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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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悪夢の桜刀 4

 日付は3月月末を指しており、もしかしなくても春休みなのだろう。


 ………親が帰ってくるのか質問してからしばらくして、場面が変わる。そう言うところは回想らしい気がする。


 切り替わった場面は、神社だった。だが、知らない場所だ。


 まあ、そんなのはどうでもよかったりする。


 やはり状況が読み取れない俺は呆然と突っ立っていた所、後ろから声がかけられる。


「早く進め、後がつっかえてるんだよ。」


 振り向くと、協会で利用したゲートと似たものがあり、ゲートから首だけ出した音姉さんがいた。


「あ、ごめん。」


 そう勝手に口が動くと、急いで離れる。


 どうやら今回はそこまで思い通りに動けないかもしれない。そもそも走馬燈って回想みたいなものだったはずだから現実と同じくらい動けるのがおかしいんだが。




 前のと同じ女子四人と一緒にこの神社に来たわけだが。


「さて、どう?音波?前教えた魔法は。」


「うん……まあ、やっとまともに使えるように」


 瞳に言われた音波は掌を秋に向ける。


「なったよ。」


 瞬間、音姉さんの掌から風が放たれる。鋭い風ではなく、万遍なく圧してくる風だ。


 あれ、これって………。


 秋の体はとっさに手に魔力を纏わせて風の先端を上方に向けて叩き上げた。……どうやったんだ!?魔力を纏わせても風は通る。少なくとも転倒はするだろうというほどの風なのに。


 ご丁寧に姉が説明する。


「魔力を弾く魔力で弾くのかー。それ、とっさにするとかお前何者だよ。」


「ちげーよ、こっちも風で押し返しただけだっつーの。」


 どうやら姉は適当なことを言っていたようだ。


「それはおいといて、音波!出来るようになったじゃない!!いやぁ…私直々におしえてよかったやー。良いもんだねえ、教え子が魔法を覚えていくのは……。」


 涙ぐむ仕草をしつつ、そう言う姉。実際涙はでていない。


「咲はどうよ?今の所は。」


「いや、まあ、やっとうちの流派の弓術全部マスター出来そうです。今練習してるのは…」


 どこからともなく出てきた弓を構え、やはりどこからともなく出てきた矢をつがえる。すごく様になっているんだが、俺に向けて矢を放とうとしている。俺の体と村上さんの距離は十メートル以上開いている。


 そのまま矢を放つとその矢が七つに分かれる。その一本一本は元の一本から綺麗に円状に分かれた。


炎壁(ファイアウォール)


 俺の口が唱えると、壁が下からせり上がってくる。何故炎を選択したか分からないが、飛んできた矢を全て燃やし尽くした。


「危ないだろ!?これ!当たったら爆散するやつだろ!?」


「当たりなさいよ、当たらないと爆発するか分からないじゃない!!」


 ……因みに俺は属性の中で使えるのは土位だ。まあ、周りの力を利用してるわけだから属性とは言えないかもしれない。


「痛えのは嫌だっての!」


 ……にしても今の矢について知ってたのか。としたらすげえな。俺。


「サーシャは?」


 姉が聞く。


「刻印魔術をそこそこ出来るようになったよ。それだけだからね?見せない…よ?」


「えー!いいじゃん見せて見せて見せて見せてー!」


 ゴネる姉。ひでえ。


「え、えー…仕方ないなぁ…一回だけだよ?」


 サーシャさんは満更でも無いように言う。


「じゃあこれで良いかな。」


 そして太めの木の枝を拾うと何やら文字を削りだし始めた。


 どうやら魔力で爪を作り出し、それで削っているようだ。


「出来た!これ!こういうのだよ瞳!」


 明るい声音でそう言うと、削った枝を姉に見せる、と。


「ふーん、こういうの、ねっ!」


 内容を理解したのかしなかったのか魔力を枝の文字に流すとこちらに投げてきた。


 横回転して飛んでくる枝。さながらドリルのようだ。


「だから止めろって!」


 下からビリビリと電気を走らせた魔力で真ん中を焦がし、へし折る。


 ……また俺が出来ない魔力属性だ。だが、感覚が分かるので、後で出来たら……。


 あれ?なんで後があると思っているんだ?


 まあ、いいか。


「なんで俺にばかり攻撃するんだよ!?」


 げきおこな子供の俺に


瞳「いや、どうせ、対応するし」

音波「右に同じく」

咲「何かイラついた」

サーシャ「瞳が勝手に。」


「姉さんと音波ちゃんに関しては何?俺のこと評価してるのは良いけど止めてよ!心臓に悪い!咲ちゃんは理不尽だよ!サーシャさんは分かってるでしょ!姉さんに渡せばどうなるかはさ!……全く、もう。」


 やっぱりどれも理不尽じゃねえか?


 そして子供の俺は悪い笑みを浮かべる。


「じゃあさ、俺の新魔法見てみる?」


「「「やだ。」」」


「なんでだよ!!」


「だって秋は仕返しするつもりでしょ?それで女の子の柔肌に傷一つでもつけてみなさい。四人がかりであんたを滅多打ちにするよ?」


 姉が笑顔でそう言う。


「う……分かったよ、仕方ないなぁ…1人でやればいいんだろ?下手すると傷付けるし。」


 子供の俺はそっぽを向く。


「いや別に1人でしろとは言ってないよー。」


「…………」


 あ、これ俺拗ねてるのか?…くだらないなぁ…。





 因みに子供の俺の機嫌は、女性陣四人の謝罪であっさり治った。…割とすぐ姉とかは土下座してたし。





 この頃の俺は、今の俺より魔導師的才能があったのか。実戦経験は無いようだが腕は俺より上だった。勝負したら負けるのではないだろうか。


 この時俺は気づいてなかった、実戦経験が無い事は何よりも不味い不利点になりうることに。

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