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義腕の王  作者: リョウゴ
四章・非凡な少年と鋼色の牙
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月明かりを放つ風 2

「まあこっちのほうがいいとおもわれー?」


 受付がそんな事を言い差し出してきた依頼を見ると、内容に『殺し』が入っていた。……暗……殺?


「ふざけんなっての。」


 咲さんが代わりに断る。どのみち俺は殺しはするつもりはないからありがたい。


「魔導師の新人に任せることじゃないでしょうが。」


 ………そういう理由なのか?人殺しダメとかじゃなく。


「それもそうだね。」


 受付はその依頼を下げた。


「いらいはあちらのげーとからどうぞ。すでにあちらにはれんらくがいっています。」


『あー、あれは多分依頼主のところの近くに飛べるゲートですね。ここでもまだつかわれていたんですかー。ふーん』


「行くよ、秋君。」


 咲さんの後をついて行きながらアイに問う。


 ──魔導師って殺しも仕事でするのか?


『人によりますけど、出来ない人やそう言ったものに向かない人はやりませんけど、何気にポイント高いのでやる人は居ますよ。………ああでもリスク高いので止めた方がいいですよご主人!!』


 そんな事は分かっている。人殺しなんてしたくない。そもそも他の協会に身内が狙われないようにするために協会に入ったんだから。


「なにぼさっとしてんの!早く行くの!」


 咲さんのその声でハッと我に返る。そうして、ゲート、白く微弱な発光している長方形の何かに咲さんは入っていったのでその後を追い俺も中に入った。









 ゲートに全身入ると、一瞬視界が真っ白に染まる。気づくと建物の前にいた。


『どーやらここが依頼主の居場所みたいですね。』


「お、君たちが依頼を請けてくれた人達かね?」


 でっぷり太った薄毛の男が建物の入り口前に立っていた。


「ええ、私たちが依頼を請けました。」


 咲さんが笑顔で答える。


「おや、君は……ああ!鎧巫女ではないかね!…ふふ、これは確実に返ってくるぞ。」


「いえ、これを請けたのは彼で、私は付き添い。彼が死ぬようなことを避ける為に来ただけであって、成功に尽力はしませんよ。私は。」


 なにが気に入らなかったのか、返答した咲さんの笑顔が、強張っていた。


「今回依頼を請けた者です。宜しくお願いします。」


 咲さんの前に出て、そう言い、礼をする。


「まあ、よい。」


 なにが良いのか分からないが、依頼主がそう言う。




「今回、やってもらいたいのは妖刀の回収。それだけだ。今、すぐそこの森に潜んでいることが分かっている。…この魔道具でな。」


 そう言って、依頼主はスマホによく似た機械を取り出す。


「まあ、出来れば破壊しないで持ってきてくれ。暴走しているのだ。」


「分かりました。」


 俺は森へ向かう。




「秋君、まさか何の用意対策なく行くの?」


 唐突に咲さんが聞いてきた。既に依頼主は建物に戻った。


「対策。……対策?」


 えー、全く考えてなかったな。今まで対策する時間自体無かったしな。


『あー…忘れてましたわー…』


「妖刀っていうくらいよ?何かしらあるでしょう?厄介な能力とか。」


 んー、妖刀について全く話さなかったしなあ、あの依頼主。対策もなにもないな。


「あー!もう!あのクソ依頼主!全く、情報少しくらいよこしてよ!もう……。」


 咲さんも思い至ったらしく、頭を抱え叫ぶ。


「まあ、今まで何とかなったんだ。きっと大丈夫だろ。多分。」


「…一番危ないのは慢心。気をつけなさいよ?」


 分かっているって。


『咲さんは付いてきませんですね。信頼されてるんですかね。』


 知るか。


 あー、また、森の中を歩き回るのかよ。あのときと同じか。確かあのときは………。

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