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義腕の王  作者: リョウゴ
五章・盲信する狂信者と人としての意地
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開かずの扉 12

 消えてしまった魔力。少しだけ回復したのだが、温存するために、一切の魔力を使わずに走る。


 さっき、登る時は魔力を利用したが、そのときは登れた後は考えていなかったので、魔力を用いた移動をした。


 魔力を纏って身体能力を向上させる技は、今まで魔力の損失はないと思っていたが、登るときに僅かに回復した魔力を用いたら全て無くなってしまった。つまり魔力を使えばどんな運用をしようと、どこかに無駄が出て、消費してしまうものなのだろう。


 魔力がなくても一段一段登り降りできる。それがわかっていたので、まっすぐ一直線に後方、校舎に向かって走る。


 ……つまり岩から逃れる際に反対へと走ったという事だ。


 最短ルート、高低差が無ければ底を通るルートが一番短く済む。


 一番下まで降りた俺は出来るだけ速く走る。


 少しずれたところで村上さんが白ローブを相手取り、戦闘している。


 彼女の白かった巫女装束はどこにも白は見当たらない。遠目に見る俺には彼女が返り血を浴びたのか逆なのか、考えようとして、止めた。



 そのまま急いで走る余り、扉の上を迂回するのを忘れる。


 後ろ、上からガシャンと言う音が聞こえて顔だけ振り向くと、飛翔する椅子に乗った男とその椅子と大きなバネのようなもので繋がっているタイヤが目に映る。


 そして浮遊する岩々が男を囲む。


 そうして形作られたのは人型の岩の塊、ゴーレムのようだった。大きさは見上げるほどあるにはあるが、せいぜい四メートルってところだろうか。


 胸の部分に収まった男。正直ゴーレムに乗り込む意味は不明だし、元々あった岩全て使ってその大きさって、他の岩どこ行ったよ? って感じなのだが。


「九人の生贄、神眼の少女在りし時、扉が開く。くくくっくくくくく………。天使様! 準備は整いました! 後1人、あの男を生け贄とし、天使様に再び謁見させていただきます!! フフッハハハハハハハハハ!! 待ってて下さい! 虚無を司りし天使・エリア=エクスヴォイド様ぁ!!」


 狂乱したように叫ぶ男。そして狂った言葉を放つ男を前に逃げるということを忘れ、聞いていた。


 ふと我に返り、逃げようと足を動か…………。


 どうしてか全く動かない。そして足元を見れば、扉から、正確には扉の周りの石と土の境目、底からとげの生えた蔓が生えて、俺の足に巻き付いていた。


 その蔓はあっという間に俺の手まで伸びると強引に下へと引き、担いでいた日舞さんが解放される。


 と同時に蔓によってうつ伏せに引き倒される。しかも倒された後、足へ巻きついた蔓が、扉へと引き込もうとする。


「さあ、悪魔蔓(イビルプラントウィップ)・氷結!生け贄の血を凍てつかせ啜り、扉の鍵と成させるのだ!」


 その言葉の通りなのか、足の方は既に凍り始める。


 微塵も身動き取れない中、頼りになるのは義腕(アイ)。しかしどれだけ呼ぼうとも、返事すらしなかった。


 偶にあるが、それが今起きるとは……。












「柚っち、どうしたの?そんなそわそわして。」


 そんなこと無い、と返答しようとして、私は確かにそわそわしている事に気付いて、言うのを止めた。


 変わりに。


「何か校庭で大変なことになってないと良いけど。」


 と、麻華に聞かせるつもりで呟く。


「うーん。じゃ、この際校庭で起こることの占いをしようじゃあないか。柚っちや。」


 ふふん、と鼻を鳴らし、占うと言う親友。


「じゃ、お願いしていい?」


 両手を制服のポケットに突っ込んだまま、麻華は言う。


「あいよ! お願いされなくてもやるって! ね!」


 左手をポケットから出して、その手に持ったカードの束、それを近くの机に扇状に広げる。


「なんだろー………。」


 そうつぶやきながら、一枚二枚三枚と引き続ける。


「『生贄』『天使降臨』『開門』『教会崩落』………。開かずの扉が見つかって、開くのに生贄が必要。見事天使が現れてあの教会が潰れるのかな。」

「にしても、数あるわね。と言うか何このカード、どういう基準で集めてるの?」


 そう言いながら教会崩落のカードの絵を見る。教会の所々にひびが入っている。そして一番目を引いたのは教会の鐘が地に落ち、割れている。というところだ。


「基準は感覚だよ?」


 左手をひらひらと振りそう答える麻華。


「それとどうして麻華は右ポケットの拳銃をいじり続けているの? 渡しなさい。」


 彼女の右手が右ポケットに入り、ずっとふるえていた。それに気づいて、発言した。


「はーい。」


 彼女は笑顔で渡してきた。


「そうそう。」

「何? 柚っち。相談ならいつでも受けるぜ!?」

「はいはい、そういうのいいから。…あのさ、心配だから校庭見てきて良い?」


 その言葉に首を傾げる麻華。


「何でそんなこというのさ?」


「なんでって……。」


「そもそも、私は何であの二人について行かなかったのか不思議だったくらいだよ。大丈夫。ここにいても何もする事なんて無いよ。」


 ……そう。


「あー、笑った!? 笑ったなぁ!? 親父にも笑われ」

「んじゃ、行ってくるね?」


「た、こ…と……うん。行ってらっしゃい。」


 そうして、片手に、私の口に銃を入れてきた野郎を引き摺り、窓から外にでる。


 そして炎の魔法、爆発じみたそれで、思い切り上へと跳び、職員室が有ると言っていた棟を軽々飛び越えた。

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