開かずの扉 4
「…おおっと、すまんすまん。せっかくだから見逃してやるチャンスをお前等にやるよ。」
引き金から指を離し、銃口は私の口の中に入れられたまま、クラスメイトに向けて白服は言う。
そして、品定めするような視線を向け、その中の1人に目が合うと、そいつに向かってこう言った。
「オイ、おめえ、こいつを撃ってみろよ、一発で撃ち殺したらこのクラスの奴を見逃してやるよ。…ほらよっ。」
全身を覆うような白い服の中から黒い塊を取り出し、その人に投げる。
───私は、このときようやく、誰を指名したのかみることが出来た。
彼女は、投げられたL字型の黒い塊…拳銃を丁寧にキャッチして、少し離れた位置でこちらに銃口を向けた。
「まぁ、出来なければ、皆殺しってところかなァ。別に裏切り者がこいつとは限らねえしなあ、会員番号40298ぃ?」
未だに銃口を口に突っ込みっ放しのその男は、銃を構える彼女、黒河麻華にそう言った。私にはそう見えた。
彼女の銃を構える手が震えていたのは、銃の重さだけではないと私は、思えた。
「虚無天使法・炎」
静かに呟く相対する白ローブ。
起こる事象は豪炎。巻き上がる炎を大きく回避する。
『あー、もう。何なんですか!あの魔法とは違う技は!?』
戦闘は、お互いに攻撃を当てられないまま三分が経過。
理由は簡単、最初に使用されていた「風斬の加護」とやらが発動していて、今のところ、遠距離魔法では攻撃を当てることは出来ない。なので相手は俺を近づけないように当たったらマズい威力の技で牽制をしている。それだけだ。
と言っても、その相手の技が不可解だ。
まず、魔力を感じない。今巻き上げられた炎も、出現した瞬間すら魔力を感じない。
『飛ん、で攻撃しよ、うか?』
良くない。飛ぶのも魔力なら近づけば落ちる。
そう思いつつ、ファイアボールを相手に投じる。
勿論避ける動作すらされずに当たる寸前に細切れにされる。
「お前、早く行きたいって言ったけど急いでるんじゃなかったのか?」
揺さぶりをかけられないかと、問いかける。が。
「虚無天使法・雷」
心の中で予想していた通り、返答は攻撃。相手の前に出された手から光が一直線に駆ける。
それを、夜叉姫を投擲して避雷針の代わりにする。地面に刀が突き刺さる。すると地面に放電されてこちらには到達しなかった。
もう一度ファイアボールを唱え、今度は杖に炎を纏わせる。
俺は突撃をする。一直線に。
相手の手から放たれる炎、氷、炎、土、炎、雷、風、炎、炎………。
それを回避せずに杖で払う。右へ左へ、炎は、吸収……なんて出来ないが、何故か俺の杖の火とは混ざりすらしなかった。
まさかただの突撃がうまく行くとは思ってはいなかったが。地面に刺さる刀を駆け抜ける勢いで引き抜く。…右手から伸ばした魔力で掴み取り、引き抜いた。
魔力が触れた途端、閃光。───違う、雷光だ。
先に気づいたのは、アイだ。すぐさま判断を下す。
『任せましたよ!さっさとかたづけましょー!』
肩から義腕が外れる。俺が感電する前に、大きく俺が義腕から弾かれる。恐らく、感電しないように。
地面に左手を突き、肘をバネに前へと駆ける。
後退りしながら砲撃する敵に接近すると、杖をアッパーカットの要領で振り上げる前に地面へと叩き付ける。
杖に纏った炎が敵の眼前を壁のように覆い尽くす。
叩き付けられた地面が周りのコンクリートを巻き込んで抉れ、抉れたコンクリートが三角錐となり、敵にアッパーするように突き刺さる。
「がふっっ!!?」
そして杖を肩の上に担ぎ、バットをフルスイングするかのように、相手の腹へと叩き付けた。
ゴムボールみたいに跳ねていく白ローブ。完全に白目をむいている。
それを確認すると、右腕と刀を回収し、校舎へ立ち入った。




