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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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悪夢の桜刀 9

 …………………!!!


「しゅ、秋?大丈夫?ぼけーっとして」


 気が付くと目の前に、知らない女性の顔。額がくっつくのではという距離にあったその顔に驚き、思いっきりのけぞった。


 しかし足元、すぐ後ろにある何かにつまずき、その何か、クッションのようなものに尻餅をつく。


「……ん?……いや、立ち眩み、だよ。」


 よく状況を理解できぬまま、勝手にそう言う。




 どうやら、これは走馬灯らしい。なぜかある程度行動できるという。これは死にかけた俺が見せた幻想だろうか?


 まあ、この見知らぬ女性がどうやら姉を名乗っているが、俺はそうなのか疑っている。


 ん、なんか、部屋が全体的に白いな。今より


 ………いや、これ、サーシャじゃないだろ。


 








 …………見覚えあるぞ、この桜色の刀………なんだ?この不思議な感じは………。


 なんというか……。


 そのとき扉が開く音を耳にとらえる。


 そちらを向くと扉を開ける自称姉がいた。


「秋どうしたの、何もない壁見上げてさ?」


「何もない?あるじゃん、刀が。」


 そちらを指差して、しっかりとその刀を睨みつける。


「??刀なんてないよ?」


 仕方ない。俺は飛び上がって刀を触る。


 やはり触ることは出来なかった。


 ────やはり?


「ほら、無いじゃん。…幻覚魔法とかかかってるわけじゃないよね。あ!もしかして疲れてるんじゃない!?」


「…………。疲れてはないよ。」


 この時の俺は不満げな顔をしてるのだろう。自称姉が、あははと誤魔化すように笑った。



 プリン程度で姉と魔導戦したり、下らないことで言い合ったり、姉のことを良くしれた。


 ………何か思い出しそうになる時がある。まあ、違和感だ。なにかが、違う。










 そして、姉は『また』言うのだ。もう辺りも暗いのに制服姿の、姉が。


「ねえ、今日、お姉ちゃんはちょっと遠くまで行くから今日中には帰れない。」


 ─────思い出せた!!!


「駄目だ!!!」


 俺は回想場面転換(シーンチェンジ)した瞬間そう切り出した姉に、そう叫ぶ。


「!!!」


 一瞬で身を翻した姉は外へ駆けていったのだろう、階段を駆け降りた。見えた顔は驚きの表情を浮かべていた。


 俺は桜色の刀を一瞥し駆け出した。


 何の得物も持たずに。











 まあ、結果は、負けだ。


 前回の反省から、先手を打とうとしたら、その気配がバレバレだったのか、俺を見るなり、黒鬼は霞んだ。


 右腕が吹き飛んで、前回の戦いがフラッシュバック。そして、吐く。………みっともないが、意識がなくなる前だったというのに覚えていたのだ。姉だったものが潰れていく様を。


 そのまま吐き続ける俺に、ぶつぶつ言いながら近づいて来た黒鬼に何もせず負けるのかと、黒鬼が腕を振り上げる。


 横からの衝撃。


 また、だ。また、姉が。


 ───────また、意識がここで切れる。

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