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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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月明かりを放つ風 3

 何の対策もせず森を歩く。


 虫が多いので何気に虫除けスプレーはしている。


 だが、特にこれと言って気配はない。


 サーシャのときもそんな感じだが、標的(ターゲット)は妖刀。どう言うのかは分からないけど気配を隠すなんて器用なまねが出来ないと俺は考えた。


 あまりに気配が無い。


『いやぁ、咲さんに彼氏ですかー。大人ですなー。』


 そんな気配の無さに油断しているのか、只の静寂が嫌いなのか、アイがよくしゃべる。


『どんな人ですかねー。悪い男に引っかかってないと良いけど。』


 言葉一つ一つに世間話という程度ではない感情の込め方をしているような気がする。何というか。本気で心配していた。


 ………村上さんに彼氏なんて噂すらなかったぞ。まあ噂をかき集めるのが趣味だったりする野中くらいしか噂の情報を持ってくる人がいないんだが。どんな奴だろうか。…………。…………………。……。


「うだあぁぁああ!!!」


『何叫んでんですかうるさいですよ!!咲さんのことは残念でしたねぇ!!』


 いやまあ村上さんのことっちゃそうだが!別に好きだった訳じゃねえよ!勘違いするなよ!!


『どうですかねぇ?ほんとうにそうなんですか?言われてみれば……とかじゃないんですか!?』


 うるっせえ!黙っておけよ、騒げば見つかるかもしれないじゃねえか!!


『私がいくら騒いだ所で相手に察知されることは無いですよ…………多分。』


 確かにそうだ。


 そのとき、がさりと葉の揺れる音が聞こえる。


『ひっ……!?』


 アイがその音に反応して、怯えた声を上げた。……いや、ただのイタチだったけど。


『な、なんだぁー、脅かさないでくださいよー…』


 ………つか、妖刀とこれから接触するってのに、こんなんでひびるなって……というかこう言うのダメなのかアイって。


『妖刀なら向こうの方ですよ。……暗いのはそんなにスキジャナイッテダケデスヨ?』



 ちなみに向こうの方だって言ったとき、しっかりと右手がある方向を指差していた。









『この辺り、多分。』


 ちなみにどうやって探したかというと、曰わく、それらしい魔力反応を辿った。だそうだ。


 そして木の陰から、反応があったというを覗きこむ。


 その先には、金に光る鎧があった。全身完全防備だな。そして鎧は西洋のものではなく、日本のものである。


 ───あれは何だ?


『妖刀……の付属品ってとこでしょうか。』


 ───妖刀って鎧も装備しているのか?


『そもそも妖刀とされるのは意志の有無です。意思があれば、魔法を使えます。人間以外の動物だってやれば出来るんですよ。』


 ──ふーん。


『まあ、物を操るのが得意な傾向はあるんですけどね。凄いのだと人とかもやれます。』


 そして俺は鎧の視界に入らないように木の陰を利用し距離を詰めていく。


『妖刀本体にも能力があったりするんですよ。ちなみに剣なら魔剣とかね。』


 そして距離を詰めつつ相手の背後に回り込む。


『さて、やりますか。』


 ああ。やるか。



 そして俺は鎧に左手の杖を向けた。

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