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義腕の王  作者: リョウゴ
五章・盲信する狂信者と人としての意地
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開かずの扉 2

 少し時を遡る。


「あー、寝坊したなぁー、やむを得ない。三時間目の途中からでも、参加しなきゃなあー。……面倒だ。」


 俺は白々しくそう言う。と、やはり反論がある。


『サボるのは、無しですよーご主人。テストですし、寝坊したからっていちいちサボるってのはダメ……っていうか別に寝坊じゃないですし、サボりですけどね今。』


 自転車が、壊されていた。


 チェーンが切られていたのだ。しかも犯人がそこにいた。


 堂々と待ちかまえるようにいた人は10人程。しかも皆様同じ、金の装飾、十字架が背に入った白いローブを着ていらっしゃる。背中は数人後ろを向いていたから見えた。


 俺は、その集団に声をかけると、そいつらは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


 追いかける前に自転車が壊されていることに気づいたんだが。


 取り敢えず近い奴を追いかけた。勿論、魔法で足を速くして。まあ、こんなおかしな集団がいて近隣の人達が不審な目をこちらに向けなかったことから、認識を阻害してたのだろう。


 魔力の感知が上手くなった辺りで認識阻害にかからなくなった。まあ、集団の中の顔を思い出そうにも思い出せないが、その程度は仕方ないだろう。


『結局誰一人捕まえらんなくて歩きで登校してる訳ですよねご苦労様です。』


 誰一人捕まえらんなかったのは悔しい。逃げ足速いというか、なんだろうね。


『学校、大丈夫、かな?』


 大丈夫だろ?そう簡単に踏み切られること無いだろ。


『まあ、心配ばっかりしても仕方ないですしのんびり行きましょうか。』


 時間は二時間目の休み時間位に着きそうだな。


 ……高校に連絡するのはみんなそろって忘れていた。





 着いた。予定より少し早い。……っておい。


 なんか、不審者が、さっきみた服装と同じ不審者が沢山いるんだけどどうしようか。


 白ローブ野郎共 (女性もいる)をとっちめるべきか悩む。誰もこちらを見ず、校舎を見ている。恐らく校舎からは見えないところを陣取っているのだろうが、認識阻害してなければ俺を騙せまい。されてもそうそう騙されるつもりはない。


 そいつらを視界にいれてからは足音を殺して移動する。どの程度気配を殺しているのかははっきり言って俺には分からんが、誰もこちらを見ない。


 っと、チャイムか。すると、休み時間に入ったのか校舎内が騒がしくなる。


 今のうちに校舎に入れば余り目立たな………ん?


 電話を取り出した1人。


 そいつの気配が、電話を受け、数瞬だけで攻撃的なものに変わるのを、俺は認識した。


「───作戦開始ぃっ!!!」


 そいつが叫ぶと懐……ローブの内側から武器を取り出す集団。


 バット、鉄パイプ、木刀、杖、模造刀、エアガン………。


 おいおい、物騒だな。何故か銃と杖の比率が心なしか高い。


 そんな、他人事のような感想を、抱く。



 俺は迷わず杖を取り出す。音姉さんに頼んで2つに分けて、使うときだけ連結させられるようにしてもらった。連結部分がどうなってるのかはよくわからない。


『やっべえ、大丈夫じゃなかったですねー!姫さん!』


『姫さん、って呼ぶ、のは遠、慮して。恥ず、かしい。』


 そういいつつ鞄につけてある御守りも刀の形を作る。…変身の解除だ。


 右手に刀、左手に杖、これじゃ不審者どころか危険人物だ。相手はテロリストみたいなものだが、俺はテロリストではないので、これを『認識』されるのはまずい。 


 と、言うわけで。


「〈俺を見て欲しい訳じゃない〉」


 アイの作った俺用の認識阻害魔術詠唱だ。まあ、発明したのはかなり前で、習得したのは昨日、思い出したかのように色々やったときにであったと言うだけだ。


 そう、これは俺が、俺を認識し続ける事が出来る……訳じゃなく、自分について考えなくなる術なんだ。

 攻撃は避けるし回復魔法もする意識はあるよ。なけりゃ死…はしないな。アイがいるし。


『頼り、っきりは、いけない、よ。』


 分かってる。


 取り敢えず、間近にある校舎入り口にみんなぞろぞろと突撃する白ローブの先へと回り込み、刀で一閃。


 その白ローブは杖を持っていた。


 刀が相手に当たる前に見えない壁に阻まれる。が、それを切り裂くのが夜叉姫だ。


 しかし、阻まれ俺が驚いた一瞬が相手の命を救う。首に吸い込まれるような一太刀を回避される。そして、そこから距離を取られる。


「こいつは俺が何とかする!!」


 先の一撃を紙一重で回避した白ローブの男が大声で叫ぶ。と集団が散る。


「逃がすかよ。」


 俺は、魔力の腕を何本も顕現させて外側の奴らを掴もうとするが。


「〈風斬の加護〉」


 対する白ローブの男がそう言うと、人に触れようとした腕がみじん切りにされる。まるで無数の刃に斬られたように。再生が間に合わない。触れられない。


 …狙う奴ちゃんと考えれば良かったな。全部逃がす位ならば。


『間違えましたね。こいつは、面倒ですよ。』


『私は、斬る、だけ。』


「おい、なんか物騒だから先制して攻撃をしちまったけど、お前ら、何なんだ?例の虚無天使教会か?」


「ああ、そうだよ。………天使様の加護を我に。」


 ニヤリと笑って答える男。


「あんまり時間をお前に使いたくない。」


 人が襲われるのを許容はしない。一応日舞さんに電話を繋いで「おい、なんか─」あたりからの会話を通しておいてある。


 しなくても彼女なら気づいているだろうが。


「まあ、オレだって、おまえみたいな路傍の石ころに躓いてる時間は無いんだよ。速く天使様の元へと行くんだ。」


 俺は刀を構え、相手はいつでも動けるように構える。


 それは一瞬。


 一瞬後には俺は相手に斬りかかっていた。











 あれ、アキ君から電話だ。



 ───ふーん。……やっぱりアキ君以外にいわなくて良かった。脅迫状ってあぶり出しの意味もあったのね。やっぱり。


 ねえねえ、咲ちゃーん。……うん。気をつけて。


 そそ、私は、戦えないからね。


 あ、見えたよ、一階の一年生から襲ってる。まあ、銃は……本物っぽいね。まずそう。


 …!?……うん。撃たれた。肩だから、致命的じゃないけども、危ないよ。…。


 ん、咲ちゃん。どこ行くの?………行かないとって、行ったって無駄だよ。


 どういうことかって……少なくともあの風をどうにかしないと魔力は当たりそうにないよ。


 うん。確かに め ん ど く さ いね。本当に。


 ん?弓。……だいじょぶ?屋内で立ち回るのは。


 あえ?……ならいいんだけど。


 ……行っちゃった。もう少しここにいて欲しかったけど、無理に止めても、撃たれた子が助からないしなぁ。まあ良いかな。


 あー、やっぱり来てる。真っ直ぐじゃないけど。何人だろう。……いち……にー……3人。さんにんかー。ちょっと、まあ。なんとかなるでしょ。きっと、ね。



 私が、しっかり3人を相手に、相手にされなければ。

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