悪夢の桜刀 6
「それはそうと、プリン、いつもの奴頼むよ?」
「はいはい…あの高っけえやつだろ?負けたんだししっかり買ってくるよ。」
「素直に負けを認める。良いことだよ。…それで今回負けた理由、分かる?」
「………知るかそんなこと。」
「私が本気で惑わしに行ったからってのもあるけど、油断し過ぎなの。秋は、自分の格下として私達を見ている節があるからね。」
姉はしっかりとこちらの目を見て言う。
「しっかりと警戒するんだよ。」
「つか、今まで本気出してなかっただけ? 」
「いやぁ…まあ、接待プレイってやつじゃない?秋に攻撃するとか有り得ないし………まあ、今回も手加減はしたよ?」
「はあ………。」
今まで本気でやられてなかったと言われて、溜め息をつく。ちょっとショックだったのではないだろうか。
というわけで、付近のコンビニ…自転車で急いでも十分はかかるところまで買いに行く。勿論自転車でだ。
回想なんだから飛ばしてくれても良いのに。
コンビニに行くと姉が「これ以外は食べる気にはならないのです!」と豪語するプリンが………くっ…売り切れていた。
まーた、聞いたこと無いのにするすると頭から出てくる言葉だよ…。姉がそんなにプリンにこだわっているなんて知らないし。言動から察せられない訳じゃないけど。
この系列のコンビニでしか売ってない特別なプリンなのでまた別の店に行かねばならない。
仕方ない、と溜め息混じりに自転車まで戻ると、熊の着ぐるみ、ゆるーくないマジな熊がそこにいた。
「!?!?」
「あー、少し良いかな?鐘本秋くん。」
どこかで聞いた声にそっくりだが、何か違う。そんな声の人に訊ねられて、それが着ぐるみであると思い至った。
だが、なぜ俺の名前を知っている?
「君のお姉さんの知り合いなんだけどさ、後で依頼が行くと伝えてくれないか?よろしくね。」
それだけ言うと踵を返し、建物の陰に移動するとそれきりもう現れなかった。
ここで、途切れた。
どうやらこの後にしっかりと姉に伝えたようで、本当に依頼もやってきた。
プリンのことが頭から抜けてて、買い忘れたのでそれでかなり怒られたらしいが、まあそれはおいておこう
男が熊の毛皮を…もとい熊の着ぐるみを脱ぎ捨て、呟いた。
「さあて、舞台は整った。最期の最初手を打とうじゃないか。」




