表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義腕の王  作者: リョウゴ
五章・盲信する狂信者と人としての意地
90/164

開かずの扉 3

 ────虚無天使教会(あいつら)にバレた!!?


 まずい、まさか普通に電話で報告されるとは……!


 取り敢えず、リューと連絡を………。


 そう思い、私は念話をリューに向けてする。


 念話とは、魔力で行う電話のようなものだ。魔法に分類される。口のない物や、喋れない生物などはこれに長けている事があり、先ほど挙げた物とのコミュニケーションや、遠くの人との会話に利用される。記録は残らないが、事実は残る。それと、相手の位置か、魔力の特徴を完全に把握しなければ通話できない。そこそこ使い勝手が悪いので、電話を使う方が多かったりする。


 私は、竜の使い、みたいな呼ばれ方をしているが、実際彼とは対等だ。……リューの方が年上だけどそうしろと言っていた。正直家族よりも家族だと思っている。


 念話が繋がる。


『どうした。主よ。』


 リューは私を呼ぶときは主なんて言う。対等って言っておいて。


『まずいことになったの。』


『奇遇だな、こちらもだ。』


『!? ………大丈夫?』


『問題は無い。が、すまない主よ。そちらには行けそうにない。相手は一般人だが、数が多い。』


『どこにいるの…? 聞いても、私だってそっちには行けないけどさ。』


『協会支部だ。』


 驚愕


『協会襲撃!? 大丈夫なの!?』


『だから、大丈夫だと言っている。少数とはいえ魔導師はいる。それに本部ではない。問題にすらならないさ。』


『そう…。』


『一応、所在が教会にバレたことはこの件を片付けた後で報告しておこう。』


 !? まだ、そんな事は言ってないのに。


『そもそも主の状況で緊急の事態なぞ、それくらいしか無かろうに。』


『………じゃ、よろしくね、リュー。気をつけて。』


『そちらこそだ。気をつけるんだぞ。』


 この間、五秒弱。


 周りからは突然立ち上がって茫然としているように見えるだろうが、この際気にしない。


 ………一般生徒に紛れ込む。


「────、───、────、─。〈記憶偽証〉。」


 少しの詠唱の後、魔術を発動する。


 これは、数分間の記憶を意識から逸らす魔法だ。勿論認識を阻害するのは一般人にしか効くことはないので、魔導師をやり込む魔術ではないが、今は有用。


 これで密告友人は密告の記憶を認識しづらくなった。


 そ、相当なことが無ければ、多分思い出せないだろう。



 そして、密告友人は席へ何もなかったかのように首を傾げつつ戻ってゆく。


 にしても、何も起こらないな。…まあ、すぐに来るとは思わないけどさ。


 休み時間も終わりそう。


 私は席について、ボケッとしていた。


 確かにこの時は警戒心のケの字もなかったかもしれない。


 だから窓がかち割られ突入してきた白服の集団に反応が遅れた。


 ……ま、紛れ込むつもりだったから別に良かったのかもしれないが。


 集団は全員黒い固まりを腰あたりに構えていた。


 ……銃……偽物かな。


 だが、私は、慌てなかった。…油断してたから一般人演じ損ねたのだ。


 周りが様々な反応をする中、数人は無反応だったのだろう。私は白服集団を分析するついでに数人無反応だった人を見つけていた。


 そして、その無反応だった人たちに向けて銃を向ける白服共。


 ──もしかすると場慣れした人は無反応になるので、それを狙おうとか考えられていたのかもしれない。現実を受け入れられないだけの人もいたのかもしれないのに。


 そして、常に引き金に掛けられていた人差し指が一斉に引かれる。


 ───炎で銃口を溶かす!ついでに私に認識阻害をする!


 一斉に鳴る轟音。一つだけ、暴発した銃の爆発音が混ざっていたが、他は全て無事に発砲された。


 だが、実銃を命中させるのは反動などで割と難しいらしい。


 殆ど命中することなく、天井、壁、床、窓などあらぬ方へとんでいく。どの銃も弾丸は一発のみ発砲したようだ。


 しかし下手な大砲もなんとやら、運悪く肩に命中した男子生徒。駆け寄る数人の男女。


「動ぉくなぁよ!!?動けばてめぇら皆殺しだかんな!!」


 銃を命中させた白服男が叫び、威圧する。


 被弾した生徒に、大丈夫!?と揺すり叫ぶ女子。周りで涙をこぼしたりする生徒もいる。


 教室は混乱に陥っていた。


 因みに銃を溶かされた白服は銃口を眺め、不審がっているが、認識阻害を阻害されて何故溶けたかわかっていなかった。…下っ端だからだ。



 この状況で、なにをすべきか、菊川柚里は考える。


 銃を破壊する。これが一番手っ取り早い。まだ、気取られていないからだ。


 次、皆殺しに。途中で人質にされたら面倒だ。無力化優先


 ……次に……次…。


 よし、銃壊そう。別になにも思いつかなかった訳じゃないんだからね!?


 と、考え、私は襲撃者の銃口に意識を向けた。


 ──私は────見ているぞ。


 !? 何!? 今の声は!!!


 とつぜん聞こえた声に寒気を覚え思わずあたりを見渡す。魔法がキャンセルされて、銃口が歪む。


 溶かして詰まらせるつもりだったが、突然の声に制御が狂ったために歪む程度で済まされた。


 多少の歪みでも発砲するのに不安なことを菊川は知らないので、銃口を溶かし塞ぐべくもう一度銃口に集中する。


 だが、気付いていない。


 認識阻害が外されたことに。


「ん? あ!! あいつだ! あいつのせいに違いない!」


 最初に銃口を溶かされた白服が菊川指差し叫ぶ。


 菊川は当然何故バレたか分からない。しかし、多少の経験は詰んでいる。座っていたままではまずいので、素早く立ち上がり。


「すいませんでしたぁ!!!」


 土下座をした。素早く。


 ………魔導師としての力をクラスメイトに見せるわけにも行かないですから。記憶偽証に失敗すればやばい人と思われてしまうから。


「そぉうか。じゃ、コイツが裏切り者かぁよ。」


 偉そうにしている、被弾させた白服が机をよけて近寄ってくる。


 ここはとぼける………!!!


「裏、切り者………?何の」


 しかし、言葉は中断させられる。私の頭をひっつかみ、銃口を口につっこんできたからだ。


 ………バカだ。この白服バカだ!


 私に銃をおそれる理由はない。意識されなきゃ炎を出して溶かせたけどこうも見られていては使いづらい。のにわざわざ口まで持ってきてもらったのだ。


 ………あれ?


「バカはおめぇ。この〈風斬の加護〉に接近しての魔力発生は出来ねえよ?」


 ゲラゲラと笑う白服。


 あれ……おかしい。何で…!?何で炎が!魔法がつかえないの!?何で!何でなの!?何で何で何で何で何で何で何で!!?


「じゃあぁな!裏切り者!!」


 そう叫ぶと同時、指を掛けっぱなしの引き金に力を込めて触れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ