いから俺とゼフィーが会う事すら阻止してくるぞ」

「……相変わらずティアナ様との面会、邪魔して来るんですか?」

「昔ほどではないがな」


 わたしと会ってる時は、あまりそんなお姿を見せる事はないのだけど。殿下曰くタクト様は妹のティアナ様を可愛がるあまり、特にローゼン公爵家で会う場合は当然の様にタクト様も同席されるのだそうだ。いわゆるシスコンてやつだ。


「シスコンなタクト様……可愛すぎ。あぁ、尊いわ」

「タクトの居ない時を狙って訪問する苦労を分かって欲しいよ」

「ふふふ、愛されちゃってますね~ティアナ様」

「当たり前だ」


 そう言いながらカップをソーサーに戻すと、真剣な表情に戻られる殿下。


「さて。意外な所でのヒロイン登場か……」

「……そうですね」


 暫しの沈黙が流れる。


「転生者で間違いないんだな?」

「はい、タクト様の事ご存知でしたし、あの行動はそうじゃなきゃ不自然です」

「俺が最近調べさせた時はまだ普通の常識のあるご令嬢だったのだがな……記憶を取り戻した影響か」

「恐らくそうでしょうね。今のヒロインは常識外れとしか言い様がありません」


 いきなり面識の無い貴族のわたしに馴れ馴れしく声を掛けて来たり、わざと転んでイベント起こすくらいだ。何をしでかすか、どんな手を使ってくるか全く予想がつかない。


「前にも話したが俺やタクト、スクト、それに俺の弟のアーサーには魅了の力は効かない。残りのパワード、ギュンター、マーベリーで様子見ようにもヒロインが入学する迄分からないな」

「そうですね。せめて魅了の力を使わずに、普通に恋愛してくれたら良いのですけど……」

「まぁ、それでもパワードとギュンターには既に婚約者が居るからな。下手したら婚約破棄騒動になるだろう」


 ゲーム「虹色の奇跡をあなたと」通称「虹あな」には七人の攻略対象者が居る。


 その中でも、キラキラ王子ことアルスト殿下とその弟で隠しキャラの第二王子アーサー殿下、騎士見習いの公爵家令息であるタクト様、次期宰相候補の公爵家令息であるスクト様は何やら殿下が既に対策を打っているとの事で、ヒロインの使う魅了の力は効かないらしい。


 あとは魔導士見習いの侯爵家令息のパワード様、大商人の侯爵家令息のギュンター様、学園の教師兼研究員のマーベリー先生の三人だ。


 ゲームをプレイしていた時はヒロインの持つ魅了の力を使えば攻略対象者の好感度が上がりやすくなるので、便利な力くらいにしか思ってなかった。でも実際問題、人の心を魔術で虜にさせるとなるとそれはとても恐ろしい力だと改めて思った。魅了の力を持っていても、それを使わないヒロインなら好感が持てるのに……。


「で、お前はどうするんだ。タクトをヒロインにくれてやるのか?」


 意地悪そうに微笑みかける殿下――――。この人はいつもそうだ。わざと意地悪な事を言ってのけ、わたしをけしかける。でも、そのお蔭でわたしは勇気を貰えている。


「絶対、渡しません。正々堂々闘って、必ずタクト様と婚約します」

「……よく出来ました」


 そう言って殿下はわたしの頭をぽんぽんと撫でた。……もうっ、こーう所は無自覚なんだから。わたしがタクト様大好きじゃなきゃ、殿下に惚れちゃうかもしれないよ? ただでさえ、キラキラオーラ凄いんだから。まぁ、殿下もわたしがタクト様以外好きにならないって知ってるからだろうけど、さ。

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