1.隣の席のマドンナ――安藤菜穂。
連載版を作りました。
もしよろしければ、応援いただけますと幸いです。
「ほら、悠! さっさと焼きそばパン、買ってきなさいよ!」
「………………!」
イジメの主犯格である女子生徒が、ボクにそんな指示を出す。
こんな生活が始まって、もうどれだけの月日が経ったのだろうか。実際にはまだ一年と少しなんだけど、もう十年は経っているように錯覚した。
それほどまでに、毎日が辛い。
相手が理事長の孫だから、逆らうこともできなかった。
もし逆らったとして、なにか仕返しをされるのが怖かったんだ。
「でも……!」
なにか、行動を起こさないといけない。
もうイジメに怯える毎日なんて、ウンザリだ!
だからボクは、決断した。
この地獄のような日々から抜け出すために、変わってみせるって……!
◆
「えー、今日からこのクラスに転校してきた篠宮悠くんだ。時季外れの転校ではあるが、どうかみんな仲良くしてやってほしい」
「し、篠宮悠です! よろしくお願いします!!」
一か月後、ボクは別の高校にいた。
県下でも有名な私立、立花学園。偏差値はそこまで高いわけではないのだけれど、とかく潤沢な設備が整っていた。バックにあるタチバナグループという会社は、世界でも有数の企業として名前が通っている。
そんな学校に、父親の仕事の都合ということで編入したボク。
緊張しながらも挨拶すると、数秒の間を置いて、熱烈な拍手で迎えられた。
「これ、少し落ち着きなさい! ――篠宮くんの席は、窓際の最後尾だ」
「分かりました」
なにやら、クラスメイトの視線が熱いのだけど。
その理由が分からないまま、ひとまずボクは窓際最後尾の空席に腰かけた。するとすぐに、隣の席にいた女子生徒が声をかけてくる。
「わたし、安藤菜穂! よろしくね、篠宮くん!」
「う、うん。よろしく」
――安藤菜穂。
そう名乗った女の子は、栗色の髪をした癒し系な外見をしていた。
ゆるふわ系の美少女とも表現できるだろうか。柔らかなその微笑みは、以前の学校では間違いなく見られなかったもの。向けられているだけで、胸の奥が温かくなってきた。
だからボクも自然と笑みを浮かべる。
すると、
「はわ……!」
「え?」
「う、ううん!? な、なんでもないの!!」
どうしたのだろうか。
安藤さんが、顔を真っ赤にしてしまった。
風邪でも引いたのだろうか。――この一瞬で?
「ね、ねぇ……?」
「うん?」
そう考えていると、モジモジしながら彼女はボクにこう訊いてきた。
「篠宮くん、って。彼女さん、いるの?」――と。
何気ない質問一つ。
だけど、この時のボクはあんな事態になるとは思ってもみなかった。
今日は合計で三話投稿します。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★で評価など。
創作の励みとなります。
応援よろしくお願いいたします!
<(_ _)>




